63本目
段々ペースを取り戻しつつありますね~。
その後俺たちは無事にワープを終了し、ブラックホール・スポットから地球に向かっていた。
あー、やっと帰れるぜ。
ペッボレゲセにギュナイドゥン…凄い冒険をしたもんだ。
俺なんてただのハゲたおっさんだったわけだが、今や地球…いや宇宙を救うために戦う英雄ってわけだ。
元の時代の日本に帰って本でも書きたいわ。
まあ、誰も信じてくれないだろうけど。
2000年後の地球にタイムスリップして、他の惑星にも行っただなんて、俺だって信じられないくらいだ。
取りあえず地球に帰ってマミムの手足を治したら、少し休みたいな。
酒の醸造にトライしてみたい。
糖を発酵させれば酒は出来るはずだ。
博士の研究所で作り方の情報くらい手に入るだろう。
究極の目標は日本酒だ。
魚の刺身食いながら日本酒を飲むのが、目下の俺の夢である。
あー、温泉入って刺身食って日本酒飲みてー。
そうだ、温泉も掘ろう。
俺には温泉が必要だ。
これも博士に手伝ってもらうか。
ワクワクしてきたぜ!
今日中には地球に着くだろうし、2、3日ゆっくりしてから取りかかるか。
俺は自室から出て、博士に相談するためにブリッジに向かった。
「なあ博士、ちょっと相談があるんだけど…」
「サトルちょうど良かった。こちらも相談がある」
「そっか。あのさ地球に帰ったらなんだけど、温泉掘って欲しいんだよ。みんなで温泉に浸かって疲れを癒そうぜ! あと酒の醸造を始めたい。博士の研究所の端末で作り方わからないかな…?」
博士が俺の方を見て固まっている。
どうしたんだ一体?
「なあ、聞いてるのかよ。温泉と酒! 地球に帰ったら博士に手伝って欲しいんだって」
博士がうつむき額に拳を当てる。
何か様子が変だ。
そんなに俺の要望が難しいのかな?
「あー、もうわかったよ。どっちかだけでもいいからさ、頼むよ」
「地球…」
博士が口を開いた。
「わたしたちはもう地球に着いてるんだ」
「え?」
モニターを確認するとまだ宇宙空間だ。
念のために窓の外を見るが、やはり宇宙空間である。
「何言ってるんだ博士? 着くのは明日くらいじゃないのか?」
「ブラックホール・スポットから出て、既に3日以上経っている。座標も何度も確認した。だが、あるべき場所に地球がないんだよ!! 地球が消えた! 太陽系に地球だけ忽然と消えてしまったんだ」
は?
意味わからない。
地球が消えた?
俺の温泉と日本酒どうなんの?
いやいやいや、地球にいたみんなは?
第二世代の連中や、地球に残してた第一世代のワヲンとキクはどうなったんだ!?
それに、マミムの手足はどうなるんだよ!!?
「それホントか? もっと確認してみてくれよ!」
「確認した。何度も確認したんだ。だが地球があるべきところに空間があるだけで何もない。これを見てくれ」
するとモニターには懐かしいものが映し出される。
月だ。
見覚えのある月だ。
見間違えようがなく、よく知っている地球の衛星の月である。
「月…。ということはやはり…」
「間違いなく、地球だけない!」
「みんなを集めて緊急会議をしよう」
博士がみんなを召集してくれた。
「ホントだ、地球だけないですね」
リルレがモニターや立体映像で確認する。
「もし破壊されたのなら、周辺に破片が散らばっているはずだが、それもないな…。ということは、どこかに転移されたということか?」
「恐らくは魔王による魔法陣だろう」
博士が俺の問いに答える。
『惑星ごと転移させるなんてこと出来るんですか?』
「現実に地球は消えた」
『……』
「さて、今後どうするか、みんなの意見を聞きたい」
「月の基地に一旦行かないか? もしかしたら誰かいて状況を把握出来るかもしれない」
と、リルレ。
『もし良かったら、そのあとまたペッボレゲセに行きませんか? あそこなら生活に困ることないと思うし第一世代のコサ様もいますしね』
「なるほど、ではそうしよう。一旦月に寄って、何もなければしばらくペッボレゲセで様子を見るというのもありだな」
博士が締めくくる。
ということで、俺たちは月にある基地に行くことにした。
月か…。
アメリカのニール・アームストロングがアポロ11号で人類初の月面着陸をした際に「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大なる飛躍である」と言った。
1969年のことである。
俺が産まれたのは1985年…昭和60年だ。
それよりも人類は16年も前に月面着陸に成功した。
俺が…。
何の取り柄もないたかが凡人の俺がこれから月に行く。
すっげーーーっ!!
何か、ペッボレゲセとかギュナイドゥン行ったときよりもめちゃくちゃ興奮する。
月って人類の夢みたいな感じじゃん?
この俺が月か…。
すげーーーッ!!
めちゃくちゃすげぇ!!!
やべーよ。
何かひとこと言わなきゃ!
カッコいい言葉言いたいよね。
あー、緊張して嬉し過ぎて何も思い付かないのぉ~~~!!
ドキドキしていたら、急に博士が怒鳴る。
「ホワイトホールエンジン作動! トランスフォーメーション開始ッ!!」
え、何なに?
どうしたの?
ヘルメスがロボットモードに変形する音が艦内に響く。
相変わらず燃えるシチュエーションだぜ!!
しかし、一体なぜ!?
博士がモニターに何かを映し出した。
それは宇宙空間に浮かんでる黒ずくめの誰かだった。
これは…こんなときにまさか、魔人か!?
通信コールが来たので博士が応対する。
「貴様…誰だ!?」
「おいおい、ご挨拶ですね。わたしですよ。第二世代のイウです」
禍々しい雰囲気…オーラを纏いながらイウが言った。
あのショートカットに華奢な体…確かにイウだ。
出発前に極炎のオリエンスを倒すために共闘した第二世代のイウだった。
ヴァーチューズは、モード「ストラティオティス」になると、自分のカラーを前面に押し出した変化をする。
イウの場合は燃えるような赤だった。
それが、漆黒よりも暗い黒で俺たちの乗ってるヘルメスの前に宇宙空間で立ちはだかっている。
「裏切り者どもめ。全員わたしが殺す。シスやエオカの仇は取らせてもらうぞぉッ!!」
イウの両手が不吉な恒星のように輝きだした。
ち、地球が!?
一体どうなるのか作者も知りません。
誰か教えてくれませんかね?




