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13本目

食事をしながら、リルレ自身のことを訊くことにした。


ちなみに意外なことにリルレも食事を摂るようだ。


確かに生体部分があるということは、細胞を維持するためにたんぱく質やビタミンが必要なのであろう。


この時代の人間は不老不死だと以前マミムから聞いたが、まさかサイボーグ化という手段を取っているとは。


しかし、無機物といえども劣化はあると思うので、パーツを取り換えることにより不老不死を体現しているのであろうか?


生体部分…例えば脳細胞の劣化はどうやって防いでるのか、元々分子生物学を学んでいた身としては、興味が尽きない。


ちなみに、俺たちは火を通して食べてるが、リルレは生のまま口の中に入れている。


咀嚼など必要なく、アミノ酸やペプチド、ミネラル、ビタミンなどに瞬時に分子分解して取り込み完全吸収してるそうだ。


栄養の吸収のロスがないのと、人間は消化吸収するときに発生する活性酸素による組織の劣化を免れないが、リルレの場合それがないのも生体組織の恒久的な維持を可能にする要因のひとつなのかもしれない。


「リルレさんはサイボーグなんですよね? マミムから現在の人間は不老不死だと聴きましたが、それはサイボーグ化した理由はそのためなんですか?」


「リルレさんだなんて、他人行儀辞めて! わたしのことはリルレって呼んでくださいね」


「ではリルレ、サイボーグ化した理由を教えてくれ」


「出会ったばかりの女を呼び付け!? 信じられないゴミですね。わたしのこと道具かなんかだと思ってるでしょ? 出来るものならいっそ道具にしてみさいよ!!」


…ねぇ、どうしたらいいの俺は?


マミムも頭おかしいけど、この母親もかなりイカれてるよね。


「し、質問の答えをお願いします!」


「はぁはぁ、わたしきっと利用されるだけされてゴミのように捨てられるんだわ。ゴミのようなこんな男に!! …ゴミに高潔なわたしが屈服してお答えします。ゴミに…。はぁはぁ…せ、生体のままでも不老不死になれる技術があるみたいですが、マミム以外は全員サイボーグ化してます。なので不老不死を手に入れるためにサイボーグ化したのではなく、魔王との戦争に勝つためと様々な過酷な環境に耐えられる用に人類はサイボーグ化という進化の手段を選びましたの…。あぁ! 凄い屈辱感!!」


ちょっとこの人の人格は無視しよう。


それにしても生身の人間はマミムだけってことか。


「魔王ってのは一体何なのですか? 人間なんですか?」


さっきはゴミとか言ってたけど…。


「もっと命令口調で言って!! …い、いけないわ、冷静になるのよリルレ! …今から2000年ほど前に、突然魔王率いる魔人どもは魔界からやってきて、我々の世界を一方的に蹂躙し支配しようとしてきたのです。それにより、当時ほとんどの人類は死に絶え滅亡の危機に陥ったそうです」


「え? 2000年前!? 俺がいた時代に?」


「そのようです」


「俺の両親とか友達とか、一体どうなったんだ!?」


「わかりません」


何てことだ…。


早く元の時代に戻ってこの危機を伝えなければ!!


パンゲアにいるという博士ってやつに相談するしかないな。


まともなやつだといいけど…。


いや…ちょっと待てよ。


俺は一方的にこいつらから今の時代の情報を与えられてるだけで、どれが本当でどれが嘘か…もしくは間違った情報なのか俺には確かめる術がないので、騙されてる可能性ってないか?


少なくとも俺はどこかの世界に飛ばされてしまい、日本語を解す生身の女とサイボーグの女がいて、ゾンビと呼ばれるおっさんたちや上空からレーザー攻撃出来る兵器が存在し、美男美女たちが住む国があるということは事実なわけだ。


わけのわからない状況において、何か決断しなければならないときに、冷静になってわかっていることだけを整理しておくのはサバイバルにおいて基本だろう。


2000年後の地球だとか、魔王だとかの話は脳の中の「仮」フォルダとも言うべきところに一旦閉まっておこう。


だいたい魔王とか魔人ってファンタジーじゃん。


超科学的な技術の片鱗に触れた俺にはいまいちピンと来ない。


まあ、異星人たちをそう表現してるだけなのかもしれない。


いや、とにかく決めつけは禁物だな…。


こいつらを何となく信用していたが、俺は警戒のレベルをひとつ上げておくことにした。

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