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第44幕

長らくお待たせしました。なんと今年初投稿です。リハビリ兼ねて今回は短めで

一筋の汗が僕の頬を伝い落ちていった。これまで幾度となく驚きを体験してきた僕の人生ではあったが、今回の場合はそのなかでもかなり上位に食い込んでくると思う。


「これが私の方から提示する報酬だ。あの話に則り君が父を連れて来てくれた暁にはここに署名をして冒険者ギルドにこれを提出する。」


爽やかな笑顔を見せながら一枚のやたらと上質そうな紙を目の前の食卓に置いてハーベスト様は確かにそう言ったのだった。

僕はその紙を一度手に取り改めてその内容を確認してみる。


『ギルド公認パーティ【ファミリア】加入届】


その紙の上にはこのような記述がされてあり、その下には届出の者の氏名を書く欄やファミリア加入希望者の氏名の記入欄、そして最後にそのファミリアの加入にあたっての注意事項とかが事細かく記されていた。


「すごい…まさか僕がファミリアの加入届なんかを拝むことができるなんて思わなかった。」


「ご主人、そのファミリアというのはそれほどまでに凄いものなのでしょうか?まだ私は人間の世界の仕組みというものには疎いものでよくわからないのですが」


フューリ様との楽しげな会話を中断させて神妙な面持ちで聞いてきたのはドレイクだ。そういえば炊事の勉強のためにハーベスト様達の屋敷へと出入りしている時に自分の正体が竜であるということは彼らには伝えたと言っていたな。だからハーベスト様もフューリ様も驚いた様子はない。あっそうそう聞いてほしい、ドレイクのことなんだけど彼、最近ではだいぶ人間生活に慣れて来た…どころか炊事、洗濯、掃除といった家事からバスパやビヤルドの街への買い出しで買ってくる物の質の良さなどを含めて色々と日に日に上達していき、最近では全てをプロの領域でこなしてくるんだ。

そのあまりのハイスペックさにそれまでそれらの仕事を担当してくれていたユキナが「私の仕事がなくなっちゃうよ〜」と嘆いていたのが何よりの証拠だ。


「ファミリア…一言で説明するならば"冒険者パーティの上位互換"とでも言えばいいのかな。冒険者ギルドが認めたある一人の力ある者を筆頭に、登録者500人以上という条件が付いている非常に大きな規模で形成された大集団のことさ。

冒険者ランク12の世界一の剣闘士フルート率いる登録者963人"フィリップス"

冒険者ランク14の刃物すら通さない強靭な皮膚を持ち生まれてきた最強の盾師シールダー率いる登録者1398人"グレイツ"

そして世界一有名なのはやはり世界最強の女剣士マーガレット率いる登録者2500人の"セリア"

戦闘における本物の精鋭たちが顔を揃えるこれら有名どころのファミリアの連中は幾度となく災害級という位置付けをされるモンスターの亜種を倒し、幾度となくそれぞれの自国を救っている。」


僕は手元のコーヒーを飲みながら続ける。


「そしてこのギルド公認パーティの凄いところは一般での依頼を全く受け付けていないところなんだ」


「…と言うと?」


ドレイクが聞いてきたと同時に僕は手元のコーヒーを全て飲み終えた。空っぽのカップの中身を見ながら一言だけ呟いた。


「ファミリアとしての活動は基本的にギルドからの緊急事態宣言の際に駆り出されるか国からの指定依頼を受けた時という特定の時しか動かないんだ。不思議な話でしょ?さて何故こんな形になっているんだと思う?」


「うーん…依頼達成時の報酬が一般の人間では支払えないような物を求められるケースが多いからでしょうか?」


ドレイクが顎に手をやり絞り出したのはこのような答えだった。

これでは全体の3割程度の正解だろう。

僕がドレイクの回答に対して色を塗ろうとした瞬間、真正面に座っていたハーベスト様がにこりと笑いながら続きを解説してくれた。


「着眼点は悪くない。確かにファミリアと対等に渡り合えるほどの報酬を出せる者は一般の人間ではそうそうおらず限られている。正解を言うと実はファミリアというのが結成される目的は国が戦力の誇示をする為というのがほとんどなんだよ。…と言うのもファミリアのバックには大概の場合国が援助して成り立っているケースばかりだ。国からすれば有名なファミリアをたくさん自国に持っていれば無駄な戦争をふっかけられることも少なくなるし貿易も盛んに行えるようになる。あっち側からしたら有名な冒険者達を一つの大集団にまとめあげるだけの維持費は馬鹿にならない金額だろうけどプラス要素も大いにあるんだ。」


ハーベスト様はそう言い終わると、それまで座っていた椅子の背もたれに掛けていたダークブラウンのジャケットに手をかけ身につけ始めた。おそらく僕にしたかった話はこれで全てだったのだろう。


「さて、君が私の依頼を受けてくれるかはあえてここでは聞かない。乗るも反るも好きにするといい。だけど君の意欲を掻き立てる為に今回の達成報酬についてひとつだけ詳しいことを言うならば…」


ここまで言いかけたところでハーベスト様は一つ大きく間を開けた。


「私が君を加入させようと考えているのは…世界で一番実績をあげ、登録者の多いセリアだ」


この言葉に僕、ドレイク、そしてユキナとこの場にいた全員が凍りついた。


「な…セリアといえば先ほどご主人の説明の中にあった一番有名なファミリア!」


「そんな、信じられない。あまりギルドの仕組みに詳しいわけではない私ですら十分なほどに聞いたことのあるあのファミリアへの加入のチャンスがエデルの元に回ってくるのを目撃するなんて!」


「そうだね…信じられんねコレ」


ドレイク、ユキナ、僕が感じたそれぞれの感想だ。セリアへのファミリアへの加入というのはどの冒険者も一度は目標として挙げたことのある事項だ。だけど残念ながらそれだけ大きなファミリアへの加入を目指すとなると、それだけの冒険者として大きな実績を上げるか…ハーベスト様達のような名のある者からの強力な推薦なんかがない限り夢のまた夢なんだ。反る理由が見当たらなかった。しかしこんな中あまりこの話に乗る気じゃないものが若干一名いた。


『馬鹿馬鹿しい。ファミリアなんぞに加入したところで我々にどのような得がある?そもそもそのファミリアに加入している面々は普段は何をやっているのだ?』


未だにドレイクとの競争で敗れたことで悔しがり終始無言でいたフルがここで話に入ってきた。やっぱり構ってもらいたかったんだね。


「あー聞いた話によると特に何も変わったことはしていないよ。皆冒険者稼業に勤しむだけだ。けどね、先程も言ったと思うけどファミリアメンバーということはその者が力を持っているという大きな証明にもなるんだよ。その恩恵として普段は冒険者ランクの未到達とかの理由で受けることができない依頼をランク制限無しに受けることができたりするんだ。」


僕のそんな何気ない言葉に誰よりも強い反応を示したのは、他でもないフルだった。


『す…すると、何時ぞやギルド内の依頼掲示版にあったキングシザーズの討伐やらエレファントスネークの討伐なんかも受けることができるということか!それは普段の薬草の採取や子守といった退屈な依頼ではなく本物の戦闘ができると言うことなのか!?』


子神狼時代の姿をしたフルが急に僕の膝の上に瞬間移動してきたかと思ったら、これでもかってほどに目をキラキラさせながらこちらに聞いてきた。いや顔近いよフルさん。


「僕も聞いた話を言ったまでだから分からないところはあるけど、流石にその人の身の丈にあった依頼までしか受けられないだろうよ。ギルド側からしたって無闇矢鱈に受注させて冒険者の頭数を減らすわけにもいかないだろうしさ」


『特に問題ないであろう?我らは今や二日もあればダンジョンメビウスくらいは制覇できるだけの力があるのだからな』


「フル!それは人前で言っちゃいけない約束!?」


僕は瞬間的にフルの口を塞ぎ向かいの席に座っていたハーベスト様とフューリ様の方を見やる。

案の定二人とも顎が外れそうなほどに口を開けて驚いた表情を浮かべていた。

マズい!まずいぞ!!


「え…英雄のお兄ちゃんとオオカミくんとドレイク君ってあのダンジョンの一番深いとこまで行ったことあるんだ…!」


「最近巷で話題にはなっていたから噂では聞いていたが君たちだったのか。確かにキラーマンティスとの圧倒的な戦闘を見た後だと納得してしまうが…」


あぁ絶対に引かれてるよなこれ。僕がダンジョン攻略を人前で言いたくない理由は単にその後が確実に面倒になるからだ。

例えばメビウスのような完全クリアされていないようなダンジョンの完了報告をギルドに挙げたりすると、何世代先の子孫まで働かなくてもいいようなほどの豪華報酬が与えられる。それだけならまだ構わないが、そんな噂はこの地域から東に100キロほど行った場所にある武装国家ガルーダまで届くのも時間の問題だ。彼らは何としてでも僕の職業の力を手中に収めようとするだろう。奴ら国中間の問題を全て戦争で解決させるような姿勢を昔から続けているから好きじゃないんだけど…。さらに言うと、僕の場合職業付与で授かったのが未確認なのがまた事態をややこしくさせるはずだ。良いことは何もない。


『エデル!何をダンマリしているのだ。とっとと親父様を見つけて連れてこようではないか。サポナビのやつを頼れば5分もしないうちに達成できるだろ?』


こ、此奴サポナビさんの件についても…


「…フル!少しは自重を学んで、今日いっぱい反省しな?」


僕が笑顔を顔につくりながらフルの頰への抓り攻撃により、その後この家の周辺にフルの涙の叫びが大きく響き渡ったのは言うまでもない。







●名前 エデル

●職業 モンスターテイマー

● HP 18714/18714 SP 15432/15443

●レベル 72

●スキル 自己回復 与ダメージ倍増

被ダメージ半減 プラズマフレッグ

瞬間移動 HP自動回復 状態異常無効

王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化

風魔法極 炎魔法極

●特殊スキル 学びLV2 視覚共有化LV1

●テイムモンスター 神狼


●名前 神狼 フル

●HP 18714/18714 SP 15432/15443

●レベル85

●スキル プラズマフレッグ ????

???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮 風魔法極 炎魔法極


●名前 金豪鋼鉄竜 ドレイク

状態 【人間】

●HP 18714/18714 SP15432/15443

●レベル73

●スキル 風魔法極 炎魔法極 極炎のブレス 鋼鉄化 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 認識超強化 HP自動回復 状態異常無効 王の威圧【大】軍隊指揮 風魔法極 炎魔法極




●名前 ユキナ メンデル

●職業 魔法戦士

● HP 1992/1992 SP 951/951

●レベル 45

●スキル 火属性魔法 闇属性魔法 無属性魔法 ???? 水属性魔法




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