第二十九話 広場のざわめきと、揺らぐ蝋燭は
初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。
この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。
・あらすじ
魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。
次の日、医者は少年を村の住民たちに紹介したいと言って、村の広場に行こうと誘う。
少年は少し不安そうだったが医者はお母さんがついてるから大丈夫と励ましてどうにか連れて行く。
広場には数人の村人と子供がいた。少年と同じくらいに見える年頃の子供たちが数人集まって話している。
医者は少年の手を引いて広場に近づくが、少年は少しずつ足取りが重くなっていく。そして広場の手前で立ち止まってしまった。
広場で話している子供たちの中の一人が医者が連れてきた少年に気づいて、他の子供たちを引き連れて少年の近くに駆け寄ってきた。
少年は駆け寄る子供たちを見た瞬間慌てて医者の後ろに隠れる。そして医者の服に顔を埋めて小さく震え始めた。
医者は大丈夫よと宥めるが、少年は動かない。
子供たちは口々に少年に質問を投げかける。
「なんて名前?」
「どこからきたの?」
「何歳?」
少年は医者に顔を埋めたままだった。医者は少年に声をかける。
「挨拶してみて。ほら、こんにちはって」
しかし少年は動かなかった。
医者が困っていると子供たちは口々に文句を言う。
「変なの」
「つまんない」
「遊ばないの?」
医者は子供たちに言う。
「ごめんね。まだ慣れてないみたい。また今度遊んであげて」
「はーい」
子供たちは広場の方へ戻っていった。
医者が少年の様子を見ると、震えが止まらず呼吸が速くなっている。
医者は慌てて少年を抱きかかえてすぐに家に連れて帰った。
しかし、少年の体からは徐々に邪悪な気配が漂い始めていた。
家に着いた医者は少年をベッドに座らせるが、少年の呼吸は荒いままで激しく咳き込み始める。
そして少年は喉の奥から真っ黒い泥を吐いた。
医者は驚く。
さらに黒い泥が蠢き始めて、医者は慌ててナイフを掴んだ。
そして黒い泥をナイフで刺す。
すると黒い泥は霧散した。
少年は息苦しそうに謝る。
「ご、ごめん……なさい……」
医者はナイフを置いて少年を抱きしめた。
「大丈夫よ。ごめんね。怖かったわね」
少年は医者に抱きついて涙を流し、しばらくしてから呼吸が落ち着いた。
夕暮れ時、二人はご飯の支度をしていた。
少年が手伝いたいと言うので食材の皮剥きを教える。
「ナイフは危ないから人に向けちゃダメよ」
「うん」
すっかり日が沈んで、夕食を食べ終えて、医者は少年を寝かしつけた。
残りの家事をしていると狩人が家を訪ねてきた。
「あんたに大事な話がある」
医者は狩人を家に上げた。机に向かい合って座り、間に蝋燭を挟む。
「大事なお話というのは何ですか?」
「実は村のみんなで話し合ってたんだ。連れてきた俺が言うのも何だが、やっぱりあの子供は危険な気がする。最近村の近くでよく魔物が出てくるようになってきたんだ。あの子供が来てからだ。それにあんたの家の近くで巨大な魔物の気配がたまにする。あの子供は人間に化けた魔物かもしれないって噂になってる。みんな怖がってるんだ。見知らぬ子供一人のために村を犠牲にできない。もうすぐ女神の国から兵隊が来るから、その子を引き渡すんだ」
「そ、そんな! 勝手なこと言わないでください。あの子はもう私の家族です。引き渡すなんてできません。そもそもどうしてそんな重要なことを私たち抜きで話しているんですか?」
「そう言うと思ったからだ。あんたはもうすでにその子供に洗脳されてるのかもしれないだろ」
「そんなのあり得ません!」
「でも、あんたの家族は魔物に殺されたんだろ。それなのにどうして魔物を庇うんだ?」
「あの子が魔物かもしれないのは私が一番分かっています。それでもあの子は優しい子なんです。悪いことはしてません」
「魔物を呼び寄せてるのがあの子供じゃないって言い切れないじゃないか。このままだとあんたも一緒に引き渡さなきゃならない」
「それでも構いません。あの子は私の家族です」
突然、部屋を照らす蝋燭が奇妙に揺れ始めた。
「ちょっと待て。隣の部屋から魔物の気配がする」
「あの子が起きたんだわ」
狩人はナイフを出して扉に近づこうとする。「待って。あの子に武器は効かない。傷がすぐに治るの」
「食べられてるように見えたのは、やっぱり気のせいじゃなかったんだな」
「……おそらく。私が代わりに話します」
医者はゆっくりと子供部屋の扉を開ける。
三十話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。
今回の話の前半の部分は実はメモの時点では書いてませんでしたが、こういうシーン入れたいよなぁと思っていたので即興で付け足しました。
この先の展開が楽しみですね。
今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!




