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第十四話 闇を切り裂き、染まる月明かりに

初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。

この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。


・あらすじ

魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。

三人は夕食を食べ終えて寝る準備をしていた。老婆が言う。

「あのベッドが空いてるわ。悪いけど、二人で使ってちょうだい」

旅人が返事をする。

「雨風が凌げるなら僕は床でも大丈夫です」

しかし大男が口を挟む。

「えっ、魔王様を床でなんて寝かせられませんよ」

「その呼び方はやめてください」

旅人は呆れる。困った老婆は部屋を見渡す。

「そうねぇ。それなら……あの椅子も使えるわ」

「じゃあ僕は椅子をお借りします」

そうしてそれぞれ寝床についた。


夜中に大男は目を覚ます。月に薄らと雲がかかっていて視界が悪い中、男は外に出て林の茂みで用を足した。すると茂みの奥からガサガサと音がした。

大男は驚いて様子を見る。

茂みから、逃げたリーダー格の小柄な男が一人で現れた。

小柄な男は小声で言う。

「おい、俺だ」

「お、お前……! さっきはよくも逃げたな」

「悪かったって。あの兄ちゃんと一緒にいるのか?」

「ああ。兄ちゃんならあの家で寝てる。思ったよりいい奴そうだぜ」

「なぁ、そいつを寝てるうちに襲えば俺たちでも勝てるんじゃないか?」

大男は驚く。

「あ、あいつと戦うなんて俺は無理だ。絶対に勝てない」

「二人がかりでも寝てる相手に勝てないって? お前、相当臆病だな」

「いや、あの兄ちゃんだけはやめとけ」

「さては情が移ったか?」

「いや、まあ……」

「もういい。やらないってんならお前もここで始末してやる」

小柄な男が剣を取り出した。

ちょうど陰っていた月明かりが差し始める。

剣の刃先についた血が月明かりに照らされた。それを見た大男は何かおかしいことに気づいた。

「そ、そういやもう一人はどうした?」

大男が質問しても小柄な男は答えずにただ笑う。

大男が後退りし始めたがすぐに大きな石に躓いて尻餅をついた。

それを見定めた小柄な男が剣を振りかざす。

大男は咄嗟に腕で頭を覆った。

その瞬間、大男の背後から影が飛び出した。


それは鞘から抜いた剣を構えた旅人だった。

旅人は小柄な男の喉笛を切り裂いて、素早く背後に回る。そして小柄な男の背中から心臓を一突きにした。

小柄な男が倒れると同時に足蹴にしながら胸から剣を引き抜く。

大男が恐る恐る腕の隙間から覗くと血を流して倒れた小柄な男とその後ろに立つ旅人が見えた。

旅人は剣についた血を布で拭って鞘に収めた。そして大男に近づく。

「大丈夫ですか?」

「こ、腰が抜けて、動けねぇ…」

「じゃあそのままでいいですよ。あのお墓、お借りしますね」

旅人は大男が夕方に掘った穴を指差す。

「あ、ああ……。そ、そいつの荷物は貰っときやすか?」

「一緒に埋めます。盗むために殺したと思われたら困りますから」

「そ、そうか……なるほど」

旅人は小柄な男の遺体を埋葬する。

月明かりの下、大男が旅人の顔を見ると頬に返り血がついていた。

「旦那。顔に血がついてます」

大男が自分の顔に指を向けて教えた。

「ありがとうございます」

旅人はにっこりと笑顔を向けて裾で頬を拭う。

人を殺した直後だというのにそんな顔をする旅人が、大男には不気味に見えた。


次の日の朝。大男は朝食を目の前にしても食欲が湧かない。

それを見た老婆は心配する。

「どうかしました?」

「えーと……」

すかさず旅人が口を挟む。

「実は昨日の晩に怖い話をしてしまいまして、それで食欲がないんだと思います。すみません」

「あー……そうそう。そうなんす」

大男も咄嗟に口裏を合わせる。

「あらそう。お料理が口に合わなかったのかと思ったわ」

「そんなことありませんよ。とっても美味しいです」

旅人は笑顔でそういうが、大男は何言ってんだコイツと言いたげな目で見た。

「まあ、大変光栄です。旦那様」

何も知らない老婆は嬉しそうだった。


十五話へ続く

ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。


今回は割とシリアス回でしたね。ほんのりとアクションシーンもあってアニメや漫画ならきっと見応えのあるシーンなんだろうなと思いながら、それが伝わる文章を書けているのか私には分かりません。とにかく今の話の流れが楽しくて、早く続きを更新したいので後書きは短めにさせていただきます。


今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!

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