53本目
危うく更新出来ないところでした…!!
今回から新しい星系での新展開です!
最後の第一世代がいるところは、外骨格…すなわち昆虫型の知的生命体が支配するギュナイドゥンという星系らしい。
ホワイトホールエンジンの制御に必要なアルティメチウムという希少金属がそこにしかないようで、ペッボレゲセ人と交易しているようだ。
惑星ペッボレゲセにも、何匹…何人かいたらしいが俺たちは会うことはなかった。
正直会いたくないね…。
人型の昆虫なんて会いたくねえだろ。
ゴキブリにもし似てたらどうすんだよ。
悲鳴上げて気絶しちゃう可能性あるぞ。
昆虫が大型化するには、いくつか条件が必要だ。
地球にも昔巨大な昆虫や恐竜がいたが、酸素濃度が濃くないと難しいらしい。
それと、外骨格は大きな体は支えられないだろうから、重力はあまりない方がいいので、惑星ギュナイドゥンは少なくとも地球よりは小さいはずだ。
知的生命体となって文明を築くには、手が必要であり口も必要である。
猿が人間に進化して文明を築けたのは手があったからだし、イルカに文明を築くことが出来なかったのは手がなかったからだ。
ただし、ペッボレゲセ人みたく、意識でコミュニケーションしている可能性もある。
昆虫が知的生命体に進化した姿に興味はあるが、会いたくないことに変わりはない。
ワープ可能なブラックホールスポットに着いたので、俺とマミム、パニ姫は防護カプセルに入る。
ワープ中、生身の我々は体内の霊子に影響を受ける可能性があるからだ。
ワープ中の景色見たいんだけどな。
ペッボレゲセに行くときもそうだったが、カプセルの中で寝てしまい、気付くともうギュナイドゥンの星系近くにいた。
最後のドミニオンズは、ギュナイドゥンの衛星に駐在しているらしい。
昆虫たちに会わなくて済むかもしれない。
「なあマミム。ギュナイドゥン人は虫だってさ。お前大丈夫?」
いくらマミムでも、女の子だしさすがに苦手だろ…。
「虫好きだよ。よく食べるし。楽しみだわ~」
食べるつもりなの!?
想定外の答えだよ、これ。
「姫はどうですか? 虫」
『わたしは何度も交易のためにギュナイドゥン人に会ってますので、平気ですよ。ギュナイドゥン人は小さくてなかなか可愛いんですよ~』
えー、そうなんすか。
怖がってるの俺だけ?
「博士やリルレは会ったことあるのか?」
「我々も会ったことないな」
「ゴミの口に虫を詰め込んであげるから、楽しみにしててくださいね。このゴミ未満の虫が」
リルレは巨乳専科の件まだ根に持ってるんですかね…?
こえーよ。
『俺は楽しみだな。虫は大好物だぜ!!』
フェニは嬉しそうだ。
お前には訊いてないけどな。
つーか、みんなギュナイドゥン人食べたり食べさせたりするつもりなの?
マミムに食べられて悲鳴を上げる人面のゴキブリを想像し、俺は身震いした。
最後の第一世代がいる、惑星ギュナイドゥンの衛星ナスルスンの基地に向かう。
ナスルスンは星そのものが人工的かつ金属的なパーツで覆われていて、魔王の衛星兵器コカビエルに似ている。
大きさは比較にならないくらいナスルスンの方が大きいが。
ナスルスンはホワイトホールエンジン用の希少金属アルティメチウムを産出するため、外敵が攻めて来てもいいように武装しているそうだ。
採掘されたアルティメチウムは、掘り出した岩石ごとギュナイドゥンへレールガンで打ち出され輸送されるらしい。
確かにギュナイドゥンと思われる美しい惑星に、時折何かを打ち出しているのが見えた。
俺たちの乗る惑星間機動戦艦ヘルメスは、ナスルスンのドック内に収容された。
降りると…いるね。
虫たち。
何種類かいる。
でも、思ったより不快じゃないかも。
なぜなら、ほとんどのギュナイドゥン人たちはモフモフの毛に覆われていた。
それと大きさが中型犬くらいしかない。
脚は地球の昆虫と同じく6本。
目は複眼のようだ。
口は普通に虫っぽいから、やはりしゃべれはしないだろう。
ギュナイドゥン「人」って言うより、デカいモフモフの虫にしか見えない。
しかし、一番前の脚の先が、人間の手のようにやや複雑になっていて、その手で作業しているところを見ると、知能は高いようだ。
みんな黙々とどこか行ったり来たり、作業したりしてる。
すると、1匹のギュナイドゥン人とブリキのロボットが近付いてきた。
ロボットは最後の第一世代だろう。
やって来たギュナイドゥン人は他の小さいのと違って、人間の子供くらいあり、カマキリのように上半身が起きてて何となく他の個体より人間に近い気がする。
カマキリみたく細くなく、他のギュナイドゥン人のようにモフモフで丸っこいが。
『皆さん、ようこそいらっしゃいました。わたしはナスルスンの最高司令雄体であるマッシャッラーと申します。よろしくお願い申し上げます』
雄体…オスってことか。
意識が伝わってくるってことは、やはりコミュニケーションはペッボレゲセ人とやり方が同じだな。
言葉とか気にしなくて助かる。
「オレはドミニオンズのノハ。救世主…解放をヨロシク頼むヨ」
一応博士に確認する。
頷いたので、オッケーということだ。
指を差し出すと、ノハは咥えた。
「救世主トオルのDNAコードを確認。パンドラロック解錠。モード『ハルマゲドン』解放。再構成開始スル」
ノハは輝き分解され再構成されていく。
現れたのは長髪の南アジア系の背の小さな美少女サイボーグだった。
肌はコサさんほどではないが黒く、瞳が澄んだブルーで綺麗だ。
ボディは他のドミニオンズたちと同じく、白く輝いている。
この小さな体躯にどのような力を秘めているのか。
「あー、久しぶりにこの姿になれたぜ。サンキューな」
そう言って俺の頬にキスをした。
「なッ!!」
「ちょ、あんた何ハゲに勝手にキスしてんのよ!!」
マミムがノハに迫る。
「何だお前。初めて見る顔だな。サイボーグじゃないようだが地球人なのか?」
「久しぶりだな、ノハ。その子はリルレのむすめ…クローンだ。お前がギュナイドゥンに行ったあとにわたしが作った子だよ」
「ということは、この子がイブか」
頷く博士。
「ハゲもデレデレしてんじゃないわよ!!」
「ぶぎょぇッ!!」
ボディブローが理不尽にも俺の腹に炸裂した。
「な、なぜ…?」
倒れる俺。
「おいおい、乱暴なやつだな。そんなことしたら可哀想だろ。大丈夫か?」
ノハが俺のことを優しく介抱してくれる。
あー、言葉遣いは少し乱暴だが、優しい子だわ。
「ま、これだけ無事なら死んだって構わないんだけどさ」
「ッッ!!?」
そう言って、俺の股間を強く握った。
「うぎゃぁあああ~~~ッ!! は、離してくれぇ!!」
万力のような力に俺の豆鉄砲が潰れそうになる。
「オスの存在意義なんてこれだけだからなぁ。今度切り取ってコレクションにしてやるからな。安心しろ」
そう言って手離した。
な、何なのこの人!?
何が安心なの?
意味わからない!!
超意味わからない!!!
「ちょっとあんた、ハゲのアレに何すんのよ!!」
『酷いです。何するんですか~!?』
マミムと姫が俺を庇うように、ノハとの間に立ち塞がった。
「オレは種の保存のために男のアソコを切ってコレクションしてるんだ。どんな種族のものでもな。そうすればオスが滅びても、子孫を残すことが出来るだろ?」
えー、何それ?
だったら精子とかだけ採取すれば良くない?
ギュナイドゥン人のマッシャッラーが股間を押さえ、後ずさる。
『まさか…わたしのも…!?』
「クックック…。オスのアレはみんなオレのものさ」
マッシャッラーがダッシュで逃げてしまった。
今だかつてない超危ないやつだ。
テトナもめちゃくちゃなやつだったが、こいつもめちゃくちゃだ。
何で第一世代たちは変なやつばかりなんだろ…?
博士は何でこんなやつの解放を許したんだろ?
ふたつめの星系ギュナイドゥンでのこれからを考えて、俺は頭…と股間を抱えて悩んだ。




