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第二十一話 仄暗い部屋で、手渡された小瓶は

初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。

この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。


・あらすじ

魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。

「あの、先ほどの提案はお断りさせていただけますか」

「あなたにその権限はありません。決めるのはあの男です。あなたには別の要件があります」

「私に、ですか?」

「はい。あなたにしかできないことです」

「え?」

ポーション屋は僧侶に連れられて豪華な宿の廊下を歩く。そして四階の一番奥の部屋へ案内された。部屋はカーテンが締め切られていて外はまだ日が出ているが暗い。僧侶は部屋の蝋燭に火をつけて客間へ案内した。二人が部屋に入ると僧侶は部屋の扉の鍵を閉めた。

「どうぞ、席についてください」

「失礼します」

ポーション屋は蝋燭を挟んで僧侶の向かい側の席に座った。

「大切なお話ですので、少し厳重なお部屋にさせていただきました」

「はぁ……」

「まず、あなたはとても熱心に女神様を信仰なされているようですね」

「まぁ、そうですね」

「大変素晴らしいです。そんなあなたに重要な仕事を依頼したく、今日は足を運んでいただきました」

「あ、ありがとうございます……」

「こちらはご存じですか?」

僧侶は胸元のネックレスを引っ張り上げてローブにしまっていたペンダントを見せた。ペンダントの石は蝋燭の灯りの薄暗い部屋で微かに自ら発光していた。それを見たポーション屋は驚く。

「そ、それは、女神様のペンダント……。女神様から直々に命を受けた者だけが身につけることを許される代物です」

「はい。全くもってその通りでございます」

「つまり、あなたは大神官クラスの階級ですか」

「はい。話が早いですね」

「そんな高貴な方が何の用で旦那様の旅に同行されるのですか?」

「あなたはまだ何も知らないようですね」

「あ、あなたは旦那様の何を知ってるんですか?」

「あの男は、いえ。奴はこの世界で最も危険な化け物ですよ」

「……? 何を、言っているんですか?」


「奴は、魔王なんですよ」

「そ、そんなはずありません! 旦那様はとても優しいお方です」

「ええ。信じがたい話でしょうね。しかし、残念ながら事実です。奴は不死身で状態異常にはなりません。ポーションの効果も無かったでしょう? 思い当たる節がありますよね」

「し、しかし、それだけではまだ断定できません……」

「我々はすでに奴の素性を調査済みです。怪しい行動が多々見られます。魔導書を集めているとか、魔王が誕生したと言われる旧女神城跡地を目指しているとか」

「でも……旦那様は……」

「何らかの方法で力を取り戻そうとしているのは、容易に推測できますよね」

「………………私……もしかして、騙されてた?」

「何らかの企てに利用されている可能性があります」

「うそ…………………………」

僧侶はポーション屋に近寄って手を取り寄り添う。

「心配いりませんよ。あなたは騙されていただけです。粛正されるようなことはありません。ただ、我々に協力していただきたいのです。今のあなたは魔王に気に入られています。この立場を利用して魔王の持っている情報を女神様に伝えるのです」

「そ、そんなこと、私にできますか?」

すると僧侶は懐から小瓶を取り出してポーション屋に握らせた。

「何ですか? これは」


突然、カチャっと音を立てて扉の鍵が勝手に開いた。そして扉が開いて旅人が部屋に入ってきた。ポーション屋は入り口にいる旅人と目が合う。

驚いたポーション屋は咄嗟に叫んだ。

「来ないで!」

旅人は立ち止まった。

ずっと前から、何千年も前から知っている。あれは、化け物を見る目だ。

旅人は確信した。

ポーション屋は慌てて立ち上がって、深く頭を下げて訂正する。

「も、申し訳ありません、旦那様。今はこの方と大事なお話があります」

「こちらこそすみません。お邪魔でしたね」

旅人はいつもの笑顔を貼り付けて言った。そしてすぐに部屋を出た。


やっと豪華な宿の入り口にたどり着いた大男は息を切らせて一度荷物を地面に置くと、壁に手をついて少し休憩した。すると宿の扉が開いて旅人が出てきた。

「ああ、旦那。どうでした?」

「ダメだったよ」

旅人は笑顔だった。


二十二話へ続く

ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。


今回は重要な展開がついに来ました!

早く次の回を投稿したいので後書きは短めに終わらせていただきます。


今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!

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