第四話「Destroy Enemy's Fuel」(前篇)
「あみなね、一騎のことが急に好きになっちゃったの....」
「終わった...」
「え、どうしたの眞琴。」
「いや、なんでもない。」
2026年1月末。バレンタインの日が近づき、男女ともにソワソワする時期に差し掛かり始めていた。そのソワソワは授業の雰囲気にも影響を及ぼしているようで...
「おい間澤。授業中に机の上にチョコレートのお菓子を出して、これはなにかの意思表示ですか〜?」
「す、すみません!!」
間澤公俊。生徒会・男子バレーボール部所属。変人揃いの1-6の中でも上位に食い込むであろう変人度を誇る。とは言っても、見事な高校デビューを果たしたイキリ気味の典型的な男子高校生なのだが。どこにでもいるような男子高校生だが、勉強に集中する人の多い進学校ともなるとやはり浮いてしまうようだ。しかし案外成績は優秀であり、考査の得点では基本どの教科でも平均点以上をキープし続けている。そして、彼は今、女子から貰ったチョコレートをしまい忘れていたがために彼らの言語文化の授業を担当する真柴愛子に怒られている。しかし、彼女の反応は、彼の思っていたようなものではなかった。
「そういえばパイの実って64層だっけ?」
「え?....あ、はい。64層って書いてます。」
「あぁやっぱり。あのサクサク感は64層くらいじゃないと出せないか...」
公俊は困惑した。それもそのはず、いつもなら烈火の如く怒ってくる真柴先生がこのチョコレート菓子に興味を示したからだ。
「皆さん、いいですか?高校生のバレンタインはとても貴重なものです。私も痛感しているんですけども、大人になるとね、いくらお金をかけているかでしかバレンタインを楽しめなくなるんですよ。その点高校生のバレンタインは無垢です。女子たちが....女子だけじゃないかもしれないけども、一生懸命誰かのためにチョコレート菓子を作る。これは意外とね、高校生過ぎるとできなくなるんですよ。だから、みんなには精一杯バレンタインを楽しんでほしい。貰った人は、精一杯お返しを渡すんですよ〜?あ、チャイム鳴った。はい号令。」
公俊は放課後になると、真っ先に同じ部活の6組生徒に話しかけに行った。
「おーいある!!いやーシバさん意外とチョロいなァ!!」
「あ、ねー、、そうだね笑」
蔵馬步。公俊とは対照的に6組でも大人しめの男子。成績も彼と対照的に、基本平均点以下である。
「シバさんがいっつもあれぐらいだったらいいのに笑」
「それなァ!?いやーおもろいわwwパイの実って64層だっけwwうおww」
「それやめろ笑」
「ごーめんごめんwwっよし!部活行こうぜぇ!!」
「後で追いかけるわ。」
「オッケー!!」
「...はぁ、、」
步はどうやら、公俊のことが、苦手なようだ。
一方、軽音楽部のバンド「Quietus」の面々も、1-4の教室でバレンタインについて語り合っていた。彼らは5人で活動しており、バンドはリーダーでコードギターの渡邊亜美菜、リードギターの亜若菜、ベースの尊臣聡美、そしてドラムの鞍網ひかるとキーボードの大嶋眞琴で構成される。
「あぁぁぁぁぁぁ!恋愛がしたぁぁぁい!!!」
「若菜さん落ち着いて笑」
「いやね!君たちは一回は恋愛をしたことがあると思うんですよ!!でもねぇ!?私はないの!!一回も、、、ないの!!」
「いや正直うちもあるけど無いよ。」
「さとさんはねぇ!矛盾してるんだよ!!あるけど無いってなんだよ私のことバカにしてんのかぁ!!!」
「まじで落ち着け。」
「あぁぁぁぁぁぁ!!」
若菜はひかると聡美に取り押さえられ、抵抗しながらもどこかへ連行されていった。
「恋愛って怖いもんだな。恋愛をしてないだけで人はあんな風になってしまうのか。」
「そういうことじゃないでしょ笑笑」
「...そうかね。」
「そうだよ笑笑」
「で、亜美菜の話はなんか無いのか?」
「え、あみな!?」
「うん。」
「え、聞きたい!!」
「うぉっ!!」
眞琴の気づかぬうちに、若菜は戻ってきていた。
「若菜さん笑笑...あれ、他のみんなは?」
「まだトイレだよー」
「落ち着いたのか?」
「取り乱してごめんねぇ??もう大丈夫だよ!!」
「不安が残るな。」
「で、亜美菜さん?あるんですか??」
「...名前は伏せるけど、あります!」
「...つまらん。」
「名前伏せてんじゃねぇよ。」
「え、そんな言われる?笑笑」
「正直一番大事な情報だと思うんだけど。」
「えそれな??亜美菜さん!自分の好きから逃げちゃだめですよ!?」
「え〜笑笑」
「今この場には俺達しかいない。他の人に聞かれる心配はないぞ?」
「そうですよ亜美菜さん!!早く言って楽になろうよぅ。」
「え〜恥ずかしいよ〜」
「恥を捨てろぉぉぉぉぉ!!!」
「わかった!わかったから!笑笑」
「どうぞ?」
「ええっと...イニシャルとか...」
「本名で。」
「山堂一騎!!」
「...え?」
「あみなね、一騎のことが急に好きになっちゃったの....」
「終わった...」
「え、どうしたの眞琴。」
「いや、なんでもない。」
眞琴は激しく動揺していた。何を隠そう、あの山堂なのだ。特段顔が良いわけでも、性格が良いわけでもない。伊代に心酔しており授業中に股間を掻きむしっている、あの山堂なのだ。
「え、な、なんで...」
「うちら同じクラスでさ、一応出席番号順に並ぶと席も近いの。最初は下ネタばっかり言うし、基本教室で発狂してるし、休み時間になると伊代とずっと話してるし、なんだコイツって思ってた。」
当たり前だ。股間を掻きむしっていることがバレてないのが救いだな、と眞琴は思った。
「でもね、なんかこの前さ、」
『あみなぐらいの身長が一番かわいいよね』
「って言われて...」
「え?身長で褒められたの!?それは...好意を持ってると言えるのだろうか??」
「口を挟むのは今じゃないぞ若菜。」
「さーせん!」
「はい続けて。」
「笑笑」
「笑ってないで。」
「はいはい笑笑...でね?あみなもはじめは変なこと言うなって思ってたの。でもね、なんか、急に、もしかしてあみなのこと...って考えたら、なんか、変に意識するようになっちゃって...」
「あー、それはだな...焦りだ。」
「え?」
「焦りだ。」
既に山堂には伊代のメンタルケアという役割が与えられている。仮に山堂が亜美菜と付き合い始めてしまうと、今度こそ伊代の味方が消えてしまうかもしれない。そうして、眞琴は亜美菜に諦めさせるように誘導を開始した。
「バレンタインが近づいて、恋愛ムードが本格化し始めただろ?それによる焦りがでかいんじゃないのか?自分も恋愛しなきゃ、って。そもそも突然好きになることって早々ないんじゃないか...?」
「ん〜でもでも!!何があるかわからないし...」
「確かにな。それでも、俺からしてみれば突然人を好きになることなんてありえない...」
「あれ、そういえば、眞琴さんさぁ?園生高校の女の子から突然連絡があった〜とか言ってしばらく学校に来なかったことありませんでしたっけぇ??あっれれ〜?おっかしいぞ〜??」
「ちょ、おい、若菜!お前は事情知ってるだろ!」
「知ってるけどさぁ、正直言って同じじゃない??ねぇ亜美菜さぁん。」
「そうだよ!同じだよ!!眞琴もそういうとこあるんだね笑笑」
「...」
「あみなの恋愛に協力してほしいんだけど、いいかな??」
「勿論!!眞琴もやるよね??ね???」
ここで断ることができないのが大嶋眞琴である。結局、彼は協力することとなってしまった。
「颯太ぁぁぁぁ!!助けてくれぇぇぇ!!!」
「なになに眞琴笑笑」
「亜美菜が山堂のこと気になってるんだとさ。」
「え?亜美菜さん!?」
「で、俺に協力してほしいんだとさ....」
「流石に断ったよな?」
「いや、協力することになっちゃった。」
「いやいや、そこは断れよ!!」
「仕方がないだろ!人に頼まれたことはどうしても全部やりたくなっちゃうんだから...」
「眞琴そういう人だもんね...悪いけど、面倒臭いから僕は協力しないよ?」
「まじかぁ...」
「若菜さんいるんだからそっちに任せればいいじゃん。」
「いや、無理だ。圧をかけられている。」
「あぁ...」
翌日、眞琴はInstagramのDMを開き、伊代に聞いてみることにした。去年の秋ごろまでは、伊代はひかると仲が良かった。その関係で、眞琴も伊代とはそれなりに関係がある。
[いよさんさ]
[なに?]
[山堂一騎と付き合ってるの?]
[なに急にw]
[いや、一騎のこと気になっているっていう人がいて...]
[あーね]
[一応確認しときたいんだって]
[あみな?]
[よくわかったわね]
[わかるよあみなの最近の様子で]
[いよに協力を頼みたいんだけど]
[あー]
[ダメ?]
[いよが辛いときとかに、一騎がずっとそばで支えてくれたし、いよもすっごく感謝してるから、協力はできないなごめん]
そりゃそうだ。
[了解]
[あみなに頑張れって言っといて]
...この女、自分がすでに山堂とほぼ恋愛関係になっているということに気づいておきながら、少しでも亜美菜に無駄な希望をもたせようとしているな??全くもって性根の腐っている女だ。と眞琴は改めて感じた。現在の状況は、正直言って亜美菜の勝率は0。大人しく引き下がるべきであることは明白だった。それでも、きっと亜美菜はアタックし続け、真実を知る頃には引き返せなくなっているだろう。そこで、彼は別の人間にこの件を任せることにした。彼女のほうがきっと、計画的なプランを立て、失敗するとしても亜美菜のことを気にかけてくれるだろうと思ったからだ。早速、眞琴はその女性に接触することにした。
翌日、眞琴は生徒会室に赴いた。深戸高校の生徒会室は、生徒会長が様々な部署に出入りし文句を言ってくる環境であったため常にピリピリしており、颯太や眞琴には居心地が悪く感じられた。基本密室であるためなにか聞かれてはいけないような話をするのには最適な場所であるのだが、彼らが2人だけで作戦を立てる時でも生徒会室を頑なに使おうとしなかったのはこのためである。そこには、長身の女性が座って待っていた。
「あ、来た。」
「久しぶり紫苑。」
「どうしたん急にここに呼び出して。」
善道紫苑。星任颯太の本バンド「すまいる」のヴォーカルとベースを担当している。生徒会でもあり、生徒会長に恋をしていた時期もあった。その時に颯太と眞琴に恋愛相談を持ちかけたことがあり、それ以来恋愛面での相談は互いに行っている。しかし、彼女は聞いた内容をまた別の人に相談する節があるため、広まることを恐れる性格の颯太からは信用されていない。
「少し相談があってだな。」
「恋愛のおはなし?」
「あぁ。と言っても僕じゃないんだが。」
眞琴もまた、聞いた内容を別の人に相談する節の持ち主である。
「へぇ〜。誰の?」
「亜美菜の...」
「あぁ!一騎でしょ?」
「...知ってたのか。」
「知ってるも何も、一番最初に亜美菜から相談受けたのオレだもん。」
「あれ、そうなの?」
「うん。でもあれキツイよねー」
「正直言って無理だと思ってる。」
「どうせ眞琴も相談されて、無理だなって思ったからオレに任せようとしたんでしょ?」
「ゥ゙ッ...」
「はいはい図星ね。いいよ眞琴はもう関わらなくて。後はオレがやる。」
「ありがたい限りです紫苑様!!」
「それやめて笑笑...てかこれだけ?」
「あぁ。じゃ、頼んだよ。」
「おけーい」
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「なぁ」
「...」
「なぁって。聞いてんのか?」
「うん。...ねぇ、ほんとにいじめるの?」
「は?お前が言い出したんだろ。自殺に追い込むって...」
「あれは!!...ちょっとテンションが上っちゃったから言っただけで...」
「はいはい。言い訳はいいから。やるよ?明日から。」
「...!!...拓海はさ、バレたらどうする気?」
「いやバレないバレないww今日面白いことがあってな。三田地ちゃんから情報もらってなwwどうやら、今日大嶋が伊代に一騎と付き合ってんのかって聞いたらしいww」
「え、えぐwww狙ってるやんwww」
「しかもな、裏に飛鳥がいるって言われてるんよwwあいつら、前から自分が善ですみたいな顔で生活してたからまっじでイライラしてたww」
「それな?うちもあの二人きらーい」
「あいつらに全部の罪着せちゃおうぜ?ww」
「え、ありありwwこれならうちらもバレること無いかー!!拓海天才!!」
「ありがとありがとwwねね、今日うち来る?久しぶりに親いないんだよねー」
「あぁ...今日はやめとく。」
「...なんで?」
「ちょっとね...今日安全じゃないっぽいから...」
「...ねぇ、いつになったらさせてくれるの?毎回毎回毎回毎回この言い訳だよね??俺もうそろそろお前のこと...」
「は?お前それは犯罪だよ?」
「うるせぇよ。させてくれない女は人間じゃねぇ。あ〜あ、いよはさせてくれたのになぁ〜?」
「...まだうちら付き合ってもないのに元カノの名前出してくるんだ...まぁいいわ。終わったらすぐに教えてあげるね。」
「絶対だぞ?今からって考えると2週間後までには終わるよな?」
「...うん。多分。」
「わかった。愛してるよ、遥。」
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翌日、伊代が学校に到着すると、上履きに落書きが施されていた。
(え....?)
仕方がないのでその上履きを履いて教室に行くと、伊代の机がない。外に放り出されていた。
(どういうこと....?何が起こってるの...??)
伊代は激しい不安に襲われ、一人トイレへと駆け込んでいった。
(どうして....??なんでいよがこんな目に合わなきゃいけないの??)
個室で大粒の涙を流し始める伊代。彼女の味方は、既に1人しか居なかったのだ。その時、伊代の入っている個室の前から声がした。
「いよー?大丈夫ー?」
「....かすみぃ....」
有楽道佳澄。2組。Triumphaの新部長候補。彼女はクラスや部活で程よいリーダーシップを発揮しておりクラスメイトや部活仲間からの信頼も厚い。しかし最近は成績があまり振るっていない。
「さっきFラウンジ(深戸高校の1-5と1-6教室の間にある開かれたスペース。伊代やひかる達の合コンもここで行われていた。)で壊れた机があるのを見かけて、そこにいよの持ち物がついてたから、もしかしていよがいじめられ始めたんじゃないかって...」
「...そうみたい...ねぇ...一体誰がこんなことしてるの??」
「わからない...安心してね?私はいよの味方だから。」
「...ありがとぉ...」
その頃、学校に到着していた西原飛鳥もまた、壊された伊代の机を目撃していた。
「これは...アイツか?」
飛鳥は、6組に自分の荷物を置くと、今は使われることの少なくなった旧外国語科棟に、諸武拓海を呼び出した。
「おう飛鳥!どうした急にこんなところまで...」
「お前、伊代に変な真似してないよな??」
「...え?なんでだよww俺はもうアイツに関わりたくないんだってww」
「本当か?」
「あぁ勿論!!話はそれだけか?」
「まぁそうだけど...もう一つ聞きたいことがある。」
「ん、なに?」
「犯人に心当たりは?」
「え、なにwwお前wwまた好きになっちゃったの!?あれを!?www」
「違ぇよアホ。いじめが起こると後々面倒臭いんだよ。」
「確かにね。んー眞琴とかじゃね?」
「眞琴!?」
「あぁ。なんかアイツ昨日伊代に一騎と付き合ってるの??とか質問してたらしいし、相手にされなかったからやってんじゃないの?じゃ、バイバイ!」
そう言うと、拓海はすぐに外国語科棟を出ていった。
「あ、おい!!」
「...ということがあってだな...」
「なるほど。」
「一応聞くぞ?お前が犯人か?」
「そんなわけがない。」
「そうだよなぁ...あいつたまに適当なこと言うからあんまり当てにしてないんよ。」
「っていうか、伊代さんがついにこんな事になってしまうとはね...」
その日の放課後、飛鳥は今日の出来事を颯太と眞琴に伝えていた。
「こうなることはある程度予想はしていたけどな。で、飛鳥。勿論犯人に心当たりがあるよな?」
「あぁ。」
「え、どういうこと?」
「颯太。お前はほんとに人の話を聞かねぇよな。」
「え、なになに笑笑」
「なんで俺がわざわざ拓海を呼び出したと思う?しかも一番遠い場所に。」
「...あぁ!!」
「なんでわかんねぇんだよ...」
「ごめんごめん笑笑」
「あいつ、俺と話してるときに頑なに机の話を切り出そうとしなかった。あそこまで目立つラウンジにボロボロの机があるのに、だ。しかも、アイツは5組。クラスの位置的にも机の話題がクラスの何処かで話されていたはず。なのに、机の話題を振ったら」
『えぇ〜...そんな事になっていたなんて....』
「と言っていたんだ。あいつは嘘が下手だからな。建物の構造上、外国語棟へ向かうには必ずあのラウンジを通らないといけない。なのに知らないフリをしたということは...犯人はアイツで間違いないだろう。」
飛鳥がバスケのクラブチームの練習の関係で帰宅した後も、颯太と眞琴は二人で話していた。
「...クッソ。」
「どしたん眞琴。」
「拓海は俺に濡れ衣を着せやがったんだ。怒るのも当然だろ。」
「確かにね。」
「幸いにも、まだ拓海は俺がやったというデマを広めていない。デマが噂となって高校中を駆け巡る前に、俺達で止めるぞ。」
「...」
「どうした、浮かない顔をして。」
「なんか、眞琴が保身に走ってるなって思って...」
「当たり前だろ。デマ流されてるんだから。」
「...そっか。」
「とにかく、早い所解決策を練らないと...」
「あれ、颯太と眞琴?こんなところで何話してんの?」
「...敬二か。お前もそんなところで何やってんだ。」
「いやぁ〜ちょっとね。調べ物。」
神崎敬二。3組。競技かるた部と生徒会に所属しており、息を呑むほどの美貌を持つ。その美貌のお陰でTriumphaの人間たちとも良好な関係を築いているように見えるが、彼には恋愛をする気がなく、ツーショットをねだられても必ず変顔をして映るという。
「え、敬二、何調べてるの?」
「えーっとね、...これ言っていいのかな。」
「もしかして、伊代のいじめの件か?」
「え、そっちも調べてるの!?」
「まぁな。」
「あれさ、僕犯人知ってるんだよね。」
「諸武拓海か。」
「え、誰それ。」
「は??」
「いやー、ね?一応僕隣のクラスじゃん?だから色々見ちゃってて...」
「詳しく聞かせてくれないか?僕の今後がかかってるんだ。」
「何があったのよ。じゃ、そこは置いといて、話すね。」
「まず、朝7時30分頃。僕が学校に到着して10分くらいたった後だね。突然、ガタンって大きな音が聞こえたんだ。初めは机を倒しちゃった音かなぁって聞いてたんだけど、何かが違う。明らかに何度も叩きつけるような音だった。明らかにおかしかったから、なにか良くないことが起こってるんじゃないかって耳を澄ませて聞いてたんだけど、教室から男子と女子の声が聞こえてきたからここで、あ、これいじめだって確信した。何言ってるかは聞き取れなかったんだけど、こんな朝早くからいるってことは、ね。」
「それで、犯人は誰なの?」
「そのあとはすぐに走り出す音が聞こえたんだけど、走ってきたのは1組の人だった。名前は翡翠遥さんっていう。ダンス部だよ。」
「あー...俺はアイツが苦手だ。」
「眞琴のことだいぶ嫌いって言ってたよ。僕は仲が良いらしいからいっぱい話してくれるんだよね。」
「ちょっと待って、らしいって何??」
「遥さんにそう言われた。僕は仲がいいんだって。僕はそんなこと一回も思ってないんだけどね笑笑」
「なんか...」
「お前も闇深いな...」
「まぁまぁそこは置いといて、なんで眞琴はこの件で今後がかかってるの?」
「これの男の方の犯人は、恐らく諸武拓海ってやつなんだが、そいつが真犯人は眞琴だ!!って言い張ってるらしいんだよな...」
「それは....笑笑」
「笑うな。」
「ごめんごめん。早急になんとかしないとだね。」
「でも、僕らは遥さんとは接点がまったくないから...」
「あぁそうだね〜遥さん軽音楽部の人大っきらいだから颯太でも話してくれないと思うよ?」
「なんで部単位で嫌われてるんだよ笑笑」
「それぐらい眞琴が怖いんでしょ。」
「待て待て。なんで俺が怖がられてるんだ??」
「まぁいっぱい情報持ってるからかなぁ...」
「それはお前もだろ。顔か?結局世の中は顔なのか??」
「まぁまぁ落ち着いて笑笑」
「ちょっと煽るなよ...」
「まぁどうせ君等じゃ無理だからさ。ここは大人しく僕に任せてよ。」
「え、敬二いいの!?」
「勿論!!もし広まっちゃったら、生徒会の威厳もガタ落ちだからね〜」
「どうやってやるんだ?」
「まだ詳しくは言えないかな〜」
「なんでよ笑笑」
「いや事情が事情なのよ。全部終わったらまた連絡するね!絶対に終わらせてみせるから。」




