77本目
サトルくんがホントに可哀想な目に会ってます。
皆さん応援してあげて!!
「殺すッ!!」
俺は近くにあったデスクチェアをマルファスに叩きつけた。
本当に殺すつもりで。
「ぐぉッ!!」
マルファスは他の魔人と比べるとはるかに弱く、サイボーグ化してない地球人の平均値より少し強いくらいのようなので、俺の椅子攻撃も効いてるようだった。
「死ねッ! 死ねッ!」
容赦なく椅子を何度も叩きつける。
が、さすがに頭は腕で守っており、決定打とならない。
まあいい。
取りあえず腕の骨を粉砕し、その上で脳天に食らわしてやる。
マルファスの腕が腫れ上がり、血が吹き出ている。
痛々しい。
が、マミムのことを考えると、加虐心が次から次へと湧いてくる。
「おらおらぁ~~~ッ!!」
脚にも胴にも腕にもめちゃくちゃに叩きつけた。
くぐもったような悲鳴が打つ度に上がる。
胴を打ったときに、胴を庇おうとして頭のガードが緩んだ。
今だ!!
「死ねッ!!」
と、そのとき衝撃で俺は吹き飛ばされてしまった。
「ぅぐおぉッ!!?」
マルファスを見ると、そこには博士が立ちはだかっていた。
美しい目に烈火のような怒りを携えて。
博士がそんな目で俺を見るなんて…。
「博士、いい加減目を覚ませ! 魔人はそいつだ!!」
無駄とわかりながらも叫ばずにはいられない。
「貴様~、マルファスに何てことを!!」
瞬間博士は目の前から消えて、俺の後ろに回り俺は床に組伏せられてしまった。
「ぶほッ!!」
圧迫され肺から空気がなくなり、腕が軋む。
「や、やめ…」
「お前は殺す」
冷淡な博士の声。
このまま俺を殺したら愛情の反転が消えて元に戻り、俺のことを思い出してくれるのだろうか…?
だが、マルファスが慌てた様子で博士を止める。
「ま、待てニヌ! そいつからは色々訊き出すことがあるんだ。俺のことなら大丈夫。殺す必要はない」
やはり止めてきたか。
俺が死んだらヤツの能力は無効化される。
「…マルファスがそういうのなら。だが、落とし前はつけさせて貰うぞ」
そう言って博士は俺の左手の骨を捻り折った。
「うぎゃぁあああ~~~ッ!!!」
博士が離れたあと、俺は無惨にもめちゃくちゃにされた左手を押さえながらのたうち回る。
あのクソ野郎のせいで、俺は散々だ!!
何で俺がこんな目に会わなきゃいけないんだ!
あまりの理不尽に涙が出てくる。
「はぁはぁ…随分とやってくれたな。このあとたっぷりとニヌに癒してもらうとするよ。もちろん裸でな」
去り際に耳元でクソ野郎が囁く。
「ッ!! て、てめぇえええ~~~…」
そして、俺の肩を隠し持っていたナイフで切り裂き、血を小さな容器に入れる。
「いって!!!」
「血を貰うぞ。俺がパンドラロック解除出来ないと、色々矛盾点が出てきて俺の洗脳も解けてしまうからな」
そしてふたりはいなくなった。
このあと、ヤツと博士はきっと…。
マミムのこともあり、俺は腹が立って腹が立って男泣きに泣いた。
もう知るか!!
全員死んじまえ!
腹立ち紛れに思いっきりドアを蹴るが、ビクともせずただ俺が痛いだけだった。
2時間ほどだろうか。
俺は痛みに堪えながら、どうこの状況を打破するか考えていた。
頭に登った熱は冷えてだいぶクレバーになってきたが、これといった打開策は浮かんで来ない。
博士にやられた手は、体内のナノマシンが治療してくれておかげで随分と痛みは引き、形も段々と元に戻ってきてる。
マミムや博士のことを考えたが、やられちまったものは仕方がない。
悔しいが、何よりもふたりはそもそもが大事な仲間だ。
あの魔人に例え汚されようが何されようが、ふたりの価値が下がるわけではないのだ。
俺はそう思うことにした。
洗脳が解け記憶が元に戻ったとしても黙っていよう。
傷付くのは俺よりも彼女たちの方だから。
そんなことより、チャンスを待とう。
博士たちに再び接触したときに、リルレか誰か第一世代のパンドラロックを俺が解除するのだ。
それを見せれば、博士たちも何かおかしいと気付くはずだ。
俺は更に頭を冷やす意味もあって、座禅を組みヨガを始める。
これはもう習慣だ。
たいぶ慣れてきて、今では1時間以上瞑想することが可能になっていた。
俺が空間に溶ける。
そんな感覚が心地よい。
そんなトランス状態の俺は、何やら懐かしい霊子を感じていた。
これは…まさかエク先生とコサさん!?
エク先生はペッボレゲセのヨガマスターで、コサさんはペッボレゲセ駐在の第一世代だ。
何でふたりの霊子を!?
ヨガに集中していたので気にならなかったが、そういえばさっきからドアの外が騒がしい。
木星基地オモイカネ内で何かあったらしい。
何事かと俺はドアに耳を付けると、ドアごと吹っ飛ばされる。
「ぶべッ!! な、何だなんだ!?」
「サトル様、お久しぶりですね」
ドアのなくなった入り口を見ると、そこにはエク先生とコサさん、そしてキクと死んでくれててホントに一向に構わないフェニがいた。
これで、やっとあのイケメンクソ野郎をやっつけられそうですね!!




