特別な君
――嘘………気づいてくれたっ!!
奇跡的に気づいてくれた事が嬉しくて
「クロード!!!」
リコは思わず駆け寄った
クロードを見て嬉しそうに走り目の前に立つ
「お前…痩せたな…食事は?」
クロードの手がリコに伸びてきて顎を掴んでクイっと持ち上げられ念入りに顔をチェックする
久しぶりの感動の再会を喜ぶよりもリコを心配するクロード
スッと掴んでいた手を離した
「最近ちょっと食欲なくて…」
「いつもはあんなに食べてたのに俺がいないと残すのか」
「なんで最近ご飯残してるの知ってるの!?しかも違うし!舞がハードなの!!」
「侍女達から報告書を貰ってるからな」
ジッとリコ見るクロード
――こっそりそんなことを…
「朝は起きれたか?」
「鷹が毎朝起こし来てくれたよ」
クロードはいつもの冷たい表情に冷たい口調なのに声がいつもより優しくて、出てくる言葉はリコの心配ばかりだった
「侍女達のお茶は?」
「侍女達のお茶…?前より美味しく淹れてくれるようになった…えっ、もしかしてクロードが?」
「淹れ方を教えた、お前の好みも一緒に伝えた」
――な、なんなの……///なんか調子狂うなぁ…///
仕事ばっかりしてるから忘れられてると思ったのに…アタシ事考えてくれてたんだ…
ちょっと嬉しくなるリコ
「クロードは忙しいの?」
「誰かの遊宴があってな」
「やりたくてやるんじゃないもん…」
ムスッとして少し俯くリコ
「だろうな…」
クロードの大きな手が優しくリコの頭に乗る撫でる
「…ん?」
――怒られると思ったのに…
リコが少し顔を上げる
「じゃあな」
クロードは急いでいるようでその場を去ろうとした
「うん…お仕事頑張ってね!」
――もう行っちゃうのか…けどクロードは忙しいもんね!
暗い表情になったがすぐ明るく笑うリコ
クロードはその一瞬の表情を見逃さなかった
「今日の夜、部屋で待っていろ」
その言葉にパァっと笑顔になるリコ
「うん!!」
その後クロードは少し優しく笑いその場からいなくなった
・
・
「遅い…」
リコはその後衣装を合わせて明日の流れを説明された
夕食を済ませて、湯浴みを済ませてクロードを待っていたが中々来なくて…
ベッドに潜って待っていたがいつの間にか眠ってしまった
ガチャ
暗くなってる部屋の中をゆっくり歩く
枕元にある小さな明かりをクロードがつけた
リコの疲れて眠る姿を見て
「間に合わなかったか…」
ベッドに座りクロードが優しく呟きリコの頬をそっと撫でる
「クロード…?」
寝ぼけながら目をしばしばさせてリコが起きる
「明日は本番だからゆっくり休め」
クロードがリコの頭を優しく撫で寝かしつけようとする
サラサラと指から抜けるリコの髪の感触を楽しむクロード
「イヤ…起きる…やっと…会えたのに…」
リコが寝ぼけながら言う
起きたいのに眠気に勝てず目が閉じてしまった
「たった1ヶ月だろ、これからは毎日嫌でも顔を合わせる」
頬を優しく撫でるクロード
「ぃゃ…ずっと…会いたかった…のに…」
言葉とは裏腹に睡魔に勝てず、スーっと寝息を立てるリコ
クロードはこの普段の姿から想像つかない、やけに素直で寂しがるリコを見て
これ以上ここにいると間違いを犯すんじゃないかと思い
ギシッ
「おやすみ」
そう言ってリコの瞼に優しく唇を当てていなくなった
・
・
ガバッ!!
リコは飛び起きる
「いつの間にか寝ちゃった…」
――結局クロード来なかったのかな…
けど、優しく頭を撫でて寝かしつけてくれる夢を見た…あんな優しいクロードは夢の中でしか見えないんだろうね
いつもリコに文句を言って怒ってる姿を思い出して思わずニヤける
リコは自然とバルコニーにの方に進んでガラス戸を開けて外に出た
――あれ…今日は来ないのかな…
遠い空をぼーっと見つめて毎朝起こしに来てくれていた真っ白な鷹の姿を探す、いつのまにかリコの日課になっていた
けど…
ガチャッ
リコは開けっ放しにしていたガラス戸をとっさに振り返り、部屋のドアの方を見る
――ノックなしのドアを開ける音…
「何をしている」
「クロード…」
待ちに待ったクロードの姿に思わず胸が熱くなる
――平常心…///平常心…今アタシ絶対嬉しそうな顔してる。クロードはいつも通りなのに…なんかそんなの悔しいじゃん!平常心…平常心…
「クロードの鷹を待ってるのそろそろ来るかなって」
「もう来ない」
クロードが空を見上げる
「えっ!なんで!?」
「俺が戻って来たから必要ない」
――そっか…ちょっと寂しいけど…クロードの変わりにお越しに来てくれてたんだもんね…
悲しいような嬉しいような複雑な気持ちになるリコ
クロードが少し落ち込むリコを見る
ピーッ
指笛を空に向けて響かせる
「えっ!それで来るの!?」
「その辺を飛んでいるからな」
バサバサッ!!
クロードの腕に白い大きな鷹止まる
「えー!!すごい!!」
リコが驚いて嬉しそうにクロードと鷹を見る
――アン達が言ってたけど…本当に絵になるな…
白い大きな鷹を腕に乗せるクロード…あんな大きい鷹腕が逞しくなきゃ乗せれないよ…
白い鷹の羽がひらりと舞った
「そういえば名前なんて言うの?」
「トト」
「えっ!!神様の名前じゃん!!」
――しかもクロードに宿ってる神様だし!
「コイツは賢いからな」
クロードにスリスリとすり寄ってから
リコの肩に飛び移った
クロードが驚いてリコとトトを見る
「おはよー」
リコがトトを優しく撫でる
「噛まれないのか?」
「え、この子すごい優しい子だよ、噛んだりしないよ」
撫でながらリコが言う
「俺以外に触れる奴を初めて見た…」
「えっ、こんなにいい子なのに!最近は捕まえた小動物を持ってきてくれてたよ…もちろん全部逃してあげたけど」
リコに擦り寄るトト
「そいつにとって、自分の獲物をあげる行為は求愛だぞ…」
信じられないとばかりクロードが驚く
「えっ、求愛!?褒めて欲しいのかと思って褒めてあげたんだけど!!」
「まさか…」
クロードが驚いたまま
ぎゅっ
急にリコのほっぺをつねる
すると…
トトが大きいな声で鳴きクロードの手を噛もうとした
「俺にだけに懐いてたお前が歯向かうとは…」
クロードはリコの肩に乗るトトの両足を片手で掴む
トトは足を掴まれて逆さまになりバサバサと暴れる
「ちょっと!クロード何してんの!可哀想!!」
「俺に歯向かった罰だ」
と言って思い切り空中に投げて…
クロードの目が金色に一瞬光り手かざすと突風が吹いた
トトが遠い空に飛ばされた
風に飛ばされはしたがバサバサと空を飛ぶトトを確認して少し安心するリコ
「頭を冷やせトト…」
遠い空を見て呟くクロード
「クロード、今のって神力?」
――何も風がなかったのにクロードが手をかざした瞬間突風が吹いた…
「あぁ」
クロードが部屋に戻ろうとしてリコに背を向ける
「けどあそこまでしなくても良かったじゃん!可哀想!」
部屋に戻るクロードの背中に怒るリコ
「自分の主人が人間に求愛されないからって、鳥に求愛されてる俺の身にもなれ」
フッと笑うクロード
「はぁ!?!?ほんと失礼!!」
バシバシとクロードの広い背中を叩いた
クロードがリコを部屋の中に入れるとガラス戸を閉めて鍵を締めた
――こういうとこは執事ぽいのよね…
ドアもいつも先に開けて中に入れてくれるし….
リコはなんだか納得いかずムスッとしていた
言葉ではこうやって意地悪言うくせに、レディファーストだったり、急に執事ぽくなって大切にされるから…




