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『救済ではなく、継承の物語』― アストラル継承記 ―  作者: 龍の末裔
■第67章|『揺らぎ』
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(3)試み

(3)試み


理永は、

窓辺に並べた魔石をひとつずつ手に取った。


淡い金色に光る魔石。


自分の魔力を込めたものだが、

今のところ、光る以外に変化はない。


「……何か、使い道があると思うんだけど」


呟くと、

近くにいた妖精が魔石に飛びついた。


その小さな手が触れた瞬間、

魔石の中で金色の光が揺れた。


妖精は嬉しそうに、

魔石の周りをくるくると飛び回る。


ほかの妖精たちも集まってきた。


精霊たちも、

興味深そうに魔石を取り囲む。


「そんなに好きなの?」


理永が尋ねると、

妖精のひとりが何度も頷いた。


思わず、

理永の頬が緩む。


けれど。


妖精は魔石に触れたまま、

しばらく動かなかった。


いつものように、

魔力を使おうとしているのだろうか。


やがて、

妖精は不思議そうに首を傾げた。


金色の光は揺れている。


それでも、

光や炎が生まれることはなかった。


もうひとりの妖精も、

そっと魔石に触れてみる。


けれど、

結果は同じだった。


精霊たちも、

魔石の周りを漂うばかりで、

いつものように魔力を使うことはできないらしい。


「ん?どうしたの?」


理永は、自分の手の中にある魔石を見つめた。


「やっぱり天然の魔石とは何か、違うのかな」


妖精や精霊たちは、

今も金色の光に惹かれている。


使えなくても、

この魔石が好きなのだろう。


それなら。


自分には、

何かできるのだろうか。


理永は、

魔石を両手で包み込んだ。


自分の魔力を込めたものなのだから、

何かできてもよさそうなのに。


けれど、

いくら意識を向けても、

魔石から魔力を取り出すことはできなかった。


「……うーん」


小さく唸り、

理永は魔石を持ち直した。


魔力を込めることと、

魔力を取り出すこと。


似ているようで、

まったく違うことなのかもしれない。


今の理永には、

その違いを埋める方法が分からなかった。


「難しいな……」


小さく息を吐く。


それでも、

諦めるつもりはなかった。


ずっと、お世話になりっぱなしだ。

少しでも、由良の役に立つものを作りたい。

その気持ちは、変わらないから。


理永は、

窓辺に並んだ魔石を見渡した。


淡い金色の光が、

朝の光を受けて静かに輝いている。


魔具として使えないのなら、

ほかの方法を考えてみればいい。


「……もう少し、考えてみよう」


そう呟くと、

妖精たちが理永の周りを飛び回った。


精霊たちも、

魔石のそばを離れようとはしなかった。


理永は、

その様子を眺めながら、

もう一度、手の中の魔石に目を落とした。


まだ、

何も分からない。


けれど。


この美しい魔石を、

ただ眺めているだけではもったいない。


何か、できることがあるはずだった。




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