59本目
今回はサトルがめちゃくちゃクールです。
惚れたw
目が回復してきた。
俺に群がって俺を食ってる幼虫たちを見て絶句した。
人間の子供に見える。
ペッボレゲセ人みたく触角があり、目をよく見ると擬態で機能してないのがわかるが、パッと見ホントに人間の子供に見える。
そいつらがキュウキュウ鳴きながら俺を食べてるじゃないか!!
そうか、こいつらはもしかしたら、元々この星にいた人間型知的生命体に擬態して託卵し、育ててくれた親を食ってたのかもしれない。
今は、アルティメチウムという希少鉱石で餌を誘き寄せているんだ。
怖気が走る。
「や、やめろ! やめろぉ~~~!!」
思わず叫んでしまう。
「やめろー」
「やめろー」
「や、やめろー」
幼虫たちが一斉に喋りだした。
そうか、幼虫時は擬態相手に育ててもらわなければならないため、言語学習能力が高いんだ。
『大人しく食べられてよ。そうだ、痛くないような毒をたくさん打ってあげようか? この毒入れるとみんな凄く喜ぶんだよ。食べられるのが気持ちいいんだって。みんなもっと食べてーってお願いしてくるんだよ』
俺を連れてきた女王候補が言う。
見ると、こいつも人間に似ている!!
一見美少女だが、手足は外骨格だ。
顔も無表情。
女王になる前は、女王候補も人間型に擬態しているということか。
ズルリと尻のあたりから尻尾が出てきて、先に針がある。
さっきもあれで動けなくなったのか…。
こいつは数種類の毒を生成し使い分けることが出来るようだ。
刺されると、食われることが快感になるらしい。
冗談じゃない!!
まだ体は万全じゃないが、今動くしかない!
俺は一応宇宙最強の地球人なんだ。
が、思ったより相手の動きが速かった。
一瞬で間合いを詰められる。
辛うじて針を避けるが、危うかった。
いかんいかん、油断は禁物だ。
すると、幼虫たちが俺の足元にまとわりついてきた。
「やめろー」
「やめろー」
無表情で俺の言葉を繰り返している。
マズい。
これだとやつの素早い攻撃を避けられない。
そのとき、俺は瞑想で得た集中力を思い出した。
実は暇さえあれば俺はヨガをやっていたのであった。
ヨガの極地は自我と宇宙我の融合である。
他者との融合でもある。
空気の流れ…霊子の流れを読むんだ!!
瞬間。
また素早い針攻撃が来るが、俺は再度避けることに成功した。
幼虫たちに脚を動かせないようにされているにもかかわらずだ。
やつは外骨格の構造上の問題なのか、動く前に一瞬タメがある。
そのタメさえわかれば、何とか避けることが可能だ。
『ッ!! わたしの攻撃を二回も避けた? 何で何で何でー? しかも、毒が効いてるはずなのにもう動けるみたい。何で何で何でー?』
またタメだ。
間一髪避ける。
「ッッッ!!! 偶然じゃない! こいつ、わたしの攻撃を完全に見切っている!?」
俺は怒りに任せて、幼虫たちの頭に拳を打ち付けた。
見た目は人間に似てはいるが、ぶよぶよして骨がない。
やつらの頭は簡単に潰れていく。
「やめろー」
「やめろー」
じたばたと逃げる幼虫たち。
滑稽で笑いがこみ上げてくる。
「わはは、地球人を舐めてたな。皆殺しにしてやるよ」
向こうも俺を食おうとしてたんだ。
見た目はみんな可愛らしい人間の子供に見えるが、躊躇する気持ちは全くない。
『貴様ぁ~~~、よくも幼虫たちを!! 絶対に許さないぞぉッ!!』
「あのさぁ、お前言ってることやってることがめちゃくちゃだぞ。俺は殺されそうになったんだ。殺そうとする相手を殺して何が悪い? しかも、俺たちはお前たちの星を救った張本人だぞ。何で英雄である俺たちが助けたお前らの餌にならなきゃいけないんだよ。おかしいだろうが」
『わたしはそういうことはわからない!! 幼虫を殺された仇を討つ!』
また思考停止か。
自分は危害を加えてもいいが、こっちはダメ?
話にならない。
自分たちがやっていることが悪いことだなんて微塵も感じてない。
日本にいい言葉がある。
「バカは死ななきゃ治らない」
またタメだ。
で、避ける。
こいつは何で俺が自分の攻撃を避けているのか、全然考えない。
攻撃の仕方もワンパターン。
試行錯誤しないし、宇宙のこととかも考えない。
考えないことは楽だ。
こいつも女王の言うことを聞いてるだけなんだろう。
言うことを聞くだけも楽だよな。
盲目的に生きるのは楽だ。
宗教やスピリチュアルと一緒だ。
だけどそれじゃあ、自分で考えなきゃいけない場面に出くわしたときに、全く対応出来ない。
こいつは常に思考して実行する俺には絶対に勝てない。
またタメだ。
その攻撃は通用しないっていい加減学習しろよ。
そして、自分がその単純な攻撃のせいで反撃されて死ぬかもしれないと想像しろよ。
俺はやつの針攻撃を避けたついでに尻尾を掴み、力任せに引っ張った。
俺の拳がやつの体を貫く。
念のために、尻尾を踏みつけて引きちぎった。
「キシャァアアアーーーッ!!」
口から断末魔が発せられる。
やっぱりこうして見ると、人間とは似て非なるものだ。
そして俺は頭を踏み潰し止めを刺した。
全く後味が悪い。
ちくしょー。
さて、早くみんなを助けに行かなければ。




