80本目
うおー!!
とうとう80話まで書いてしまいました。
わーいわーい。
もっとスムーズに書けるかと思いきや、コロナの影響で電車にとにかく乗らないせいで書けませんでした…。
最近はよく電車に乗るので、ペースを取り戻しつつありますね!!
キクたちは妙な額の球体で支配されており、よく確認しなかったが他の第二世代たちもそうなのかもしれない。
肝心のフェニは裏切るし、エク先生とコサさんも向こうの陣営に降ってしまった。
俺にはもう為す術がないわ。
…いや。
まだある。
あるが、俺に出来るか?
この状況は、俺が犠牲になれば打破出来る。
すなわち、俺への気持ちの反転で博士たちはマルファスに記憶を操作され洗脳されているわけだから、俺が死ねばみんな元通りになるのだ。
死ぬ覚悟…。
怖い。
死にたくない。
だが、やつに一泡吹かせるためには、俺の心臓の鼓動を止め死ぬしかない。
……。
ホントか?
ホントにそれしかないのか?
あのクソ野郎のせいで死ぬなんて、嫌過ぎる。
じゃあ、一体どうすれば…。
いや、待て!
死ぬことはいつでも出来る。
俺が死んだらみんな悲しむ。
自分たちを責めるだろう。
俺が望むのはハッピーエンドだ!!
考えろ。
とにかく考えて考えて、もがいてもがいてもがきまくれ!
…ずっと考えていたのだが、やつの能力はどうやって俺への気持ちだけを限定的に反転させられているのだろうか?
霊子が万能とはいえ、いくら想いを現実化する力の源とはいえ、出鱈目ではないはずだ。
やつの能力の原理さえ掴めば、この状況をもしかしたら逆転出来るかもしれない。
俺は諦めの悪い男だ。
伊達に世界中回って、猛者たち相手に営業やってたわけじゃねえんだよ。
ハゲのメンタル舐めんなよ!!
「みんな…待ってろ。今に…今に元通りに戻してやる。そこのゲス野郎から解放してやるからな」
「諦めの悪いやつだな、サトル。お前が大人しくしてたら、たまにはおこぼれをくれてやるのに。お前は俺に血を提供し死なない程度に生き続ければ、俺の中古品をたまにはレンタルしてやるよ。お前だって内心、こいつらは性の対象でしかなかったんだろ? いつまでもひとりに絞ることなくダラダラと過ごすから…ケジメをつけられないからこんなことになるんだぜ。俺はお前が憎い!! こいつらが俺のことを愛すれば愛するほど、お前がいかに愛されているかを実感してしまう。せいぜいもがいて見せろ。これは俺の愛というくだらない幻想への復讐なのだ」
美しいマルファスの顔が醜く歪む。
こいつの憎しみに歪む顔は、元が美しいからか余計に醜く見える。
「幻想? 俺はな、神様でも何でもねえただのハゲの童貞だ。恋愛なんてまともにしたことないもんだから、正直好意を向けられてもうまく対処出来ないし、ひとりに絞るとかそんな段階でもない。結論なんか簡単に出せない。…まあ、確かにお前の言う通りひとりに絞っていたら、他の連中は諦めて俺への好意をなくしていたのかもしれない。それは認めよう。だがな、俺がみんなを仲間として大切に思う気持ちは変わらない!! どんなにお前にみんなを汚されようと、俺はみんなを愛してるしかけがえのない仲間だと思ってる。その気持ちはお前がどんなに足掻こうと変わらないんだよ。いいか、よく聞けゲス野郎。愛ってのはな、見返りを求めないものなんだ。お前はどうだ? 自分が与えようともせずに、要求ばかりしてきたんじゃないか? お前の能力は不幸だが、お前はそれに甘んじて何も努力してこなかったんじゃないか?」
「うるせーんだよ!! このハゲ! どうせお前は何も出来ない。キク、こいつの指を1本1本折ってやれ」
「わかったわぁ~~~」
「キク、やめろ!!」
指の関節を逆向きにされ激痛が走る。
「ぐぁあああ~~~ッ!!!」
1本、また1本と順番に折られていく。
歯を食いしばれ!!
悲鳴はやつを喜ばせるだけだ!
「ぐっ…ふぅふぅ…んぐっ……」
みんな虚ろな目で俺が苦しむ様子を見ている。
考えろ…。
痛みを乗り越え思考を回すんだ!
この状況を打破するんだ!!
「おー、よく耐えてるなぁ。キク、次は耳を引きちぎってやれ。なるべくゆっくりとな」
「はぁ~~~い」
キクがマルファスの命令通り、俺の耳をゆっくり引きちぎっていく。
信じられない激痛が俺の心を折れさせようとする。
「んがッ! ん、んんんん~~~」
悲鳴なんか上げるものか!!
みんな、今に助けてやるからな!
必死に痛みに耐える。
キクの圧倒的な力は、俺が痛みに身悶えすることも許さない。
「降参しろ。俺にみっともなく許しを乞え。じゃないとお前はダルマの状態で生かさず殺さずのまま、一生を送ることになるぞ」
「はぁはぁ、誰が…誰がお前なんかに降参するかよぉ~~~ッ!!!」
もう片方の耳も引きちぎられていく。
「ぐぉおおお~~~ッ!!!」
流石に痛みのあまり声が出てしまう。
ちくしょおッ!!
ちくしょお、ちくしょお、ちくしょおッ!!!
悔しさと痛みで涙が止まらない。
あんなゲス野郎に涙なんか見せたくないのに、恐怖が俺を支配する。
もうダメだ!!
降参して楽になろう。
俺は頑張った。
よく頑張ったよ…。
でも、もうダメだ。
みんなごめん!!
俺は所詮ただのハゲだ。
何の取り柄もないハゲのおっさんだ。
「も…もう……ゆる…」
「どうした? もう降参か? 情けないハゲだなぁ。みんな、笑ってやれ!」
みんな笑い出す。
笑い出す、が…。
…涙?
マミムが…博士がリルレが…姫が…エク先生にコサさんが…涙を流しながら笑っている。
上からもポタポタと降ってきた。
首を何とか捻って振り返ると、何とキクも涙を流している。
みんな、洗脳されても魂は元のままなんだ!!
危ない。
危うく俺はあのゲス野郎に降参するところだったぜ。
みんな、俺への気持ちの反転で…好意の反転でこんな状態なんだろ?
「ッ!!!」
閃いた。
何で…何でこんな簡単なこと思い付かなかったんだろう。
俺は最近カッコつけ過ぎてたんじゃないか?
俺の得意技を思い出せ!!
俺はいつもどうやって危機を乗り越えてきた?
やってやる。
やってやるぞぉ!!
「カ~メ~ハ~メ~…」
「ん? 何だ? とうとう狂ったか?」
俺はニヤリと笑う。
「波ァーーーーーーーーッ!!!!!」
ブリブリブリブリブリィイイイーーーーーッ!!!!!
「うぐぉッ!! お前何を!? クサッ! クサーーーーッ!!!」
マルファスのやつ、めちゃくちゃ動揺してるぜ、バーカ。
キクが慌てて飛び退く。
あまりの大量の俺のウンコに、全員ドン引き。
我ながら最高傑作だ。
瞬間…。
「む? わたしたちは一体…」
「博士!!」
「ハゲッ!! うわっ、きったなぁ~~~。今後わたしに近付かないでくれる?」
「マミム!!」
みんな次々と正気を戻していく。
そう、俺への好意を反転させているのなら、好意ではなく嫌悪してもらえばいいのだ。
「うぉおおお~~~ッ!!!」
痛みをこらえ、俺は動揺しているマルファスに走り寄り、指が全て折れている拳で思いっきり殴り飛ばした。
「ぉぶあッ!!」
歯が何本か飛んだ。
会心のパンチだぜ!!
「どうだ、ケツメド野郎!!!」
あー、めちゃくちゃスッキリした。
「くそっ!! こうなったら霊子を保つことが難しくなるが、最大パワーだ!」
マルファスが懐から小さな球体を取り出し、操作する。
あれはマルファスの霊子を守るための装置だったはず。
「ん? あれ? あぁ、マルファスどうしたんだ!?」
博士たちがマルファスに心配そうに走り寄る。
そんなバカな!!
「くっ、ふはははは~~~!! 形成逆転だなぁ、サトルぅ!」
『チッ、しょうがねえなぁ』
フェニが俺の肩にとまった。
『おい、血を寄越せ』
俺はぐちゃぐちゃになってる手を耳のあった部分に擦り付け、フェニに差し出す。
フェニはそれを不味そうにペロリと舐めた。
やっと、このイケメンをボコボコに出来そうですな!!
イケメンをボコボコにしたいがために書いたような話です。




