第二十八話 魔法を紡ぎ、輝く小道へ
初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。
この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。
・あらすじ
魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。
「女神様、大変です。不死身の魔物が死にました」
「ほう。面白い冗談を覚えたな」
「お褒めの言葉、感謝いたします。しかし、残念ながら冗談ではありません。牢で爆発があったため確認したところ、瓦礫の下から不死身の魔物の死体が見つかったのですが再生しないのです」
「脱走したか」
「なるほど。しかし、どのように脱走したのでしょうか? あの魔物は魔法の使い方は覚えていません。感情任せに魔力を爆発させる程度のことしかできないはずです」
「瓦礫の下敷きになったのだろう? ならば地に染み込み、下水を流れ出ればいい」
「その手がありましたか。血の状態で移動したというわけですね。しかし、そうなると捜索範囲はどのように設定すればよろしいですか?」
「全世界、どこにでも逃げられる」
「まあ、さすがは女神様。スケールが違いますね。人員配置はどのように設定しますか?」
「私が配置している信者の目を使う。あの化け物は人間にそっくりな姿をしている。木を隠すなら森の中だ。待っていれば自ずと向こうから人里に姿を現す」
「かしこまりました。女神様」
少年が朝起きると医者の姿が見えない。不安に駆られていると、医者が外から帰ってきた。
医者は家の外からでも感じるほど強くて邪悪な魔力を少年から感じていたが、少年が医者を見て安心するとその気配は収まった。
少年は医者に聞く。
「どこに行ってたの?」
「家族のところよ。歩けるようになったら紹介してあげる」
「僕、ここにいていいの?」
「もちろんよ。あなたは私の家族なんだから」
医者は少年と歩く練習をするとすぐに少年は歩けるようになった。
折れていた足の筋力も痩せ細っていた体も異様な速度で回復していると医者は感じていた。
医者は少年に化粧の魔法を教えることにする。医者は魔法の基礎を学べば邪悪な魔力を抑える練習にもなると考えた。
医者は少年に聞いてみる。
「どんな魔法を使いたい?」
「お母さんと同じ魔法」
「治癒の魔法ね。上級の魔法は難しいわよ。でもあなたならできそうね。大きくなったら教えてあげるわ」
「うん」
それから医者は魔法の基礎を教えると、少年はすぐに覚えた。そこから化粧の魔法も教えるとすぐに使えるようになって、少年は傷跡が見える箇所を全て魔法で覆い隠した。少年の片目は白く濁っていたが、魔法でもう片方と同じ目の色に変わった。
そうして、少年は一見すると何の変哲もない子供の姿になった。
二人は散歩に行く。医者は家族を紹介したいと言って、少年と手を繋いで歩いた。
木漏れ日が降り注ぐ道の傍に小さな花畑が連なっている。その間に伸びる道を二人は歩く。
「この道、私のお気に入りの散歩道なの。とっても綺麗でしょ?」
「うん」
「私、この景色が一番好き。あなたと一緒に来れて良かったわ」
医者が少年に笑いかける。
少年が医者の顔を見上げると木漏れ日できらきらと世界が輝いていた。少年の目にもその輝きが映り込む。
「僕も、ここが好き」
二人は道の突き当たりに辿りつく。
医者が少年に言う。
「ついたわ」
少年は目の前にある積み上げられた石を見て医者に聞く。
「これは何?」
「お墓よ」
「これが、お母さんの家族?」
「そうよ。この石の下で眠ってるの。大きい方が夫で、小さい方が息子。あなたが着てる服も、あなたが使ってるベッドも、食器も、本当はこの子の物だったのよ。今はあなたが使ってくれて、この子もきっと喜んでるわ」
「何でみんなここで寝てるの?」
「……死んじゃったのよ」
いつも明るい医者が暗い顔をした。しかしすぐに気を持ち直す。
「でも今はあなたがいるからもう寂しくないわ。あなたが家族になってくれて本当に嬉しいの。ありがとう」
そう言って医者は少年を抱きしめた。
「お母さん。僕、ここにいていいの?」
「もちろんよ」
少年も医者を抱き返した。
二十九話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。
ここのところ忙しいため更新が遅くなっておりますが、首を長くしてお待ちください。
今週の更新はこの一話のみになりそうです。
今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!




