(2)気づき
理永が、魔石へ魔力を流している。
その様子を、
由良は少し離れた場所から見ていた。
以前とは、明らかに違う。
魔力を集める動きに、迷いがなくなっている。
魔石へ流すときも、力が乱れていない。
淡い金色の光が、
静かに魔石の中へ入っていく。
由良は、それを見つめていた。
もう。
魔力の扱いを、教える必要はない。
理永自身が、
その感覚を掴んでいる。
由良には、
それが分かった。
けれど。
理永は、いまだに何も言わない。
顔を合わせても由良は、そのことについて何も聞かなかった。
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理永が、街から戻ると魔石を並べる。
妖精たちが、
その周りへ集まっていく。
「……」
由良は、
その光景を遠くから眺めていた。
以前なら。
魔力をどう動かすのか。
どこへ流すのか。
ひとつずつ、
教えていた。
けれど。
以前のように、
ひとつずつ教えることは……もうない。
そう思うと、少しだけ寂しかった。
それでも。
理永は変わらず、
自分のところへ来る。
魔石の話をする。
花の話をする。
ミケの話をする。
そして。
あの力を、
もう一度と言う。
由良は、
それを拒まなかった。
理由を、
聞くこともしなかった。
必要だから来るのか。
それとも。
別の理由があるのか。
そんなことは、
考えなかった。
ただ。理永が会いに来る。
差し出された手を、
受け取る。
それが今の由良の幸せだった。
由良は、
窓の外を見る。
森の木々が、
風に揺れている。
その向こうには、
理永が暮らす家がある。
そして。
理永は、きっと来る。
由良は、そう思っていた。
だから。
もう教えることがなくても。
理永が望むなら。
この手を、
離す理由はなかった。




