73本目
今回から、また新しい展開です。
唐突にイケメン登場!
また電車に乗る機会が少しずつ増えてきたため、小説書けました。
電車じゃないと書けない…。
そんな体質になってしまったったった…。
「よぉ、大変だったな」
いつの間にか木星基地オモイカネ内であてがわれた自分の部屋に戻っていたようだが、そこで目を覚ますと、見たことのないイケメンがソファーに座って寛いでいた。
「だ、誰だ、お前!?」
「おいおい、忘れちゃったの? 俺だよ俺。マルファスだよ」
黒くて長い髪に黒いタイトなスーツから覗く白い肌。
そして、赤い目。
そのルビーのように輝く赤い目が、俺の目をじっと見る。
「? 誰だお前? …ッ!! もしかして、お前魔人か!?」
俺は慌てて飛び起き、ベッドの上で身構えた。
「あはは。噂に聞いた通りホントに素っ裸なんだなぁ。…やっぱり男には通じないか。よいしょっと」
マルファスと名乗った細くてしなやかなイケメンがソファーから立ち上がる。
カッコ良すぎて嫉妬。
せめて髪があれば…。
「そう、ご明察。俺はお前たちイハが魔人と呼んでる別世界の人間だ」
「な、何しに来た!? お前たちはコカビエルの結界がなければ長くこちらの宇宙に存在出来ないんじゃないのか?」
こ、こえー。
俺ひとりでこいつを倒せるのか!?
少なくとも、見た目は完敗じゃん。
下っ腹の出た不細工なハゲと、黒髪長髪でスリムなイケメン。
いきなり爆死しねーかな、こいつ…。
「俺はお前たちイハがどんななのか知りに来たんだよ。俺はお前たちが魔王と呼んでるイブリースたちとは別の派閥に所属していてね。お前たちに危害は加えないから安心しろ。あと、俺が存在出来るのはこれのおかげさ」
そういって長くて細い指で懐から小さな丸い機械を取り出した。
俺の指は短くて毛深い。
手ですら負けてるんですけど。
「今はコカビエルなんてあんな大きいもの必要ないよ。イブリースたちは封印されてたから、昔の技術を使っているんだ。確かに大がかりな魔法を使うときは必要だけど、俺の霊子を守るにはこれで充分さ」
そう言って爽やかに笑い懐にしまう。
いちいちムカつく野郎だぜ。
爽やか過ぎんだろ!!
どんなに爽やかな笑顔を見せられようと、俺は警戒を怠らないぜ。
何とか、このイケメン魔人から逃げられないものかとチラリとドアを見た。
「あー、安心しろって。俺はホントに危害は加えない。ただ、お前たちを観察するために少し感情のベクトルは変えさせて貰ったけどな」
「感情のベクトル…?」
「イブリースたちはこの宇宙に住んでる生命を根絶やしにして霊子を改変するつもりだが、俺たちは違う。俺たちはお前たちと共存出来ないか模索してるんだよ」
「だが、霊子が違う以上難しいだろ」
「いや、全然大丈夫だよ。テクノロジーで限定的に霊子を変えられるわけだから。むしろ、なんでイブリースたちはイハの生命を滅ぼそうとしているのか意味わからない」
「なるほど。確かにさっきの丸いのやコカビエルがあれば、惑星の一部だけとか限定された空間だけ霊子を変えられるわけだ」
マルファスは指をパチンと鳴らした。
死ね、このキザ野郎!!
あー、俺完全にイケメンに嫉妬しているわ。
きっと…きっと俺にもこいつより優れているところがどこかにあるはずだ…。
探せ。
探すんだ!
でないと、ストレスでハゲそう。
あー、もうハゲてたんだったー。
「その通り。人間が抱えてる問題はいつでもテクノロジーが解決するもんさ」
キザ野郎がウインク。
死ね。
「魔王たちだってコカビエルとかあるのに、何でこの宇宙の生命を滅ぼそうとしてるんだ? 大変だし無駄じゃないか」
「宇宙ごと霊子を総取っ替えしないと、いずれ俺たち側の霊子は枯渇すると思ってるのさ。確かにそうだったんだが、技術革新でお前たちの宇宙の霊子を俺たち用の霊子に変換することが可能になり、この宇宙の生命を滅ぼさなくても共存出来ることがわかったんだ」
「それが本当なら素晴らしいな。そのことを魔王たちに伝えたらどうだ?」
マルファスは肩をすくめながらかぶりを振った。
何から何までカッコいいな、こいつは。
何?
俺を嫉妬で殺そうとしてるわけ?
「言ったよ言った。何回もね。実験データも提出したし、目の前で見せもした。でも、頑固でね~。認めようとしないんだよ」
あー、何かわかる気がするわ。
こいつにプレゼンされたらどんなに正しいことでも、認めたくなくなるよな。
認めたら、このイケメンに敗北した感じになっちゃうもんな。
「それで、イケメン様はどんなご用件で俺たちの基地に侵入したんだ? そもそも、このオモイカネはお前たち魔人には場所がわからないはず…。どうやってこのを見つけた?」
「何か言い方に棘があるな~。観察しに来たって言ったろ。どうやってここを見つけたかは企業秘密。結構苦労したんだぜ。俺たち共存派と組んで、魔王たちを倒すために共闘の申し出をしに来たんだよ」
マルファスの顔が接近し、赤い目で俺の目をじっと見る。
「うわっ、近い近い!!」
慌てて離れる。
あー、相手がイケメンだからか、何だか一瞬妙な気分になっちゃったぜ。
ゆっくり呼吸して、心臓を落ち着かせる。
こいつの情報は一方的だ。
俺には検証のしようがない。
会ったばかりだし、そもそも魔人だ。
交渉に来るなら、勝手に侵入しないでなぜ堂々と正式に会談を申し出ない?
とにかく俺は、このイケメンは信用出来ない。
博士に会わせるか。
いざ戦闘になっても、博士ならこんな弱そうな…といっても俺よりははるかに強いだろうが…魔人瞬殺だろ。
「はっきり言っておくが、俺は全くお前を信用してない。まず、エビデンスを見せろ。つっても、俺は素人なので検証のしようがないから、技術的に詳しい博士に会わせよう」
「やっぱり男は難しいか…。あぁ、いいぜ。その博士ってのに会わせてくれ。お前は自分ひとりで問題を解決しなかったことを後悔するだろう。博士ってのは前任のアリトンだろ? 美人らしいな。会うの楽しみだぜ」
瞬間、俺は頭が真っ白になった。
「はあ? てめえ、何考えてやがるッ!?」
「くくく、冗談さ。お前はホントに珍しいな。俺の能力が全く通じてない。伝説のトオルってイハの英雄の生まれ変わりってのは伊達じゃないようだな」
「能力…? お前何かしてるのか? 俺たちに何かしたらただじゃ済まないぞ!!」
「俺は何にもしてないぜ。勝手にみんな勘違いしちゃうだけだしな」
「どういうことだ?」
「とにかく俺には悪意はない。本当に交渉に来ただけだ。危害をお前たちに加えるつもりないし、それに俺は弱いんだ」
また爽やかな笑み。
こいつ神の怒りで死なねーかな。
その爽やかさが罪なんだよ!!
まあ、こいつがどんな能力だろうが、博士やリルレたちには勝てないだろうし大丈夫だろう。
そう判断し、俺は博士たちに会わせるべくマルファスと部屋を出た。
あー、イケメンってそれだけで周りにストレスを与えますよね!
作者としては、マルファスはイケメンってだけでむごたらしい死を与えたいですが、さてどうしよっかなー。




