第三話「A Bitter Chocolate.」(後篇)
「俺はそんなこと知らない!!」
「は?」
予想外の回答に眞琴の思考が一瞬鈍る。山堂はその隙を見逃さなかった。眞琴を突き飛ばし、逃げるように部室を去っていった。
(まずい、このままでは智樹が....!!)
眞琴はすぐさま起き上がり、山堂を追いかけ始めた。しかし、
「なんだお前はっ!!っ、離せっ!!」
「離さない!!少しでも話を聞かせてほしい。智樹が...危ないんだ!!」
眞琴が山堂に追いつくと、そこには掴まれた腕を振り抵抗している山堂と、必死の形相で引き止めている颯太がいた。
「颯太!?」
「眞琴!!なんとかして!!」
眞琴は素早く反応し、山堂の股間を勢いよく4, 5発ほど蹴り上げた。山堂はうめき声をあげながらその場に倒れ込む。そして、ジタバタした後、そのまま動かなくなってしまった。
「え、嘘でしょ?眞琴なにしてんの!?」
「安心してくれ。潰れない程度に蹴飛ばしたからな。それくらいで人間は死なないさ。ところで颯太。お前、接触はよせと言ったはずだが...」
「ごめん眞琴...でも、いても立ってもいられなくて....」
「...まぁいい。ありがとう、颯太。さて、お話を聞かせてもらおうか、山堂。」
山堂は黙秘を貫いていた。その様子を見て、眞琴はため息をつく。
「わかった。颯太、今度こそ帰ってくれ。助けを呼んだ。」
「え、わかったけど...その人が来るまで眞琴は山堂くんのことをどうする気?」
「いや、場所を変える。助けの人には門の前に待機してもらうことにしてるよ。ここだと周りから変な目で見られそうだからな。」
「あ、そうだね....大丈夫かな、結構おっきい声出しちゃったし、先生が見に来ないといいけど。」
「まぁここは部室だし、これくらいの声量ならわざわざ先生が見に来ることもないだろう。」
「わかった。それじゃ、行くね。」
「了解。改めてありがとな。」
こうして、颯太はその場を後にした。彼の心は浮ついていた。それは、決して眞琴に協力することが出来たからではない。久しぶりにとある人と一緒に帰れるからだ。
春口里紗。颯太と同じクラスの競技かるた部の女子。出席番号順に座ると星任颯太とは隣同士になる。颯太とはその事がきっかけでよく話しており、定期的に一緒に下校するほどの仲である。本人は気付いていないが、颯太に恋愛的な意味合いで好かれている。
「里紗お待たせ!ごめんね結構待った?」
「いやそこまで待ってないよ。てかさ、この前のあれヤバくない?」
彼らはこのように会話を楽しみながら下校しはじめた。颯太はちらりと正門の前を確認したが、そこには誰もいなかった。
「どしたん颯太。」
「いや、別に。ちょっと考え事してた。」
「え、珍しいね笑」
「うるさいっ!」
里紗に軽くいじられたので颯太は一応怒っておいたが、そこまで悪い気はしなかったようで、少しにやけた。
伊代は相変わらず智樹にちょっかいをかけているようだ。翌日、帰りのSHRが終わった後、智樹は伊代のことについて考えていた。智樹に既に彼女がいることは広まっていないため伊代は智樹を狙っていると推測できる。しかし、それを伊代に教えてしまうといつ阿野先生にバレるかがわからない。この2つの事実に板挟みになっていることを智樹は既に気づいており、誰にも言えずに一人で抱え込んでしまっていた。彼の周囲の人間は、智樹と伊代が付き合っているのではないかという噂も立て始めていた。
(僕はどうすればいいんだよ....)
「大丈夫か?智樹。」
「...颯太!」
「大切なバンドメンバーだし、なにか困ってるなら僕に相談してもいいんじゃないかな...」
「うん...ありがとう。でも、これは僕の問題だから。自分でなんとかするよ。」
「そっか。彰子さんには頼りなよ?取り返しがつかなくなったら困るんだから。」
「...知ってたの?」
「いや何も知らない。何となくそんな気がしただけ。」
「ははっ。さすがリーダー。じゃ、僕はもう帰るよ。」
「わかった。気をつけてね。」
智樹が帰った直後、後から飛鳥と眞琴が声をかけた。
「おい颯太あぶねぇって....!!ヒヤヒヤしたわこっちがぁ!!」
「いやほんとに危なかったよぉ...つい彰子さんって言っちゃったぁ....智樹に僕がほぼ全部事情知ってるってことバレてないといいけど...」
「その程度の情報なら他人でも推測できる。勘付かれることはないだろう。」
「で、眞琴、作戦の決行はいつなの?」
「本当は明日の予定だったが、まだ整ってないから明後日かな。」
「わかった。拓海にも教えとくわ。」
「ありがとう飛鳥。颯太も大丈夫か?」
「おっけーおっけー。でも、よく拓海さんが協力してくれたよね。伊代って名前出しただけでしかめっ面になるくらいだったから、もっと嫌がるかと思ってたよ。」
「あいつが言うには、伊代が痛い目を見るならこういうことは喜んでするらしい。あいつはそういう奴だ。まぁ俺も伊代の被害者だから拓海の気持ちはすごくわかるぞ。」
「あいつは意外と性格がよろしくないからな。影で嫌われてるのにはそういうところもあるんだろう。」
「まぁ、それ以外にも、問題があるけどな....」
「え、」
「いや、この話はいいわ。眞琴、後で話そ。」
「了解。しかし、あの表情を見るに、智樹はだいぶ気にしてるみたいだな。」
「彰子さんに勘違いされるのも嫌だろうしね...」
「早いとこ決着つけるかぁ。飛鳥、拓海を呼んでくれないか?」
「今?あいつもう帰ったんじゃね?」
「ダメ元で連絡してほしい。」
「はいよ。」
〜20分後〜
「返信きたぞ。いま委員会が終わったから行く、だってさ。」
「おっけーよかった。でも僕拓海さんとちゃんと話したことないんだよね。」
「親しみやすいからそこは問題ないだろ。深く関わるとめんどいけど。」
「あぁ...」
数分後、彼らがいた1-8の教室に拓海が到着した。
「悪い悪い。結構待たせたな。」
「大丈夫だ拓海。ずっと3人で仲良く話してたからな。」
「なら良かったけど...飛鳥、そいつは?」
「星任颯太っていうやつだ。」
「よろしくね。拓海さん。」
「拓海でいいよ。こちらこそ宜しく。で、どうやってあいつを嵌めんの?」
「それはだな...」
「は?俺にそんなことできるわけねぇだろ!!おい飛鳥!!こんなのおかしいだろ!!」
「いやお前ならできる拓海。お前の味方はあのクラスにいっぱいいるだろ。大丈夫だ。」
「これのことは既にひかるにも話してる。お前のことは全力で守るって言ってたぞ。」
「それでも無理だって!!なんで俺が注目を浴びなきゃ...」
「あんまり大きい声を出さないほうがいいと思うんですが...」
「そうだな。落ち着け拓海。」
「うう....」
翌々日。虎瞳伊代はいつもよりも浮足立って登校していた。彼女が見つめる先には、智樹。彼女はすっかり智樹が自分の美貌に惚れていると思っているようだ。
(いよの可愛さに虜にならないような男はいないんだからっ!)
「智樹おはよーっ!!」
勢いよく後から挨拶をする伊代。しかし、智樹は振り返らなかった。
(あれっ、聞こえてないのかなぁ...)
伊代は少しスピードを上げて智樹に近づいた。それでも智樹は無視を貫く。
「おはよー」
「...」
「ねぇ、」
「...」
「いよなんかした?」
「...そっか。君には自覚がないんだね。」
「どーゆーこと?」
「後で8組に来て、来れたらだけど。」
「...わかった。いよ悪い子じゃないからね?」
「...」
伊代が自分のクラスである4組に着くと、ほぼ全てのクラスメイトたちが彼女に軽蔑の視線を浴びせた。
「え、なに?みんな、、どうしていよのことをそんな目でみるの?」
「...」
「はぁ...」
「誰か答えてよっ!!智樹にも相手にしてもらえないの!!ねぇ!!」
「全部お前のせいだろうが!!!」
教室に声が響き渡る。その声の主は、諸武拓海だった。
「は?なに、お前。」
「なんも変わってないんだな。その癖。」
「は?クセって何だよ。いよ別に変なクセ持ってない...」
「人の彼氏ばっかり奪いやがって!しかもこれで3回目だろ?」
「え、、違う!!いよはそんなことしてない!!」
「してんだよ!!無意識かもしれないけど、お前は確実に人の彼氏を3回奪ってる!!」
拓海は説明を続けた。
「まず1回目。俺と付き合ってた頃だ。お前は俺と喧嘩したその日に、一体どこへ行ってたんだ?」
「は?今それ関係ないでしょ?」
「お前の最寄りから2,3個離れた駅だよな?そこで、こいつと仲良く歩いてたみたいだな。」
拓海はスマホを伊代の前に出す。そこには、別の男と恋人繋ぎをする伊代の姿が収められていた。
「なんでお前がそれ持ってんだよ!!...飛鳥だな?あいつがお前に渡したんだろ!!」
「黙ってろ。あと、その彼氏、別の女から奪い取ったって話も聞いてるんだけど。」
「は?伊代がそんな事するわけ無いだろ!!バカにしてんじゃねぇよ!!」
「じゃあこれは何だ?」
拓海はほぼ同じ時期に撮られたその男の投稿を開いた。そこには、別の女とベタベタしている男の様子が収められていた。
「...え?嘘でしょ?いよそんなこと知らないもん!!今初めて知ったもん!!」
「これは偶然か...まぁいい。でも、次は間違いないだろ?」
拓海はとある音声ファイルをを開いた。
『・・・あのさ、伊代?ほんとにその人のこと狙ってないの?』
『なんでだよ笑友達の好きな人のことを狙うわけないじゃん笑笑』
『そうだよね。ごめんね疑って。』
『いいのいいの。いよもそんなふうに見えるようなことしちゃってごめんね?』
「...これの何が良くないのよ。」
「黙れ。あともう一つファイルがある。」
拓海はもう一つのファイルを開く。
『ねぇ、ほんとに狙ってないの?その人のことが好きなんじゃないの?』
『違うって!いよはほんとに...』
『じゃあなんで毎週二人で出かけてるんだよ!!そんなのおかしいよ...』
『...なんで知ってるの?』
『教えない!それより答えてよ!!伊代はその人のことが好き?』
『....好き。世界で一番大好き。向こうも同じ気持ちだよってこの前言われた。』
『なんで言わねぇんだよ。』
『だって申し訳なかったからっ...その人がいよのこと前から狙ってたって言ったら真澄のこと傷つけちゃうと思って...』
『そうじゃねぇよ!!!なんで頑なに私にその人のことが好きだって言わなかったのかって聞いてんだよ!!その人がお前のことが好きでもお前は突っぱねることが出来ただろうが!!』
『...あーもういいわ。うるさい。頭痛くなってきたから帰るね。じゃ。』
『待てよ!!』
『...』
ここで録音データは終わった。クラスがざわついている。
「...これ撮ったやつ誰だよ。」
「あたしだよ。」
そう言って前に出てきたのは - 鞍網ひかる。
「やっぱりな。こんなもん撮れるのお前しかいねぇもんなぁ!!!」
伊代がひかるに殴りかかろうとするが、すぐに拓海に突っぱねられた。
「暴力で解決する気か?だっさ。まぁお前はもう、何してもダサいけどな!!」
「...ぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!」
「そして3回目。今のお前だ。お前、薄々気づいてただろ?智樹に彼女がいるってこと。」
「...仲良くしてるなって思ってた女の子はいた。でもそれが彼女でも、いよの可愛さなら奪えると思ったの!!クラスのみんなもわかってると思うけど、いよは可愛いの!!だから何をしても許されるの!!」
「いよいよ本性が出てきたな。顔が良くても、性格がこれじゃぁねぇ...」
「仲良かった頃は、いよがこんな奴だなんて思ってなかったよ。いよは真面目で良い子だって、信じてたのに....」
「いよもあんたが盗聴するようなやつだって思ってなかったよ!!はぁ〜ホント最悪。先生に言いつけてお前らをこの学校から追い出してやる!!」
「へぇ。それだとお前がこんな会話してたってこともバレるけど、そこは大丈夫そう?」
「あっ」
「ほんと馬鹿だよなお前。なんでこの学校に入れたんだよ。お前は性的欲求でしか行動できない猿か。」
「うるさい!!こんな事になったのは全部あんたのせいだ!!」
「いや、もう自分でもわかってるだろ。全部お前が招いた結果だよ。いい加減自分のやってきたことを認めろ。」
「っ死ね!!!!」
伊代はそう吐き捨てると、8組の方へ飛び出していった。伊代のいなくなった教室で、拓海はその場でへたり込んでしまった。
「っはぁぁぁぁぁ!マジで怖かったぁ。あんなすごい演技したのは初めてだよ...」
「まさかちょっと証拠出しただけでああなるとはね。拓海もお疲れ様。」
「ひかるもね。でもあの音声ファイル、あれ本物じゃないんでしょ?」
「まぁね笑」
話は2日前に遡る。飛鳥は颯太、眞琴、拓海に改めて作戦の説明をしていた。
「まず、智樹ってやつに今回の事情を説明してくれ。」
「あれ、飛鳥は智樹と知り合いじゃないんだっけ。」
「うん。全く知らない人。」
「俺達の交友関係が広すぎるんだよ。」
「いや眞琴だけだろそれは。僕狭いよ?」
「お前ら話を続けるぞ。詳しく作戦を話す前に、今の状況をお前らにも共有する。実はあいつの話は、一部の人間しか知らないんだ。」
「え?あんなことばっかりしておいてなんで知られてないんだよ。」
「分かるだろ眞琴。Triumphaが部単位で隠蔽してるって噂だ。まぁ彼奴等ならやりかねないよな。」
「確かに。で、それと今回の作戦にはどういう関係が?」
「今回の作戦は、今までの伊代の行いを、いよのクラスに知らせることが主な目的だ。クラスメイトに知られれば、あいつも少しは動きにくくなるだろ。」
「なるほどね。でも、知らせたところで証拠とかがないとみんな信じてくれないんじゃ...」
「俺が1枚だけ写真は持ってる。ただそれだけじゃ証拠として不十分。そこでだ。新しく証拠を作ってくれ。」
「え、そんな事ができるの??」
「あぁできる。当事者を使えばいいんだ。なぁ眞琴。」
「そうだな。実は、そこはもう終わらせてる。ひかると真澄が協力してくれたんでね。」
香 真澄。女子バスケットボール部に所属。ひかるの親友。当時好きだった男を伊代に取られてしまったため、伊代に対してそれなりの憎悪を抱いている。
「ひかると伊代の声は似てる。すこしノイズを加えれば見分けはつかないだろうと俺は考えた。真澄と伊代は何回かその件について二人で話していたみたいでね。その会話内容をそのまま再現すれば証拠として機能するんじゃないかと思うんだ。」
「ちょちょ、ちょっと待って?それは間違いなく成功するの?バレない?」
「いや運だ。正直信じてもらえるかすら運なんだから。」
「えぇ...」
「今ひかると結構仲いい俺から言わせてもらうと、多分気づかないと思うぞ。まじで似てるから。」
「最初の情報はどうでもいいぞ拓海。自慢か?」
「違うわアホ。」
「で、今日の昼休みに無事に撮影が終わった。一旦流してみるか。」
〜音声ファイルが流れ始める〜
「え、すご。ほんとに似てるやん。」
「だろ?俺まじでこういう声好きなんだよね〜。」
「うちのバンドメンバーに手を出す気か?」
「...すみませんでした。」
「これは騙せますわ笑笑」
「あとは智樹に事情を伝えるだけかぁ。」
「いや、後もう一つ用意したことがある。山堂、入れ。」
飛鳥がそう呼びかけると、見たことのある男が入ってきた。
山堂一騎。バドミントン部所属。伊代に心酔している。
「今回の作戦を決行してしまうと、間違いなく伊代は孤立してしまう。そうなると、今後のクラス生活に影響を及ぼしかねない。」
「別に良くね?伊代だし。」
「いやだめだ。例えばだが、無視を続けて伊代にいじめだと訴えられてしまったとする。そうなると言い逃れが出来ない事態になってしまうだろう?」
「確かに。そうなると僕らにも影響が出てきそうだ。」
「そこで、眞琴がこいつを利用することにしたらしい。こいつには全てが終わった後の伊代のメンタルケアを担ってもらうとのことだ。そうすれば、あいつの心も少しは落ち着くはずだ。な、山堂。これでお互いウィンウィンだろう?」
「...まぁそうだな。その条件なら俺も協力するよ。本当は伊代には智樹じゃなくて僕のことを見てほしいし。」
「よし、これで決まりだな。」
「待って飛鳥。誰が伊代のクラスのみんなに伝えるかを聞いてないんだけど...」
「あぁ、それはだな...」
飛鳥と眞琴が一斉に拓海を見つめる。
「え、お、俺!?」
「そうみたいだな。」
「いや無理だって!!飛鳥!!おかしいだろぉ!!」
話は現在に戻る。
「あたしもほんとにモノマネだけで騙せると思ってなかったよ。」
「ほんとにな。しかもあれがきっかけで本性を出してきたからなww」
「びっくりしたよあれは。」
「ねww...さてと、全部終わったことだし、今度みんなでどっか食事にでもいかない?」
「あ、結構です。」
「....」
その日の放課後、伊代は一騎と一緒に帰っていたようだった。颯太は、眞琴、飛鳥と3人で話していた。
「やっぱ少しは救いも入れないとだね。」
「今回の作戦は大成功だったと言えるだろう。一騎のことを気になってるって女子が身近で出てくると色々面倒なんだが。」
「ないない笑笑あいつめっちゃ授業中に自分の股間を掻きむしってるやつだし、あいつの事好きな人いないって笑笑」
「聞きたくなかった情報...」
「ところで、颯太。お前、大会の結果出てるんじゃないのか?」
「あ、待って!?すっかり見るの忘れてた!!えぇとえぇと...どうやって見ればいいんだこれ?」
「このリンクから結果が見られるようになってるぞ。」
「ありがと眞琴。お願いします神様っ....!!」
颯太はゆっくりとリンクを押した。数秒間サイトが読み込まれ、ついに結果が表示された。そこに書かれていたことは、
「....総合...1位...??」
「おめでとう颯太ぁぁぁぁ!!」
Codaは、優勝していた。やはり決め手は演奏力だったらしい。颯太は嬉しさのあまり涙ぐんでいた。
「良かったよぉ...これで優勝してなかったら僕どうしようって思ってたから...」
「優勝してなくても別に良いんだよ。駄目でもまた頑張ればいいんだから。」
「うん...眞琴ありがと。バンドメンバーにも知らせないと!!」
「え、知らないの?」
「これ、バンドのリーダーにしか共有されてないリンクらしいんだよね。」
「何してんだよ笑早く共有してあげなさい!」
「はい!あ、そうだ。焼肉よろしくねっ♡」
「あ、やべ。やっぱなしってことには...」
「無理!」
「...わかったよ。5000円までな!!」
「ありがてぇ!!ちょっとは払うよ!!」
「頼むよ...」
「あの、俺の知らない話するのやめてもらっていいですか?」
「あ、ごめんね飛鳥。」
「ごめん忘れてた。」
「おい眞琴ぉ!!お前ってやつはぁぁ!!」
こうして、無事に智樹の恋愛事情も守られ、彼らの痛快撃退劇は幕を閉じた。しかし、これはまだ始まりに過ぎなかった。彼らは、どんどん大きな渦の中へ飲み込まれていくことになる...
「っていうかさ、拓海は呼ばなくていいの?」
「まぁあいつ忙しそうだしな。あと、伊代はだいぶ恐ろしいやつだが、あいつもなかなかに危険な奴だ。」
「え、そうなの?」
「詳しくは言えないが、飲酒、喫煙を常習的にやってると俺に自慢してきたことがあるんだ。」
「えぇ...」
「あとこれは俺の推測だけど...」
「あのグループの内通者はおそらくあいつだ。」
その日の昼、拓海はとある女子に接触していた。
「いやー痛快だったよあれは。遥も見に来ればよかったのに〜」
「いやあの場にうちがいたら怪しいでしょww」
「伊代のことどうする気?」
「徹底的にいじめるかなぁww」
「いじめるだけ?」
「ううん。自殺に追い込む。」
「やっちゃえwやっちゃえwあいつが自殺したら家で飲もうぜ!」
「うん!拓海だーいすき!」




