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第18幕

『まずいな…。このままだと我々も冗談抜きで死を覚悟しなければならない…かもな…。』


あの戦闘狂のフルが愕然としながらここまで焦るのは分かる。


「やっぱ、これってかなりまずい状況だよね?」


僕らの目の前にはそれはそれは大きさ4メートルはあろうかという銀色に輝く毛皮をまとった狼とそのシモベたち40匹が唸りながら僕らを威嚇してきている。


スペアウルフというのは普通は30匹程度の群れで生活をし、自分たちのテリトリー内でのみ狩りをして生きる習性を持ちそこから外へはほぼ出ることのない生き物だ。

一匹一匹の強さは大したことなく、さらに住みかは人里離れた森などであることが多い傾向にある為、人間とは無縁のモンスターと言ってもいいし、もちろん冒険者ギルドがスペアウルフを緊急討伐リスト登録させることだってもちろんない。


だが今回は明らかにおかしかった。

本来、スペアウルフが狩りなどで住みかを離れるときには、苦戦することなども想定に入れて【同族呼び出し】でいつでも住みかから応援をよこせるように群れのおよそ二分の一しか出ていかないので15匹前後のはずなのだが僕らが最初にこの群れの狩り部隊と出会ったときすでに100匹を超えていた。

このような異常が起きる理由は1つしかない。


「亜種の発生を見ることになるなんてね…。」


モンスターの突然変異種を意味する亜種。それはどのような過程で生まれるのかは未だに解析されてはいないが、冒険者ギルド所属の冒険者ランク10以上を直ちに派遣させる緊急討伐リストにすぐに載るほどまずい存在なのだ。

理由は一つ、亜種はとんでもない繁殖力でシモベを増やして暴れ回りなおなつ知恵も回るためそんなの確実に人の生活に影響を及ぼす。

そんなヤバイのが今僕らの目の前にいるのだ。


●名前 風王狼

●HP 6020/6020 SP1902/1902

●レベル70

●スキル 王の威圧【大】鎌鼬 HP自動回復 軍隊指揮 硬化 瞬間移動 風魔法


ガキン!

ガキン!


「ハァハァハァ…。こんなにまで攻撃を通さないなんて…どんだけ硬いんだ…。」


僕は今、与ダメージ倍増を使い鋼の剣を使いありったけの力で巨大な銀白色の狼をひたすら連撃しているのだが全てあの鋼化を使われてる毛皮で塞がれてしまってダメージを与えられないでいる。それにスペアウルフの時より格段に体力も剣の消耗も激しい。

その時だった。


『グルゥ』


「えっあれ?消えた」


風王狼がたった今一瞬にして僕の目の前から姿を消した。


『後ろだ!』


フルからの呼びかけで後ろを瞬時にふり向こうとしたがそんな隙を見逃してくれる相手ではない。

僕は背中に鋼化がかけられかなり強度が増した風王狼のタックルを思いっきり食らう。


「うがぁ!!」


被ダメージ半減を使っているにも関わらずとんでもなく重い一撃だった。肋骨2本は折れたと思う。それにもう一つの僕のスキルの自己回復は常に発動しているのにそれ以外のペースでダメージが蓄積している。


『我のプラズマですらダメージを負わないとはなんという奴なのだ…。』


そうなのだ。切り札でもあるフルのプラズマでさえあの毛皮は無効にしてしまっているのだ。

だけどそれは風王狼の話であってさっきまで風王狼の周りにいたスペアウルフが僕の気づかなかったところでみんな焦げた焼き肉になっていた。


勝てない……。

一体どうすれば…。

僕の英雄人生はここまでなのか?

どうすればいい!?

僕はある一つの考えをフルに切り出す。


「フル、僕が逃げ道を切り開くから…君だけでも逃げて。」


『!?』



ここはフルだけでも逃さないと…。

最初にこいつらと遭遇した時から近くに亜種がいることはだいたい察しがついていたが、こいつらをバスパには行かせないという使命感のようなものと、もうしかしたら亜種なんて今の僕なら簡単に倒せるのではないかという緩慢さからこんな事態を招いてしまった。冒険者失格だ…。

この前のお父さんから言われた強い"モンスターと遭遇したら逃げろ"という言葉がただただ重く僕にのしかかっていた。

こんな状況にまで陥らせた僕が今フルに出来る最大限の償いのつもりだった。




『ふざけるな!約束したはずだぞ、この戦闘が終わったらモフモフを存分に我にするとな!我は逃げないぞ!』


フルが珍しく本気で怒っている。


「どうして?」


『エデルだけを置いてなど行くはずがなかろう!家族なのだからな!』


ド直球の回答が返ってくる。


この時初めてフルが僕の名前を呼んだ。


"家族"か…その一言が僕に自信をくれる。


まったく。やめてよフル、涙が出ちゃうじゃん。


うん。……やっぱり。……そうだよね!


「…フルならそう言ってくれると思っていたよ。流石、僕の家族だ!僕もフルと一緒にいると本当に心強いよ!」



【本契約がテイムモンスターとの間に交わされました】


と、その時僕の頭にそんな謎のアナウンスが流れた。

そしてなぜだかこの時、体の底からとんでもない強力な力と目の前の敵を倒せるという確信が生まれた。

英雄は諦めない。諦めてはいけないんだ。


「フル、勝つよ!」



●名前 エデル

●職業 モンスターテイマー

● HP 2082/7683 SP832/2953

●レベル 45

●スキル 自己回復 与ダメージ倍増

被ダメージ半減 プラズマフラッグ

●特殊スキル 学びLV1

●テイムモンスター 子神狼


●名前 子神狼 フル

●HP 2082/7683 SP832/2953

●レベル63

●スキル プラズマフレッグ ????

???? ???? 自己回復 与ダメージ倍増 被ダメージ半減



















スペアウルフ戦は次で終わる予定です。


次回更新予定

2018/3/1

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