第六話 変わる世界と、閉ざされた扉は
初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれる予定です。念の為R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。
この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。
・あらすじ
魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。
「わー! 魔法みたい!」
ポーション屋の父親が液体の入った瓶を傾けて机に垂らすと液体はキラキラと輝きながら蒸発した。
「私もやりたい!」
ポーション屋の幼い娘は飛び跳ねて喜んだ。
魔法文明が崩壊して間もない頃、ポーション屋の父は手作りのポーションを幼い娘に見せていた。
「じゃあ、まずはこの魔導書を読む練習からだ」
「うん!」
ポーション屋の父は娘に分厚い魔導書を渡した。
幼い娘はその本の重さによろけて驚く。それを見た父は笑った。
「はははっ。まだ重いか。ここに置いておくから好きな時に見なさい」
「うん!」
魔導書を開く時のポーション屋の娘はいつも目を輝かせていた。
やがて娘は成長して、店の手伝いをするようになった。魔導書をスラスラと読めるようになったポーション屋の娘はポーションのレシピをいくつも覚えた。
父にポーションの作り方を教えてもらっている娘を後ろめたい様子で遠くから見ている母がいた。
ある晩のこと、ポーション屋の娘は自分の部屋のベッドの上で寝る間も惜しんでこっそりと魔導書を読んでいた。
突然両親が言い争う声が聞こえた。驚いたポーション屋の娘は静かに扉に近づいて聞き耳を立てる。
母の荒げた声が聞こえる。
「だからポーションなんてもう売れないって言ってるの!」
それに対して反論する父も声を荒げる。
「何言ってるんだ!店を畳むなんてできるわけないだろ!まだ買ってくれる人がいるじゃないか!」
「売り上げがガタ落ちなのよ!まだ借金にならないうちに店を畳むか他に転身しないとあの子にそれが降りかかるの!」
「新しい商品があるだろ!あれならまだやっていける!心配しすぎだ!」
ポーション屋の娘は扉を背にして座り込んで不安げに魔導書を胸に抱えて、しばらく言い争いを聞いていた。
「もしも赤字が続くなら私はあの子を連れて出ていくから」
「そんなことにはならない。勝手に言ってな」
言い争いが終わって静かになるとポーション屋の娘はベッドに戻って棚に魔導書を置いて横になる。目を閉じてもなかなか寝付けずに再びろうそくに火をつけて魔導書を読んだ。
次の日、ポーション屋の娘は眠そうに店番をする。彼女も店の客足が減っていることには気づいていて、売れる量も少なくなって在庫が余っていることにも気づいていた。魔法が世界からなくなって魔物が激減した。戦争も終わって怪我を負う人も減った。それに伴って主力商品の回復ポーションが売れなくなっていた。倉庫にはかつて魔力を回復できたという霊薬がいくつもしまってあって埃をかぶっている。倉庫の一番奥には父が新たに開発したポーションが箱にたくさん入っている。
突然店に数名の兵士を連れた僧侶が訪ねてきた。
「ごめんください。ここがポーション屋ですか?」
カウンターで眠りかけていたポーション屋の娘は飛び起きて答える。
「はい! ポーション屋です」
「ご主人は居ますか?」
「いいえ、今は居ません。どうかしましたか?」
「ええ。実はここのポーション屋で売っているポーションを使って問題が起きたと複数訴えがありまして、調べに来たのですよ」
「どんなポーションですか?」
しかし僧侶は無視して倉庫の方へ入った。
「あ、待ってください。そっちは……」
「ああ、あれですよ」
僧侶が指さしたのは倉庫の一番奥の新商品だった。ポーション屋は言う。
「それ、どうするんですか?」
僧侶と一緒にいた兵士の一人が倉庫の奥に入って新商品がたくさん入った箱を持ち上げた。
僧侶は言う。
「没収します」
七話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。
自分で言うのもなんですが、面白くなってまいりましたよ……!ここからは一気に読んでもらいたいので後書きは短めにして、さっさと次のお話を更新する準備をしたいと思います。
今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!




