第二十六話 痛みを越えて、交わす約束は
初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。
この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。
・あらすじ
魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。
医者は少年に人間の生活を一つ一つ丁寧に、根気強く教えていく。そこへ狩人がやってきた。
「あの子供の様子はどうだ?」
「ええ。前より元気になりましたよ。まだ足の具合は良くないけど、私の魔法で治せそうです」
「それならよかった。しかし……ちょっと気がかりなんだ。あの時獲れた獣の肉に瘴気が付いててさ……。もう処分したけど、子供の様子をしっかり見ておいた方が良さそうだ。病気にかかってるかもしれない」
「それは……確かに心配ですね」
「あんたに病気が移ったら困るよ。あんたはこの辺りで唯一の医者なんだから」
「ええ。充分気をつけています」
「この辺でも魔物が出るようになってきたし、女神様も魔王誕生の兆候があるとかって話だし……何かと物騒だから俺も気をつけないとな」
狩人が帰り際に隣の部屋から少年が少し顔を出したが、すぐに隠れてしまった。
「それにしても酷い顔だな。いやぁ、不細工ってことじゃなくて、傷跡が痛々しいって意味で」
「まあ……後で化粧の魔法を教えてあげようと思います」
「それがいい。それじゃあまた来る」
狩人が帰って医者は少年の様子を見にいく。少年は片足が曲がっていて真っ直ぐは歩けないが、家具や壁を伝ってもう片方の足で少しずつ歩いていた。
「早く治してあげないとね。その足」
医者は少年をベッドに寝かせて曲がった足を診察する。
「まず、魔法で足の感覚を麻痺させます。そしたら、痛くないうちに刺さってる牙を抜いて、そのあと綺麗な形に整えて魔法でくっつけます。今日中には治るわよ。私は上級の治癒の魔法が使えるからそんなに痛くはならないと思うわ」
「うん」
説明してすぐに施術を始める。
「寝たままでいいわよ」
医者は少年の足に痺れを起こす魔法をかけた。
「はい。触った感覚はある?」
「うん」
「あら? じゃあもう一度、はい。これでどう?」
「ある」
「あらら? たまにいるけどここまで効かないとは……魔法耐性が強いのね。困ったわ」
「ご、ごめんなさい」
「あなたは悪くないわよ。気にしないで。んー……しかし本当に困ったわね。こうなると強行手段になっちゃうけど……頑張れる?」
「……うん」
「強い子ね。じゃあ作戦変更ね。まず、麻酔無しで施術します。でもすっごく痛いから、すぐに治癒の魔法で痛みを紛らわします。そして最後に形を整えて骨をくっつけます」
「う、うん……」
少年は不安そうに返事した。医者も少年を気にかける。
「怖いわよね。治療が終わったら何かご褒美を用意してあげるわ。ご褒美は何がいい?」
「……ぎゅって、する」
「ぎゅっ? ……抱きしめてほしいのね?」
「うん」
「分かったわ。終わったらうんと抱きしめてあげる」
医者は再び施術を始める。
二十七話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。
先週は更新を休ませていただいたので今週は流石に一話だけでもと思って投稿しました。しかしここでまた来週というのはキリが悪いですね。もう一話投稿すると少しキリがいいので今週はもう一話も更新しようと思います。
今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!




