(3)試み
(3)試み
理永は、
窓辺に並べた魔石をひとつずつ手に取った。
淡い金色に光る魔石。
自分の魔力を込めたものだが、
今のところ、光る以外に変化はない。
「……何か、使い道があると思うんだけど」
呟くと、
近くにいた妖精が魔石に飛びついた。
その小さな手が触れた瞬間、
魔石の中で金色の光が揺れた。
妖精は嬉しそうに、
魔石の周りをくるくると飛び回る。
ほかの妖精たちも集まってきた。
精霊たちも、
興味深そうに魔石を取り囲む。
「そんなに好きなの?」
理永が尋ねると、
妖精のひとりが何度も頷いた。
思わず、
理永の頬が緩む。
けれど。
妖精は魔石に触れたまま、
しばらく動かなかった。
いつものように、
魔力を使おうとしているのだろうか。
やがて、
妖精は不思議そうに首を傾げた。
金色の光は揺れている。
それでも、
光や炎が生まれることはなかった。
もうひとりの妖精も、
そっと魔石に触れてみる。
けれど、
結果は同じだった。
精霊たちも、
魔石の周りを漂うばかりで、
いつものように魔力を使うことはできないらしい。
「ん?どうしたの?」
理永は、自分の手の中にある魔石を見つめた。
「やっぱり天然の魔石とは何か、違うのかな」
妖精や精霊たちは、
今も金色の光に惹かれている。
使えなくても、
この魔石が好きなのだろう。
それなら。
自分には、
何かできるのだろうか。
理永は、
魔石を両手で包み込んだ。
自分の魔力を込めたものなのだから、
何かできてもよさそうなのに。
けれど、
いくら意識を向けても、
魔石から魔力を取り出すことはできなかった。
「……うーん」
小さく唸り、
理永は魔石を持ち直した。
魔力を込めることと、
魔力を取り出すこと。
似ているようで、
まったく違うことなのかもしれない。
今の理永には、
その違いを埋める方法が分からなかった。
「難しいな……」
小さく息を吐く。
それでも、
諦めるつもりはなかった。
ずっと、お世話になりっぱなしだ。
少しでも、由良の役に立つものを作りたい。
その気持ちは、変わらないから。
理永は、
窓辺に並んだ魔石を見渡した。
淡い金色の光が、
朝の光を受けて静かに輝いている。
魔具として使えないのなら、
ほかの方法を考えてみればいい。
「……もう少し、考えてみよう」
そう呟くと、
妖精たちが理永の周りを飛び回った。
精霊たちも、
魔石のそばを離れようとはしなかった。
理永は、
その様子を眺めながら、
もう一度、手の中の魔石に目を落とした。
まだ、
何も分からない。
けれど。
この美しい魔石を、
ただ眺めているだけではもったいない。
何か、できることがあるはずだった。




