43本目
『サトル殿、誠に申し訳ありませんでした!!』
フェニックスのおかげで進化してダンディになったバロアチ王が、俺に頭を下げた。
「いやいや、お互いに今回は危機でしたね! うまく乗り越えることが出来て良かったです」
王様は感極まった顔で俺の右手を両手で握り、何度も縦に振る。
結局その後、あの裁判官も首相も死刑となったそうだ。
王への反逆は重罪である。
ちょっと可哀想な気もするが、王の権力を磐石にし、安定した政治を行うためには仕方のないことなのだろう。
絶対的な権力を持つ代わりに、王は民のために国に身を捧げなければならない。
バロアチ王とナー首相は、幼い頃からの親友だったようで、彼を死刑にするのも苦渋の決断だったはずだ。
ナー首相は、魔人の甘言により親友を裏切った。
それは政治とか関係なく、人間として許されないことである。
首相の後釜は、ウルトラマッチョになったモジャ大臣が受け継いだ。
もう大臣じゃなく、モジャ首相だな。
ちなみに、試しに逞しくなったモジャ首相と腕相撲したら、俺が勝った。
ペッボレゲセ人弱すぎるだろ…。
しかし、前みたくハグくらいで血を吐くことはなくなったが。
そして、俺たちは改めて歓待を受けることとなった。
『さあさあ、サトル殿が受けた屈辱を晴らすには足りませんが、我々の心尽くしをお受けくだされ』
ゾンビ扱いだった時とは大きな違いだ。
「もう気にしないで欲しいが、まあ、そういうことなら遠慮なく…」
パーティ会場で俺たちは一角に陣取り、俺とマミムは食って食って食いまくる。
まだ会場にいる重臣たちの雰囲気は、完全に俺を歓迎している感じではないが、まあ気にしてもしょうがない。
「いやー、最初からわたしは(もぐもぐ)ハゲ信じてたよ? ハゲはやっぱり(もぐもぐ)ハゲだったねー」
「お前が信じてたのは、向こうの方だったろうが…。ったく、調子のいいやつ」
「まあまあ、そんな器の小さいこと言ってると嫌われちゃうぞ?」
誰か鈍器持ってきてくれます?
「しかし、今回はコサさんにホントに助けられました。ありがとうございます!!」
あの場でもお礼を言ったんだけど、コサさんに改めて伝える。
「いえいえ! お役に立てて光栄ですわ。もっと早くわたくしが真実の鏡を見つけていれば、サトル様もあんな目に会わずに済みましたものを…。申し訳ございませんでした」
そう言い上品に頭を下げた。
あー、この人はホント淑女だなー。
「しかしコサさんは、自力でモード『ハルマゲドン』になれるんですね」
いつまでも恐縮されられても困るので、俺は話題を変えた。
「はい。第二世代はチャクラに霊子力エンジンを埋め込むことによりモード『ストラティオティス』となりますが、わたくしはヨガの修行により、チャクラを制御し霊子力を行使することに成功しましたので、自力でモード『ハルマゲドン』になることが出来るのです」
「相変わらず努力家だな、コサは。我々も見習わなければならない」
博士が言う。
「そのヨガをやると、俺でも霊子力ってのを扱えるようになるのかな?」
「なりますよ! しばらくペッボレゲセに滞在するなら、一緒に修行してみますか?」
「おぉー、是非!!」
「あ! ハゲズルい!! わたしもやるもん! ハゲだけ強くなるの禁止!!」
あー、はいはい。
「では、マミムさんも一緒にやりましょうね!」
コサさんは優しいなー。
「どうせなら、我々もヨガの修行をするか。霊子力がある程度使えるようになれば、ホワイトホール・エンジンのバックアップがなくともモードを解放出来るかもしれないし、稼働限界が伸びるかもしれん」
博士の提案にリルレも頷いた。
「いつまでもゴミの血が必要というのも屈辱ですしね…。屈辱……ハァハァ…」
「あらあら、そんなこと言ってリルレさん、サトル様のこと凄く心配してらしたじゃないですか」
「わ、わたしがゴミのこと心配? そんなこと物理的にあり得ないわ!! …こうなったらもうゴミに屈服するしかないですね。屈服……ハァハァ…」
あー、まあとにかくリルレも心配してくれたみたいで嬉しいわ。
確かにヴァッサーゴにめちゃくちゃキレてたしな。
『皆さん、この度は大変ご迷惑をおかけ致しました』
と、そこにパニ姫とモジャ首相が俺たちの席にやって来た。
あんなにちっちゃ可愛いかったパニ姫が、スレンダー美人になってしまっている。
マスコット的な感じで可愛かったんだけど、成人してるみたいだから、これが本来の姿なんだろう。
肩には通常モードで鶏みたいな見た目のフェニックスが止まっている。
「おー可愛い」
俺がフェニックスを撫でようとすると、つつかれた。
「いてッ! 何だこいつ!!」
『男がオレ様に触るんじゃねえ』
え?
これ、この可愛い鳥ちゃんが、こんなドスの効いた声でしゃべってる…意識に語りかけてるの?
『おいハゲ。全ての女は可愛らしいオレ様の奴隷だ。姫に近づいたら殺すぞ』
『急にどうしたの、フェニちゃん?』
姫がそう言うと、フェニックスは姫の耳を舐めだした。
『ほれほれ、こいつここが弱いんだぜ。あー、たまんねーわ』
『あん、ダメぇ! もう、フェニちゃんたら』
「止めろ、この野郎!」
フェニックスは捕まえようとする俺の手を逃れ、今度は脳天に嘴を刺した。
「うぎゃッ!!」
倒れる俺を嘲笑うかのように、フェニックスは再び姫の肩に止まり、耳を涎でべちょべちょにしながら舐めてる。
『ケケッ、バーカ』
どうも、こいつの声は俺にしか聴こえてないようだ。
くっそー。
あとで隙を見て焼き鳥にして食ってやる。
『皆さんヨガの修行されるんですね。わたしはパパ…王より皆さんのお世話をするように言いつかっておりますので、ご一緒させていただけませんか?』
姫はそう言い、俺のことを上目遣いでチラ見した。
鳥は舌打ちする。
ぬぉおおお~~~ッ!!
可愛い過ぎる!
ロリのときは何とも思わなかったが、育った今なら俺の39年ものの童貞を捧げてもいいかもしれない…。
「あー、うちそういうの間に合ってるんでお構いなく」
マミムが遮る。
何なんだよ、こいつは!
「別にいいじゃねーか。旅は道連れって言うだろ?」
『お願いします、マミム様。わたしの同行をお許しください』
マミムの右手を両手で胸の前で握り、お願いする姫。
あー、やべーなこれ。
可愛いわ。
マジ可愛い。
マミムは見た目可愛くて中身ウンコだけど、とうとう見た目も中身も可愛い女の子に巡り会えたぞ!!
「ちっ、仕方ないわね…。許す代わりに、わたしのこと尊敬し奉るのよ。あとハゲにあまり近づかないこと。ハゲが移るから」
『は、はい、わかりました!』
何でてめーは、そんなに偉そうなんだよ!
しかも、俺のハゲは伝染病かよ!!
『マミム様に許しを得ました!』
そう言って姫が俺の腕にくっつき、笑顔を向ける。
あ、ヤバいヤバいヤバい。
股間の豆が豆鉄砲にトランスフォームしちゃうよ?
「離れろっつーの!!」
『姫にくっつくんじゃねー、このハゲ!!』
「オブルスァッ!!」
俺は鳥に脳天つつかれ、更にマミムに突き飛ばされ壁に激突し気絶した。
マスコット的な動物キャラが欲しかったので、フェニちゃんに担ってもらいます!!




