第十三話 過去を捨てて、歩む旅路は
初投稿です。小説の執筆は完全に初心者です。拙い文章ですがよろしくお願いします。この物語には残酷な表現や大人な雰囲気になる表現(※直接的な性的描写はありません)などが含まれます。R15に設定しています。苦手な方はご注意ください。
この物語はファンタジーな異世界で生きる登場人物たちの恋模様を描いています。
・あらすじ
魔法文明が崩壊してその文化が失われていく中、死んだと思われていたはずの魔王が正体を隠して旅をしていた。魔王は旅の中で出会った魔法に憧れる少女と偶然魔王の正体を知ってしまった大男と共に目的の旧女神城跡地を目指して旅を続ける。
「なんてこった……こんなところで人を殺しちまうなんて……」
「じ、事故なら仕方ないわ。せめてお墓を家の裏に作ってあげましょう」
「そ、そうだな。婆さん、スコップを貸してくれ」
「家の裏にあるわ」
「分かった」
老婆は家の前で血を流して横たわる旅人に祈りを捧げていて、大男はスコップで穴を掘り始めた。
大男がそれなりの深さの穴を掘ったところで旅人に近寄る。
すると突然旅人の口が開いた。
「あ、頭が……割れるみたいに、痛い……」
大男と老婆は顔を見合わせた。
「え、喋った……?」
「わ、私も聞こえたわ」
すると旅人がゆっくりと起き上がった。
旅人の前で大男と老婆は幽霊に会ったみたいに怯えて震えている。
旅人は不思議そうに聞く。
「いたた……。何が……起きたんですか?」
大男が震えながら旅人の頭を指さして言う。
「あ、あんた……さっきまで、頭に斧が刺さってたんだ」
旅人は自分の頭を触ると血で髪が濡れている。
すると老婆が何か思い出したように言う。
「不死身……まさか、あなたは……魔王様でいらっしゃいますか?」
大男は驚く。
「ええ!? でもまあ確かに、不死身なんて魔王か女神しかいないもんな」
しかし旅人は慌てて弁解する。
「ち、違います! 違うんです! あ、皆さんは今、幽霊を見てるんですよ!」
「慌てすぎて嘘くさいな」
大男は逆に冷静になってツッコミを入れた。
「こ、こんなに早く正体がバレるなんて……! はぁ……周囲の警戒をいつも魔法に頼り切りにしてた僕が悪いんです……」
旅人は頭を抱えた。
「あっさり認めたな」
「まさかこんなところで本物に会えるなんて。長生きはするものね」
「いやーでもよかったよかった。てっきり人を殺しちまったかと思ったぜ」
「死ぬほど痛かったですけどね」
「いやぁそれは悪かったな」
一同は和やかな空気に戻ったが、大男は気がつく。
「ん? 魔王……様? って、もしかしてスゲー偉い人?」
「そうね。魔王様は、国を治める王様だったのよ」
老婆が答えた。大男は冷や汗をかき始める。
「ってことは…………も、申し訳ございませんでした! ご無礼をお許しください!」
大男は土下座して謝る。
「い、いや! 僕はもう何者でもないので! ただの旅人です!」
「でもそう言ってなんか企んでるんすよね? あんなに魔導書を集めてるし。あ、じゃあその、目指してる図書館は秘密のアジトってことっすか?」
「違います! ああ、もう……すぐそうやって……何も企んでなくても、何かしてるだけですぐ噂されるんですよ。だから隠してたのに……。はぁ……これが魔王の呪いか」
「じゃあ何で旅してるんすか?」
「そ、それは……『普通の生活』が僕の夢だからです。とにかく、このことはどうかご内密にお願いします」
「分かりやした。魔王様」
「その呼び方だけはやめてください……」
老婆が聞く。
「では、旦那様でよろしいですか?」
「魔王以外なら何でもいいですよ」
大男はそれに乗っかる。
「それじゃあ俺もそう呼ばせてもらいやすぜ、旦那」
「もう、ご自由にどうぞ……」
「そうだ、夕食が冷めてしまうわ」
「そうだな。飯にするか!」
「僕はちょっと頭を洗ってからにしますね」
そうして三人は家に戻った。
十四話へ続く
ここまで読んでいただきありがとうございます。作者の心許無い灰色(こころもとないはいいろ)と申します。
前回のシリアスから一転してコミカルになって緊張感が一気に緩みましたね。書いてて超楽しいです。この後の流れも楽しみなので早く更新するために後書きは短めにします。
今後も不定期の更新になりそうですが、何かしら見える形で応援していただければ幸いです。それでは次回もお楽しみにお待ちください!




