12本目
パンゲアへの道中暇だし、色々お母さんに質問してみることにした。
「あの…そもそも実は俺、トオルじゃなくてその…サトル…なんですよね」
また暴走されたら嫌なので、恐る恐る言ってみた。
どうやらトオルってヤツのDNAコードがないと、お母さんの封印は解かれなかったらしく、何で無関係のはずの俺のDNAコードで解除出来たのかわからない。
しかし、DNAコードか…。
DNAってのは、アデニン、グアニン、シトシン、チミンって塩基からなる言わば生体物質からなるプログラミング言語なわけで、俺を構成するプログラミングにそんな大それた秘密が隠されているなんてにわかに信じられない。
確かに98%くらいジャンクDNAって呼ばれてて、無駄な部分があると言われてるが、まさかそこにお母さんの封印を解除するコードがたまたま含まれていたのだろうか…?
「いえ、あなたは間違いなくトオル様ですよ。その証拠にわたしの封印は解かれましたから」
「何かの間違いだと思うんですよね…。マミムも俺のこと間違えて連れてきたって言ってたし」
「間違えたと勘違いしてたか、間違えた結果正解を導いたのでしょう。運命改変装置による因果率調整の結果です」
「いや、そもそも名前違うし…」
「…ごちゃごちゃとうるさいわね、このゴミは」
え?
今何かさらっととんでもない暴言を口にしたような…。
普通の口調なので、よくわからなかった。
お母さんを見ると仮面のようなパーツのせいで表情がわかりにくいが、さっきと様子は変わらないような気がする。
穏やかそうな雰囲気だ。
俺の気のせいかな?
「あの、多分勘違いだし封印解けたのもよくわからないけど偶然だと思うんで、俺を元の時代に帰していただけませんか?」
するとマミムが慌てて口を挟んできた。
「ダ、ダメよ! あんたを帰すとあたしが救世主を連れてくるミッション失敗したことになって怒られるし、それにハゲ…あんたあたしのこと…ゴニョゴニョ」
何言ってるかわからん。
「お前は自分のことばっかりな」
「もう…さっきは積極的だったのに…ブツブツ」
何でこいつはこんな自分勝手に育ってしまったのだろうか?
親の顔が見てみたいわ。
わおー隣にいたー。
「マミム、わがまま言わないの」
おー、お母さんはやはり話のわかる人っぽい!
とっとと元の世界に帰して欲しいわ。
帰ったら「イチャ恋プリンス」の続編読みながら、酒飲むんだもん!
酒飲みてえ。
冷やした純米大吟醸の生酒をくいっとやりたい。
俺は日本酒が大好きだ。
日本酒飲むと日本人で良かった~ってホントに思うね。
贅沢にも米の周りの栄養のある部分を削って、ほぼ心白という部分のみにし雑味を減らした純米大吟醸の吟醸香と言われるあのフルーティな香り…。
火入れをしない生酒のフレッシュな味わい!!
くっそ!
早く帰りてえよ!!
「トオル様のDNAコードを全て解析するためには、トオル様の体液という体液が必要なの。パンゲアに帰ったらこのゴミから早速搾り取らないと」
ねえ、あなたを信じた気持ち返して。
あとやっぱり俺のこと、聴き間違いじゃなくゴミ扱いしてるよね。
お母さんは俺の味方かと思ったのに、この親娘ダメだ!
しかも体液を搾り取るって何それ怖い。
絶対死ぬヤツだよねそれ。
どうあっても俺を帰さないつもりだな…。
とにかく今はパンゲアに行って、博士ってヤツに事情を話して味方になってもらうしかない。
何か最近ますますハゲた気がする。
この世界に来て気苦労が絶えないわ。
「ゾンビは魔王の手先だってわかったんだけど、あの衛星兵器は何なのですか?」
「あれも魔王の兵器です。超高度軌道兵器コカビエル。支配した惑星の大気圏外から地上にいる住民を力で抑え従順にさせるためのものです。ゾンビが集まって出来たバスターデーモンは、尖兵として地上を蹂躙するための生体兵器。そんなこともわからないのね、このゴミは」
知るわけないよね、俺はこの時代の人間じゃないんだから!
娘からはハゲ扱いで母親からはゴミ扱いか…。
「惑星って…もしかして魔王は色々な惑星を支配してるんですか?」
「その通りです。ヤツは宇宙の支配者を名乗っているけど、我々の封印が解けた暁には、好きにはさせないわぶっ殺す」
お母さん怖いよね。
穏やかな人かと思ったけど、性格怖いわ。
「お母さんは日本人…なんですよね? 魔王も地球人ですか?」
「あいつはゴミです。早くぶっ殺したいわ」
えーとえーと、僕もゴミ…でしたよね?
え?
もしかして、え?
僕も早くぶっ殺しあそばされたいのでしょうか…?
こえー。
死ぬほど怖くて訊けないっす。
つーか、質問に正確に答えてもらってない…。
「あの…エデンとかいう国に住んでるあいつらは人造人間って教わったのですが、何で人造人間だけ住んでるんですか?」
「あぁ、あいつらもゴミ。全て掃除しないといけないですわね」
…もう、いいや。
質問は止めよう。
しかし、あと1週間くらいかかるらしいので、お母さんはともかく俺たちの食料を確保しないといけないな。
何か動物とか、また果物が手に入ればいいのだが…。
「マミム、食料どうするか?」
「あー、そうね。わたしもお腹空いた」
「あ、それならお任せください」
お母さんの背中から、いくつか砲身のようなものが出てきて、レーザーを発射した。
周りにドサドサと鳥が落ちてくる。
「お~、これは凄い! お母さん、ありがとうございます!!」
「もう、お母さんなんて呼んじゃ嫌! わたしの名前はリルレ。リルレって呼び付けしてください」
「あ…そうですか。では、リルレありがとう」
「ゴミのくせにわたしを呼び付けにするなんて生意気ですね」
ど…どうしろと…?
そういってお母さんは俺の腕に抱き付いて、豊満な胸を押し付けてきた。
ロボットっぽい見た目だが、や、柔らけえ!!
あー、股間の豆鉄砲がぁ~~~!
「ちょ、ちょっとお母さん、ハゲにくっつかないで!」
いいところで割って入るマミム。
こいつは空気何で読めないかな…。
取りあえず俺たちは食事の仕度をすることにした。




