15本目
口から出る悲鳴を止めることが出来ない。
めちゃくちゃたけー。
これは死んだな。
君たち、何で投げたの?
俺の何、ハゲとかその辺が気に入らなかった?
あーあ、マミムのおっぱい揉んでおけば良かった。
思えば、俺が童貞を卒業出来なかったのは、プライドが邪魔をし、自分の気持ちを素直に表現しなかったことが原因だ。
わかってるんだよ。
今の人生の現状を作ったのは、自分自身の選択の結果なんだよな。
いつか起こる奇跡をただ待っていて、何にも行動しない人間は何かを得ることは永遠にない。
奇跡というのは、実は積み重ねの上に成り立つものであって、何もしないで美少女とセックス出来ることなんてないのだ。
ちくしょー!!
全てはもう遅い。
せめて、マミムのおっぱい揉みたかった。
もし…もし落ちて奇跡的に生き残れたら、マミムに言おう。
俺の素直な気持ちを絶対に伝える。
ビルの4階くらいの高さに放り投げられションベン漏らしながら、俺はそう誓った。
そして俺は意識を失った。
…。
……。
………。
「ハゲ! ねえハゲったら!! いい加減起きなさいよ! ハゲったら!!」
何かムカつく声が聴こえてくる。
あれ?
死んだかと思ったけど、俺生きてる?
目を覚ますと、俺は塀に囲まれた村の塀の近くに寝ていた。
塀を見上げると10mくらいの高さがある。
あ、もしかしてこの塀を越えさせるために俺をブン投げたのか…。
でも、あの高さから落ちたら少なくとも怪我するはずだが、俺の体は何ともない。
多分地面に落ちる前に、マミムかリルレが何とかしてくれたのだろう。
恐らく、この村に入るにはこの塀を越えなければならず、塀の外側からは何らかのテクノロジーで見えないようになっているというわけか。
ここがパンゲア合衆国というわけか。
都市というよりも、村だな。
半円状のドームのような建物がいくつも見える。
俺の感覚だと一軒家くらいの大きさなので、この村の住居といったところか。
最初に会ったリルレのように、見た目ロボットに見える恐らくサイボーグたちがウロウロしていた。
マミムが以前言っていたように、頭に2本の電極差したゾンビに荷物を持たせて歩いてる個体もいる。
「ここがパンゲアってわけか?」
「目覚めて良かったですね。目覚めなければゴミとして焼却処分するところでしたわ」
ホントに目覚めて良かった!!
生きてるって、それだけで素晴らしいね。
つーか、放り投げる前に事前説明が欲しかったのですが…。
「みっともなく豚のような悲鳴をあげながらのお漏らし…。素敵でしたわよ。さすがは救世主」
「や、やめて…あまりそういうことをほじくり返さないで…」
「ハゲ、早く立ちなさい。行くわよ」
「わ、わかった」
俺は立ち上がり、マミムたちに付いていく。
あ、そういや頭に電極ないからヤバくないか?
「な、なあ、俺ゾンビ扱いされて殺されたりしないだろうな」
マミムがおもむろにどこからか先の尖った電極を取り出した。
無表情で近づいて来る。
え?
それ刺したらヤバくない?
絶対に絶対に死ぬよね、それ。
「ちょ、ストップストーップッ!! 無理だって! 何か別の方法考えよう。な?」
電極を振りかぶるマミム。
ち、ちくしょー!!
ただでは死なん!
こいつのおっぱい揉んでから死んでやる!!
俺が遅いかかろうとすると、マミムはそれを越えるスピードで電極を振り下ろす。
ダ、ダメだぁ!!
「オブルスァッ!!」
あれ?
死んでない?
ジョボジョボお漏らしする俺の横をすり抜けて、なぜかそこにいたゾンビに電極をぶっ刺していた。
それにしてもうん、俺にはホント服いらないわ。
「な、なんでこんなところにゾンビが…?」
「多分わたしたちがステルス結界飛び越えるの見てて侵入して来たんでしょうね」
「そ、そっか…。で、俺はどうする?」
震えながら訊いた。
「ゴミのことは既に通信して一応不本意ながら人間として仮登録してありますので問題ないですよ、ゴミ」
ゴミ2回言っちゃってるよ、この人。
まあ、そんなわけで、俺は無事パンゲアへと辿り着くのに成功したのであった。




