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17/93

17本目

「あ、いけません! 博士の封印を解いては!!」


え?


何で?


リルレが俺と博士の間に割って入ろうとするが、指先にチクリと痛みが走る。


「モウ遅い。救世主トオルのDNAコードを確認。パンドラロック解錠。モード『ソクラテス』解放。再構成開始」


博士が輝きだし、分解と再構成を開始した。


どういうテクノロジーなのかさっぱりだが、とても美しい光景に心を奪われる。


どんどん醜いロボットから美しいサイボーグへと変化していく。


「え? 女!?」


てっきり博士は陰湿な男かと勝手に考えていたが、再構成を終えたその姿は非常にプロポーションのいい長身金髪の白人の女性であった。


リルレの再構築した姿も非常に美しかったが、博士もそれに匹敵するほど…いや、もしかしたらそれ以上に美しいかもしれない。


妖艶な色気を持って俺に近づいてくる。


「あ…あの…」


ドギマギしている俺の顎に手を添え、唇を近づけてくる。


ファ、ファーストキスはこんな美人とか…。


「ダ、ダメぇ~~~ッ!!」


「オブァッ!!」


俺を思い切り突き飛ばすマミム。


部屋の壁に激突し、また気を失ってしまう。


…。


……。


…………。


「ハゲ! ねえハゲったら!! いい加減起きなさいよ! ハゲったら!!」


何かムカつく声が聴こえてくる。


目を覚ますと3人の美女が俺を覗いていた。


「危うくモード『ソクラテス』を固定し、博士が最強となってしまうところでした…。ゴミのクセにキスとか生意気ですよ。するならわたしに…はぁはぁ、ゴミの汚い腐臭漂う唇で、高潔なわたしにキスしなさい!!」


ねえ、俺ってそんな汚い?


「ダメよダメ! そういうのは、お互い好きになってからじゃないと…」


チラッと俺を見て顔を赤くするマミム。


可愛いんだけど、こいつはバカ過ぎて…。


「惜しかった。もう少しでわたしが世界を支配出来たのに…。まあまたチャンスもあろう」


リルレと同様に、先ほどの金髪白人の美女ではなく口元以外は仮面のようなパーツで覆われた博士か意味ありげなことを言った。


リルレ同様、完全な封印解除とならなかったのだろう。


「何かよくわからんが、酷い目にあったぜ」


俺は起こされ、それぞれテーブルを挟んで椅子に座った。


テーブルの向かいにサイボーグ組、こちらが生身組って感じだ。


博士がお茶とクッキーのようなお菓子を出してくれた。


うおお!


この世界に来て初めてのお菓子だぜ!!


俺は実は甘いものが大好きである。


ちょうど腹が減っていたので、ひとつつまんだ。


うん、口の中に甘い香り…は広がらずに剣山を舌に刺したような熱く激しい痛みが走る。


「ゲボァッ! か、辛い!! 舌がめちゃくちゃいてぇよぉ~~~。 何じゃこりゃぁ!?」


「お気に召したようで嬉しいよ。わたしの手作りプリティクッキーだ。7日間煮詰めたハバネロに、シリカゲルと隠し味にダイオキシンを入れてクッキーの生地に練り込んだんだぞ」


全然お気に召してねえよ!


プリティクッキーって何だよ、ふざけんな!!


どこがプリティなんだよ、どこが!


こんなの作って一体誰得なんだよ!?


つーか、ダイオキシン?


猛毒じゃねえか!!


俺は慌ててお茶を飲んだ。


「オッバァアアア~~~ッ! うぎゃぁあああ~~~ッ!!」


俺はのたうち回り、食べたものと飲んだものを吐きながら悶え苦しんだ。


「そんなに喜んでくれるとは。特製の薄めた塩酸だ。原液は刺激が少し強いから、飲みやすいように薄めてみたんだ。わたしはこう見えて結構家庭的な女なんだぞ」


「喜んどらんわッ! 殺す気かーーーッ!!?」


「うふふ、照れ屋さんめ」


ねえ、俺照れてた?


どこら辺が照れてた?


地獄の苦しみを味わってのたうち回ってたんですが、照れてる要素あった?


「ヒー…ヒー…、み、水はないのか水は…?」


「はい水」


俺は奪うようにしてそれを飲んだ。


「おぶぉえぁッ!!」


「水なかったのでガソリンにしておいたぞ」


新しいタイプのバカの登場に、俺は戦慄しながらまたもや気を失った。

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