27本目
あいつが…あいつが極炎のオリエンスか…。
第一世代のキクとワヲンふたりの超スピードの連携攻撃を受けているが、今のところはかわしたりブロックしたりしてダメージがないようだ。
とにかく黒い。
闇のような黒が、そこかしこにある戦闘による炎で照らされ、地獄から這い出てきた悪魔を連想させる。
全身鱗状の圧縮オリハルコンの装甲で覆われた長身でシャープなシルエット、笑っている髑髏の仮面で素顔を隠しているが、それが表情を読ませずに恐怖を感じさせた。
そして、右の手のひらが青白く輝いて超高熱を発している。
恒星内に魔法陣を仕込み、右手の魔法陣でその熱を召喚しているのだそうだが、自分自身が蒸発しないように薄い断熱と冷却の魔法陣を熱の魔法陣の間に仕込んでいるらしい。
熱を放出すると、放出した瞬間に自分も燃えてしまうため右手で触れないとその力は発揮出来ないようだ。
最大10億度まで出せるらしいが、恐らく封印のおかげで1億度くらいしか出せないだろうとのこと。
核融合と一緒じゃん…。
まあ、そこまで高温だといずれにしろ脅威だし、あまり変わらないよね…。
オリエンスは飛べるらしいが、相手の攻撃の選択肢を狭めるために地面に立って戦っている。
もし空中戦をすると、死角である足元からワヲンに掴まれ、その隙にたちまちキクに両断されてしまうだろう。
キクは両手の手甲から伸びている超振動分子分断ブレードを使い、リーチを活かして中距離攻撃を行い、ワヲンは超音速加速装置によりヒット&アウェイで攻撃している。
接近戦になるとオリエンスの右手で蒸発させられてしまうからだ。
オリエンスは攻撃せずに防御に徹していて、動きに余裕があるようにも見える。
キクの攻撃も起こりがなく手首の振りだけで無拍子に攻撃し、ワヲンも速過ぎて消えたり現れたりを繰り返してキクのために隙を作らせようと攻撃したり掴もうとしているが、オリエンスはふたりの動きを予測しているかのように回避している。
ふたりの攻撃は目で見てからだと絶対に間に合わないはずだ。
人間は1秒間に脳に静止画像を60コマ送ることによって、連続した映像として捉えてるという。
しかし、キクやワヲンの攻撃は60分の1秒とかそんなレベルじゃない感じがするが、オリエンスは無駄なく避けている。
「お前たちに活動制限時間があることはわかっている。俺は攻撃を避けながらその時間が来るのを待てばいいのだ」
オリエンスから渋い男の声が聴こえてきた。
て、敵ながらカッコいいし、戦略として間違ってない。
ふたりはあと2分くらいでモード『ハルマゲドン』としての活動限界が来てしまう。
このままでは、ひとつも傷を付けられず、リルレの荷電粒子砲を撃っても、あの鱗状の装甲で弾かれてしまう。
待てよ…やつは予測しながら動いてるわけだから、全く予測出来ない事態を作ったらどうなんだ?
ドクン。
こ、こえー。
でも…一か八か、やるしかねえ!!
俺は意を決し、もう少し見えるところまで走って近づいた。
オリエンスの手の熱の余波で燃えるように熱い。
「ちょ、あんた何やってるのよ!?」
「サトルッ!!?」
マミムと博士の声が聴こえたが、俺はお前らふたりのさっきの言葉のお礼がしたいんだ。
死ぬほど怖いけど、あいつを倒せないで皆殺しになるよりマシだぜ!!
「おい、お前!! これを見ろぉおおお~~~ッ!!!」
3人が一瞬だけこっちを見る。
ぶりぶりぶりぶりぶりぃいいい~~~~~~~~ッ!!!!!
俺はケツを向け、思いっきり下痢気味の糞を放出した。
ビチビチブシャァーーーーーッ!!!
まだまだ出るぜ!!
「え? は?」
オリエンスの動きが止まった!
「今だ!!」
「ッッッ!!!」
ワヲンがその隙にオリエンスの右腕を掴み、キクが斬り込んだ!
「ぐおぉ~~~ッ!! バ、バカな…」
慌てて右腕を振りほどくが、もう遅い。
浅かったが、確実にオリエンスの胸にばってん状大きな傷を付けることに成功した。
赤い血が出てる。
ふたりは既にこちらに戻ってきて、その前にちょっと嫌そうだったけど俺の指を咥えモード『ハルマゲドン』となったリルレが右腕を銃状に変形させ、荷電粒子砲をぶっ放した。
相変わらず凄まじい威力で、吹っ飛ばされた俺をマミムと博士がキャッチしてくれた。
あー、ふたりにウンコ付いちゃったかな…。
荷電粒子砲の跡が地平線まで続いている。
「が、がはぁッ!!」
キクが傷を付けた胸を中心にほとんどの装甲が剥げて、オリエンスは体中に重度の火傷と裂傷を負っている。
仮面も取れてて、髪フサフサでイケメンじゃん!
死ねよ。
一刻も早く死んで欲しいです、はい。
そこにバスターデーモンたちを駆逐して戻って来た3人の第二世代が、オリエンスの周りに魔法陣を作る。
霊子力の流れを絶ち、回復させないためだろうか。
リルレがオリエンスの後ろに瞬間的に移動し、右腕を手刀で斬り落とし、更に背中から手を突き入れ何かを引っこ抜く。
「ぶほぉッ!!」
「あれは魔人の心臓とも言える霊子核だ」
博士が言った。
リルレがその霊子核を握り潰した。
リルレ容赦ないな…。
「うぐぉおッ!! そ、そんなバカな…。この俺が…1万年生きた、この極炎のオリエンスが…」
オリエンスが倒れる。
「同胞たちの仇…討たせてもらったわよ。あなたとも長い付き合いだったわね」
オリエンスの全身からシューシュー音を立てて、何か蒸発しているようだ。
霊子核を壊された影響か?
博士がパンドラロックを解除しないまま、オリエンスに近づいて行った。
「最強七人を舐めてたな、オリエンスよ」
「ニヌ…」
博士がしゃがみ、オリエンスを抱える。
博士が敵にあんなことを…。
「かつての仲間…元四天としての情けだ」
「ニヌよ、お前が…イハのやつらの仲間となってからというもの…ゴホッゴホッ…俺はずっと虚しかったのだ…。お前のいない生など…つまらん。うぅ……イブリース様にお願いして力を戻してもらい会いに来たのだよ。せめて、最後はお前にとどめを刺して欲しい。…頼めるか?」
「…よかろう。サトルよ」
俺も近づき、指を差し出す。
「そうか…こいつは見た目は全然違うがトオルだな? あんなことするなんて…ウンコで…ウンコで俺が死ぬなんて……ちくしょお、俺まだセックスしたことないのによぉ…」
え、俺と一緒じゃないですか!!
俺は急にオリエンスが好きになった。
「な、なあ、何も殺すことないんじゃないかな…」
博士がモード『ソクラテス』となる。
オリエンスが博士の胸に手をそーっと近づけた。
「相変わらず美しい。あ、最後にせめておっぱ」
「どりゃぁッ!!!」
空中にオリエンスを放り投げる。
「あ、ちょ、ま…!!」
「安らかに眠れ、オリエンスーーーッ!!!」
博士が拳を突き上げながら飛び、オリエンスをぶち抜き消し飛ばした。
「強い男だった…」
博士の目に涙が光る。
あー、超かわいそう。
やっぱり死ぬ前はおっぱいだよなー。
男としてすげー気持ちわかるわ。
安らかに眠れよ、オリエンス。
こうして、オリエンスは俺のウンコの前に敗れたのであった。
童貞の皆さん、後悔しないように生きてくださいね…




