第二十二話 砂嵐の中で、吹き込まれる意思は
初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。
この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。
・あらすじ
魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。
「えっ、どういうことっすか?」
「来ないでって言われちゃった。多分バレてるみたい」
「えっ……じゃあなんで笑ってんすか。本気じゃなかったんすか?」
「そんなことはないけど……」
旅人の頭の中では砂嵐が吹き荒れる。砂嵐の奥にいる誰かが口をぱくぱくと動かして何か言っているが聞き取れない。
「あはは。もしかして、心まで化け物になっちゃったのかも」
旅人は笑った。しかし大男は怒る。
「笑ってる場合じゃないっすよ!」
「でももう無理だよ。彼女が渡された瓶は『女神の祝福』っていう強力な霊薬なんだ。それを飲んだら彼女は死ぬまで女神に支配される。記憶も思考も女神に差し出すことになる。そしたらもう僕の魔法も及ばない。そんな状態で恋なんてできるわけないよ」
「でもまだ飲んでないんすよね?」
「僕が見たときはね。今頃選択を迫られてると思うけど、多分彼女は世界を救う選択をするよ。だって、僕は……やっぱり化け物だから」
旅人は俯いてそう言った。
しかし居ても立っても居られなくなってきた大男は言い返す。
「だったら! 化け物だってんならそんなもん奪い取ってやりゃいいんすよ! なにのこのこ戻ってきてんすか! 大人ぶって! ガキみてぇに泣き喚いてでも欲しがったらいいんすよ!」
旅人は驚いていた。
頭の中で吹き荒れる砂嵐の奥にいる幼い頃の自分と少し目が合った気がした。
旅人は少し微笑んで言う。
「そうか。そういえば魔王は死んだんだったね。もう自分を押し殺す必要なんてないんだ」
「そうそう! その意気っす!」
「ありがとう。前より視界が開けた気がするよ」
「おう! じゃあもう一回っすね!」
「うん、行ってくる。彼女に世界は救わせない」
旅人は再び豪華な宿に入って全速力で駆け抜ける。
二十三話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。
今回は短いですが、次回は少し長くなりそうなので短いままにしました。このままの勢いで次の話を投稿したいので後書きも短めにします。
今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!




