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第24幕

気づけば総合100ポイント突破してました!ありがとうございます!

このメビウスというダンジョンは世界的に見て、人気がとても高い場所である。


まぁそりゃあね。その理由としてあの英雄伝説で登場する舞台であり『我こそ第2の英雄のなる』という覚悟の人達がこぞって訪れるということももちろんあるわけだ。


実際、僕もその内の一人だし。


だが、それを超えるここの人気の一番の理由はこのダンジョンは世界一キレイな場所でかつ、挑む冒険者が必要備品を最小限で済ませることのできるところであるいうことだ。


詳しくいうとダンジョン攻略というものは基本、光が全くない暗い地下の道を延々と進まなければいけなく、光魔法を操ることのできる一部を除いた大部分の冒険者は、松明を何本も用意する必要がある訳で、そしてこの費用が以外とバカにならないのである。

しかし、このメビウスのいうダンジョンは少し特殊な場所で、何故か全ての階層の壁という壁が青白く発光して自分たちの進んでいる道をいつでもしっかり照らしてくれているのだ。

その為、冒険者達は松明を事前に大量購入してこのダンジョンへ潜る必要もないし、そしていつからかこの光を長時間浴びれば美肌になれるという都市伝説が世界中でいつからか広まり、男冒険者より女性冒険者に絶大な人気を誇っている場所でもある。


だがもし、今日以降に50階層へ到達した者がいたとしたらきっと皆、口を揃えてこう疑問を思い浮かべるはずだ。


「何故、この階層だけ大部分の壁が崩落していて、まるで血のように赤黒く発光しているのか?」と






「僕の提案は君の為にもなることなんだよ。君はあの女を知らないだろうけどさ。彼女はとても危ないんだよね。だからいい加減こちらに引き渡してくれないかなぁ?そしたら、見逃したげるからさ?」


「絶対に断る!家族をそう簡単に渡すわけがない!」


『我も同じ答えだ!ユキナは我らの家族なのだ!貴様のような得体の知れぬ男なんぞに指一本触れさせぬ!』


…引き渡すわけがない。


「僕は研究者という職業柄、忍耐力はある方だけどそろそろ渡してくれないと本気で怒るよ。」


「嘘つけ!絶対、もう既に怒ってんでしょうが!」


僕はそう言い素早い動きでこちらに迫ってくるアレクに向けて斬撃を飛ばす。


「ほら〜、ちゃんと狙って狙って!」


余裕で斬撃を躱し、人差し指で心臓部をコツコツと押しながら笑顔で僕にそう言うアレク。


『貴様、我のことを忘れてはいないか』


瞬間移動を繰り出し、瞬時にアレクの背後へ移動して赤いプラズマを纏わせた前足で首元を狙った。しかし


「大丈夫!ちゃーんと覚えていたよ。」


まるで僕たちの作戦を完全に読んでいたかのようにフルの前足が当たる瞬間に下へしゃがみこみ、攻撃をものの見事に回避した。


現在、僕とフルはボス部屋の端でユキナを守りながらアレクと絶賛戦闘中だ。


フルはいつも通り前足に強力なあの赤いプラズマを纏わせ、僕もあの剣の刀身にプラズマを纏わせて相対している。

もちろん、二人とも被ダメージ半減と与ダメージ倍増は常に発動させて既にコンビネーション良くアレクに攻撃しているのだが…


「うんうん、さすが希望の若手だね。どちらの攻撃も当たったらかなり痛そうだ…

だけど、そっちのオオカミ君もエデル君も攻撃が単調なんだよね。それじゃあ当たらないよ」


なんと先ほどから息もつかせぬ程に攻撃を繰り出しているというのに、それら全てをダンスでもするかのように軽いステップで完全に捌かれているのだ。

現状、当てることすらできていない状況だ。


「なら当てるまで攻撃を続ければいいだけの話だ!」


僕は剣から斬撃を放った。しかし、やはりこれも躱されてダンジョンの青白い壁に当たり、深く壁をえぐるだけにとどまる。


「ほんとにさ、君らは何者なんだい?ダンジョンの壁が先ほどからの強い衝撃に耐えきれなくなって青輝土から赤輝土に地質変動してしまっているよ。」


「知らないよそんなの!」


確かにところどころの壁が僕の技で崩れたり、青色から赤色になっているけどさ。外観を破壊してしまったという意味で大丈夫だよなこれ?正当防衛ってことで。



僕の後ろのユキナは、先にアレクが放った強烈な殺気を真に受けてしまったことにより現在、完全に腰を抜かし顔を手で覆い、体を震えさせてダウンしてしまっている状態だ。

無理もない。普通、あの男の名前を聞くだけでも思い出したくない経験を思い出して精神状態なんか安定しないはずなのに…かわいそうだ。


…勝てなくてもいい。僕が時間稼ぎをやってなんとかここからユキナを連れて逃げなくては。


ユキナからはあのアレクという男の"素性"は聞けた。どうやら本人も否定しないあたりから彼女が話してくれたあの話は本当の事だと見てよさそうだ。


「はぁ…なんだよ。ずっと攻撃してくるんだね。…もういい、交渉は決裂だ。これから実力行使に入りまーす。」


僕らの連続攻撃を余裕で避けながらアレクは右手を上げ、まるで宣誓でもするかのようにあの笑顔を浮かべてニコニコしながらそう声を上げた。


『来るぞ!!』


「望むところだ!」


僕は改めて剣の持ち手を握り直して構える。


だがその2秒後、たった今持ち直したはずの剣はガシャンと音をたてて地面に落下していた。


というより、腕が…全く機能しなくなった。

口からも血が溢れる。


なん…だ?


理由はすぐに分かった。僕の右肩より少し下、そこへフルーツナイフと思われる小さめのナイフが突き刺さっていた。


「人間というのはいくつかの経絡と呼ばれるものが人体にあってね。そこはハデに損傷すると人間は生命活動を行うのが著しく困難になるんだ。どう?右手はもう使い物にならないだろう?」


「油断した。いつの間に!」


どうゆう事だ?認識超強化を発動させていたのにまるでナイフが飛んで来るところが見えなかった。

あの男の扱うスピードは異常だ。


『くそ!エデル、大丈夫か?』


「へへ、かなりまずいかも…」


もう、笑顔すらも浮かべて安心させてやることすらできない。悪いがそんな余裕がもう全くない。


「ちくしょう」


僕は左手で、肩のナイフを抜き取り地面に放り投げる。


なんだろう。さっきから異常に汗が吹き出て、頭が割れるように痛い。

あの男、あの一撃に一体何を仕込んだんだ。


●名前 エデル 状態 毒【特大】

●職業 モンスターテイマー

● HP 1351/7721 SP 2012/3046

●レベル 48

●スキル 自己回復 与ダメージ倍増

被ダメージ半減 プラズマフレッグ

瞬間移動 風魔法 硬化 HP自動回復

王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化 悲観耐性

●特殊スキル 学びLV1

●テイムモンスター 子神狼




「あぁ、毒…か」


僕はポツリと呟き、膝から崩れ落ちる。

そういえばあの男は毒魔法を持っていたな…ほんとに油断した。


「君は本当に規格外が甚だしいよ。そのナイフに塗られている毒は人間を苦しむ暇すら与えずに暗殺させるような代物なんだがね…。」


なんだよそれ。デススコーピオンクラスの毒じゃないか。

さすが、暗殺者という職業は恐ろしいな。

思わず褒めてしまうほどにあの男は僕より格上だ。


恐らく、フルとの本契約でHPの値が初めから高かったのと常用スキルのHP自動回復と外傷を徐々に直していってくれる自己回復のおかげでなんとか即死だけはせずに意識を保っていられてるのかな。


…あぁヤバ、視界もボヤけてきた。


あれ?僕ってここで死ぬのかな?

てかそんな流れだよねコレ。


………ならその前に一つやらなきゃいけないことがあるな。


「フル…近くに来てくれ。」


もう視界は完全にゼロだ。多分、失明したんだと思う。


『エデル!待ってろ。今、ダンジョンで毒消しポーションをドロップして来るから!』


…そんなの無理なことは分かっているくせに。


このダンジョンには推測だけど、毒消しポーションをドロップするモンスターはいない。


「フル、そんなことより今ならまだ間に合うから本契約を解除しよう。ハァ…ハァ」


意識が朦朧とする。息も上がってきている。


少し前にサポナビさんに興味本位で聞いたことがあった。

本契約の解除というのは心までそのテイムモンスターと繋がっている為、基本的にはできない。しかし、テイムモンスターのマスターに当たる人間の命を犠牲にさせれば確か解除ができたはずだ。


どうせもう長くはない命だ。

それに、この状況は完全に僕のボス部屋へ入るという判断ミスでのことだし、このままだとHP共有が持続されているため、僕が死ぬのと同時にフルも死んでしまうだろう。

それだけは避けたく、そう提案した。


だが、やっぱフルはこれを拒否する。


『エデル!!何故お主はいつもいつもそうなのだ。』


「しかたがないだろフル。聞き分けてくれよ。僕は弱い…だから弱いなりにいつも"最善の選択をして行動に移す"ことをいつも心がけてきた。

… そして、僕が思うに契約の解除こそ最善の選択だ。」


"もしかしたら死ぬ"と"確実に死ぬ"とでは大きく違う。


それにもし、僕が死んだ後にフルがうまくやってユキナを助けだせればきっとさぞ幸せな家庭となるだろうし。


『お主の考える最善の選択が仮にそれだとしたら我は、お主やユキナにモフモフをしてもらい、ユキナやそなたの父のうまい料理をいつも腹一杯に家族揃って食べることだ!一人として欠けて欲しくはない!』


なんだそれ、そんなのただの…幸せな願望じゃないか。

視界が無くて分からないけど多分フルの奴、泣いているな。


「つまり、何が言いたいの?」


僕は優しく聞いた。


『我もこのまま最後までそなたといたい。それこそ今、我がとる最善の行動だ。』



「いいの?このままだと君も確実に死んじゃうんだよ?」


僕は最後に聞き返す。



『当たり前だ!くどいぞ。我はゆうーしゅーだからどんな時でも間違えないのだ!』

さっきとは打って変わって泣き声からいつもの元気一杯なフルの声になった。


「ハハハ」


僕はそれを聞いて思わず笑ってしまった。



そうか。



ほんとに僕は



…幸せ者だったなぁ。



最後にそんなことを考えながら暗い闇に僕は意識を手放した。









【ただ今マスターと、以前より本契約を交わしていた子神狼フル様の完全死亡が確認されました】


【サポート機能の進化が確認されました。】








●名前 エデル 状態【死亡】

●職業 モンスターテイマー

● HP 0/7721 SP 2012/3046

●レベル 48

●スキル 自己回復 与ダメージ倍増

被ダメージ半減 プラズマフレッグ

瞬間移動 風魔法 硬化 HP自動回復

王の威圧【大】軍隊指揮 認識超強化 悲観耐性

●特殊スキル 学びLV1

●テイムモンスター 子神狼


●名前 子神狼 フル 状態【死亡】

●HP 0/7721 SP 2012/3046

●レベル66

●スキル プラズマフレッグ ????

???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減 瞬間移動 風魔法 硬化 認識超強化 HP自動回復 王の威圧【大】軍隊指揮 悲観耐性



もう一話は夜にでも更新できそうです

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