29本目
今回は長ったらしい説明回です!
「なあ博士、気になってたんだけど、博士とオリエンスってどんな関係だったんだ?」
「あ、それあたしも気になってたのよね。ハゲにしてはいい質問じゃない」
こいつは何でも上から目線だし、イチイチ人をムカつかせる。
俺は昨日受けた怪我の治療のため、博士の研究所のベッドに寝かされていた。
今、俺と博士、来なくてもいいのに見舞いに来たマミムの3人が治療用の部屋にいる。
チューブが俺の左腕の静脈に繋がっており、治療用ナノマシンを注入しているのだそうだ。
よく俺が怪我をしても回復が早いのは、いつも俺が気絶しているときにこのナノマシンを断りもなく勝手に注入しているおかげらしいことは、さっき知ったふざけんな。
普通そういうの体内に入れるときは本人の承諾がいるだろ…。
ちなみに、このナノマシンはウイルスくらいの大きさでたんぱく質で出来ているらしく、一定時間過ぎると酵素が働いて分解され栄養になるようだ。
「オリエンスとは古い付き合いでな。わたしが人類の味方となるまでは仲間だったのだ」
「ということは、博士は昔魔人だったってことか?」
「あ、今わたしがちょうど質問しようと思ったのに…。ハゲもわたしのレベルに近づいてきたのね~。よしよし」
誰か鈍器貸してくれませんか?
ブン殴りたいんだけど。
「その通りだ。わたしはかつて平行宇宙の民アスーラの頂点、四天のひとりで華水のアリトンと呼ばれていた」
「四天…魔王直下の4大魔人とか言ってたやつか。博士がそうだったなんて…」
「あ、もしかして、博士って魔人だったんでしょ! フフッ、その顔は図星ね」
マミムのドヤ顔がうざったい。
あのさあ、それもう終わった話でさっき俺が訊いたし、博士も答えたよね!
人間はストレスを感じると防衛反応で副腎皮質ホルモンであるコルチゾールが分泌される。
これが副腎で作られる際に活性酸素という有害な物質が産まれるのだが、俺はこいつといると活性酸素の影響で寿命がどんどん縮まりそうだ。
「そういや前に魔人たちとはコミュニケーション取れないから、こっちの宇宙に来た理由は憶測でしかわからないって言ってたけど…」
「ああ、わたしが元魔人と知られるとめんどくさいからテキトーに答えたのだ」
「あー、そうなのね…。何で博士は魔王を裏切って人類の仲間になったんだ?」
「あ、今わたしもちょうど…」
「うっせー! だあってろ!!」
「うわぁ~~~ん! 何でよ!? あたしも会話に参加させてよぉ~~~ッ!!」
うるせー死ねーーーッ!!
はぁはぁ。
「…いいよ。参加していいよ」
「わーい」
あやすの簡単だな、もうニコニコだよ。
これはそう…修行だ。
このバカは俺の修行のために、神が遣わした天使なのである。
あ、神は人造人間だったっけ。
「我々は元々別の宇宙の民だったのだが、宇宙の寿命が尽きかけ、滅亡の危機にあった。そこでこの宇宙の存在を発見し、移民することにしたのだが、ひとつ問題があった」
「あーわかるわかる。なるほどね」
イラッとするが、俺も博士も無視。
だいたい何が問題なのかまだ言ってないだろ!!
「宇宙を構成する元素のひとつ、霊子が我々の宇宙と異なっていたのだ」
「前から訊きたいと思っていたんだけど、霊子って何なんだ?」
「霊子とは、魂の構成要素であり、思いをエネルギー化して現象を発現するための最小元素だ。これがあるから転生したり魔法が使えたりするのだが、物質にも反物質があるように、この宇宙の霊子と我々の宇宙の霊子はプラスとマイナスの関係にあり、我々がこの宇宙に無防備に来ると魂が消滅してしまうのだ」
「あーわかるわかる。なるほどね」
シカト。
完全シカト。
「だから、霊子ってのを変えたから、俺みたく普通の人間はドームの外に行けないのか」
「そうだ」
「わたしはスーツが守ってくれるから行けるのよ。凄いでしょ」
知らねーし訊いてねーしどうでもいーよ。
「いや、スーツ着ててもダメだぞ。サイボーグ化して体内の霊子を保護しないと存在が消えてしまう」
ダメじゃん。
「えぇええッ!? ダメなのぉ~~~!!? し、知らなかった…。わたしの存在が消えてしまう…」
引くくらい落ち込むマミム。
何でそんなに落ち込むのかわからないが、一応慰めておく。
「俺も一緒だ。気にすんな」
「うん、わかった!」
相変わらず素直なやつ。
「それで何で博士はこちら側に寝返ったんだ?」
「わたしは最初は知らなかったのだ。宇宙改変計画という、この宇宙の全ての霊子を我々の霊子に変えて、こちらの生物を全て滅ぼし我々の住める宇宙にしてしまおうという恐ろしいことを魔王は企んでいたということを」
「なるほど、あんたはあるときその計画を知り、それが許せなかったのか。でも、放っておけば魔人たちも滅びちゃうわけだろ?」
「そこでわたしはこちらの宇宙で居住可能な惑星を探した。でも、宇宙は広くなかなか見付けるのが困難で、見つけたとしても既にそこには文明があったりした。わたしはアスーラの特使として、一部の星系を譲ってもらうように交渉したが、もちろん向こうとしては許容出来るはずもなく、状勢はどんどん戦争へと傾いていった」
「ねえハゲ。わたしはもちろんわかるんだけど、あんた理解出来てる?」
「え、もちろん大体は理解してるけど…?」
「え!? へー、ハゲのくせに生意気よ! ハゲのくせにぃいいい!!」
何なの、こいつ?
もしかして全然話がわかってないのか?
「あとでお前にもわかるように説明してやるから…」
「うん、わかった! あ、いや、わたしはわかってるけど、あんたがどうしてもそうしたいならしてもいいわよ」
「あー、はいはい」
プライドの高いバカほどめんどくさいものはないな。
「最初に攻めるのが水が豊富で最も住みやすい地球とわかり、わたしは事前に危機を伝えるために地球の中でも発言力があり、平行宇宙に関しての研究をしている者と接触を図った。それが、お前の前世の父親アキオとの出会いだった」
お、俺の前世の父親だって!?
何かいきなり俺と関係のある話になってきたぞ。




