(7)文通
翌日。
理永のもとへ、
一枚の紙が届いた。
ミケが、
いつものように庭へやって来たのだ。
その首には、
昨日と同じ細い紐。
「……あら?」
理永は、
紐に結ばれた紙を見つける。
そっと外して、
折りたたまれた紙を開いた。
そこには、
由良の文字が並んでいた。
――魔石のことは、分かる範囲なら答えよう。
理永は、
その一文を指先でなぞり何度か読み返した。
「綺麗な文字ね」
思わず、
小さく笑う。
返事が来た。
それだけのことなのに、
なんだか嬉しかった。
理永は紙を机の上へ置く。
そして。
その隣に、新しい紙を広げた。
何を書こうかな。
少し考えて。
まずは、
昨日の続きから書くことにした。
――魔石って、どうやってできるの?
書いてから、
少し考える。
――石に魔力が溜まるのは分かったけれど、全部そうなの?
そこまで書いて、
筆を止めた。
由良の返事を待つ。
またミケが届けてくれる。
そう思うと、
次の手紙を書くことも楽しみになった。
数日後。
また、
ミケがやって来た。
「来たわね」
理永が笑う。
ミケの首から、
紙を外す。
開いてみると――
――全部が同じではない。
短い返事だった。
その下には、
いくつかの例が書かれていた。
――鉱物や宝石に、長い時間をかけて魔力が蓄積したもの。
――魔力そのものが集まり、固まって結晶になったもの。
――水分などに溶け込んでいた魔力が濃くなり、塩のように析出してできるもの。
理永は、
ひとつひとつを指で追う。
「……へえ」
同じ魔石でも。
生まれ方が違う。
石に溜まるもの。
魔力そのものが集まるもの。
そして、
何かに溶け込んだものが、
形を変えて現れるもの。
理永は、
少し考えた。
――じゃあ、他にもあるのかも
そう書いてみる。
返ってきた答えは、
やっぱり短かった。
――あるかもしれないな。
理永は、
その言葉を見つめた。
「……あるかもしれない」
知られているものが、
すべてではない。
そう思うと。
なんだか、
わくわくしてきた。
理永は、
机の上に並べた魔石へ目を向ける。
今まで。
ただ綺麗だと思っていた石。
中に魔力が入っていることを知って、
使えることを知って。
空になることも知った。
けれど。
その魔力が、
どうやってそこへ入ったのか。
どうして、
石になったのか。
まだ分からないことばかりだった。
理永は、
もう一度紙へ向かう。
――魔力って、不思議ね
いろんなものになれるのかしら?
書いてから。
少しだけ、
首を傾げた。
それは、
魔石のことを考えていたら、
自然に浮かんだ疑問だった。
そして。
その答えを待ちながら、
理永は次の手紙を書き始めた。




