20本目
俺の住居は用意してくれるとのことだが、取りあえず俺が生身の人間だということで、リルレとマミムの住居に仮住まいすることになった。
ちょうど倉庫として使ってた部屋があり片付ければ使えそうなので、先日俺たちと一緒に侵入してきたゾンビを使って綺麗にした。
ゾンビ便利じゃん!
まあ、これでやっと一人だけの空間が出来たわ。
こっちに来て以来、ひとりだけの時間が全然取れず、モンモンとしていたんだよね。
ひとりならさ、そのさ、膨れ上がったリビドーをどうにか出来るじゃん!!
今夜が楽しみだぜ!
あと、マミムの家にはマミム用に風呂があった。
これはホントにありがたい!!
やっぱり日本人は風呂でしょ。
久しぶりにゆっくり湯に浸からせてもらった。
あー、ホント気持ち良かったわ。
元いた世界の俺の部屋にはユニットバスがあったが、あれはあんまりリラックスして湯に浸かれないので、ほとんど入浴せずにシャワーで済ませていたが、家に風呂があるってのは人生を豊かさにしてくれる。
入浴は血行を良くするだけでなく、水圧によるマッサージ効果もあるし、何よりストレス解消に繋がる。
あと酒があったら最高だな。
今度訊いてみるか。
食事は、サイボーグたちも生体部分の維持のために必要なので、肉や野菜は備蓄してあるようだ。
調理道具や調味料が欲しいので、要望しておいた。
俺は料理も好きで、友達と外食する以外はほとんど自宅で料理して食事している。
ハンバーグとか作って食べたい。
俺のハンバーグはパン粉や卵などの繋ぎを使わない特製なのよ。
挽き肉だけではなく、肉を包丁で細かく切って混ぜて、歯応えを出すよう工夫している。
もちろん合い挽きなど使わない牛100%だ。
噛むと肉汁がジュワッと出てたまらないんだな、これが。
あー、めちゃくちゃ食いてえ!!
マミムは馬が好きみたいだから、もし手に入るなら馬肉ハンバーグもいいかも。
とにかく安定してたんぱく質が摂れるのは、栄養学的に考えても非常にいいことだ。
人間の乾燥重量の70%はたんぱく質だ。
体を構成する要素として最も重要な栄養素であり、最低でも1日に体重の1000分の1は摂らないと健康の維持が難しいとの説もある。
体内で起こる化学反応のことを代謝と言うが、代謝は酵素というたんぱく質によるものだ。
そのことだけでも、いかにたんぱく質が重要であるかわかるだろう。
肉だけではなく、野菜も楽しみだ。
しばらくすると、博士が調理道具と食材を持ってきてくれた。
数日かかるかと思ったけど早い!
調味料が塩だけだが、腕で何とかするしかないだろう。
早速、鍋料理を作ることにした。
この時代はマミム以外はサイボーグなので調理を必要としないし、人造人間たちも干し肉とか果物ばかりだ。
マミムは普段は野菜などはフリーズドライにして粉末にしたものを水に溶かして飲んだり、たんぱく質もペースト状に加工されたものしか口にしてないらしく、ときどき味や歯応えのあるものを求めてエデンに侵入して干し肉などを盗んでいたようだ。
しかも、俺の時代に来たときにわずかな携帯食しか持ってないのに2ヶ月間野宿しながらトオルを探していたらしく、金もないので何も食べられなかったそうだ。
それであんなにガリガリで、栄養失調で錯乱して俺にホームで飛び付いたらしい。
いくらバカでも可哀想だから、これからは俺が美味いものを食わしてやることにする。
も、もしかしたら夫婦になるかもしれないしね!!
鍋に水を入れ、博士が作ってくれたIHのような電磁誘導による加熱器具の上に乗せ熱を加える。
そこに骨ごとぶった切った何かの鳥の肉を入れ、塩を入れる。
そこに、人参や玉ねぎ、キャベツなどの野菜を細かく切って順次入れていく。
細かい方が栄養素がスープに溶け出してくれるし、玉ねぎとキャベツが甘味を出してくれるはずだ。
それに、鳥を骨ごと切って入れたので、骨髄液がダシになってくれるだろう。
料理してる間、マミムとリルレは興味深いのか、俺の両脇で料理の様子を大人しく見ている。
いい匂いにマミムなんかヨダレを垂らしそうで可愛い。
こいつは大人しくしてると可愛いな。
俺はあらかじめ食材を切っておいてから鍋に入れるとか、そういうめんどくさいことはしない。
根野菜などの固い野菜から切っては入れ切っては入れを順次行っていく。
さて、いい感じに煮えてきた。
味見をすると…うん、美味い!
塩だけだけど、骨髄のダシと野菜の旨味が引き立ってるわ。
ホントは昆布とかでダシを取るといいんだけどな。
あ、もしかしたらキノコあるかも。
椎茸あったら干しておけばいいダシになる。
とにかく、今日はこれを3人でいただくことにする。
食器をテーブルに用意していると、そこに博士が来やがった。
こいつ、いいタイミングで来やがって…。
まあ、一人くらい増えてもいいか。
料理を食べることに興味があるらしい。
じゃあ待ちに待った俺特製の鍋を食べますかな。
「じゃあみんな、早速食べようか!」
「は、早くしなさいよハゲ!」
「ゴミの作ったものにしては美味しそうですね」
「わたしは猿が作る料理というものに学術的興味があるだけだが、確かに何か本能に訴えるものがあるな」
「お前らなぁ…。まあ、いいや。いただきます!」
「「「いただきま~す!!」」」
久しぶりに、きちんとした美味しい料理にありつけた。
最高の夜だぜ!!
これで酒があったらもっといいな。
パンゲアにはやはりないそうなので、博士と相談して酒作りしてもいいかもしれない。




