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終末旅行には、魔王を連れて  作者: 心許無い灰色
第三章 大男との出会い
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第十六話 苦い本音と、甘い企ては

初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。

この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。


・あらすじ

魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。

「たしかあの日は、旦那との勝負に負けて、重い荷物背負って長距離歩いて、薪割りも手伝って……ああ、あとはまあ……悪い夢も見た」

焚き火を囲んで大男が話していた。それを聞いていたポーション屋は感想を言う。

「なんだか大変だったんですね」

「ま、こうして飯が食えるだけいいさ」

「そうですね。冷めないうちに食べてしまいましょう」

「ああ」

「あ、でも待ってください」

ポーション屋はトランクから瓶を取り出した。

「これは病気に強くなるポーションなんですけど、使ってみませんか?」

ポーションの色は濃い緑色で濁っていてとろみがある。

大男は嫌そうな顔をして言う。

「酷い色だな。どうやって使うんだ?」

「料理と混ぜて食べるだけで、病気にかかりにくくなるんです」

すると旅人は言う。

「へぇ。僕の分に混ぜてみてよ」

「はい!」

ポーション屋は旅人が差し出したスープが入った器にそのポーションを半分入れた。

旅人がスープとポーションをスプーンで混ぜるとスープは濃い緑色に染まった。それを気味悪そうに見ていた大男は言う。

「俺はいらねぇ……」

「そうですか」

ポーション屋は少し残念そうに残りのポーションを自分のスープに入れた。

旅人は大男に自分のスープを差し出して言う。

「一口食べてみる?」

「じゃあ、一口だけ」

大男は旅人のスープをスプーンで掬って食べた。スープが舌に触れた瞬間、大男は横を向いてスープを吹き出した。

「ぶへっ! まっず! 口直し口直し……」

大男はすぐに自分の分のスープを食べた。

ポーション屋も自分の緑のスープを一口食べて、ぐっと堪えながら飲み込む。

「良薬口に苦し……です」

旅人は自分の変色した緑のスープを一口食べて、平然と飲み込んで言う。

「うん。美味しいね」

それを聞いてポーション屋は喜ぶ。

「旦那様のお口には合ったようで嬉しいです」

大男は何かを言いかけたが思いとどまって別の言葉を呟いた。

「……あんたら、お似合いだな」


夜が明けて再び歩き出した三人は新しい町に着いて宿を探し、路銀の調達のためにそれぞれ仕事を探す。ポーション屋はいつも通り露店を開いてポーションを売り、大男はポーション屋に頼まれた薬草を探しに行く。旅人は冒険者ギルドに立ち寄ってならず者や猛獣の討伐要請に参加した。


頼まれた薬草を採って戻ってきた大男がポーション屋に薬草を渡した。

「これでいいか?」

「はい! これでまたポーションが作れます。ありがとうございます」

大男はポーション屋がいつもより少し大きい瓶を持っていることに気づいた。

「なんだその瓶。酒か?」

するとポーション屋は何か企んでいる様子でこっそりと言う。

「いえ、ただのジュースですよ。今晩はこれを例のポーションと混ぜて旦那様とお楽しみという作戦です」

「なるほど。でも旦那は本当にポーション効いてるのか? この前のクソ不味いポーションも普通に食ってただろ」

「確かに、旦那様と初めて会った時はポーションが効かない体質とおっしゃってました。しかしこの世でポーションが効かないなんて大昔の特異個体の魔物くらいだと聞きます。つまり、あれは旦那様が私に気を遣ってリップサービスをしてくださったのです!」

「ああ……そうだな」

大男は、あいつがその大昔の特異個体の魔物なんだよなぁと思いながら全く感情のこもっていない相槌を打った。

一方のポーション屋は上がってきたテンションのまま話す。

「もしも今晩うまくいけば、旦那様とあんなことやこんなことも……はっ! な、何でもありませんよ! と、とにかく、今晩うまくいったら旦那様は部屋に戻らないと思っててくださいね」

「へいへい。頑張れよ」

「はい!」


十七話へ続く

ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。


今回は短いエピソードが二つあったので一つにまとめてしまいました。一話千文字から二千文字くらいにしようと思っているのですが、特に基準の意味はないのでこんなに短くていいのか? と少し悩みます。多分後半のクライマックスに近づくにつれて一話が長くなっていきそうな気はしますが、短く切った方が緩急付けやすいんじゃないかと思っています。それに更新の速度が遅いので短い方がエピソードのストックを充填しやすいし追加のエピソードも入れやすい気がします。そして何より更新回数が増えて新着順に上がりやすいという利点もある気がします。


今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!

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