8話 境遇
本日2話目。
楽しんでいただければ幸いです。
タイトル修正しました。
「へぇ、ミルアさんは、騎士の家系なんですね。私は、一村人なので、騎士や王都なんて、雲の上のような話です。」
「はっは。雲上人と呼んでくれてもいいんだ、なんてな。それに、これから君も王都の住民となるだろう?」
「試験に受かれば、ですけどね。」
「なに、雰囲気でわかるさ。君は自分の実力を正当に評価し、疑っていない。君くらいの年齢でそのような者は、きっと大成するさ。」
同年代で、どちらも受験生ということもあり、ミルアとイレイシアは、話がよく弾んだ。二人で食後のお茶を楽しみながら、話していると、そろそろ混み合う時間に差し掛かるので、席を開けてくれないか、とサリィから通達があった。
二人は、お茶を持ってイレイシアの部屋に行き、話を続けることにした。始め、ミルアは、初対面の他人の部屋に行くのは、と渋っていたが、イレイシアの村での感覚からは、そんなにおかしなことでもなかった。そのため、ミルアは結局、イレイシアに押され、彼女の部屋に行くことになったのだった。
その後は、程よい時間になるまで試験のことや、お互いの身の上について話した。ミルアが去り際に、おやすみ、イレイシア、と言っていったので、イレイシアは、ミルアはイケメンぽい人だな、と思った。
翌朝、イレイシアが食事へ向かうと、ミルアは既に食事を終えるところだった。朝が早いのは、食事の後に鍛錬をしたいからなのだそうだ。騎士らしい、とイレイシアは思い、食事が終わったら見学に行くことにした。
イレイシアが食事を終え、宿の裏手から少しずれたところにある、草がまだらに生えたところへ行くと、ミルアは剣を振っていた。決まった型があるのか、いくつかの動作の流れを繰り返しているように見えた。イレイシアは、別に剣に詳しいわけではないが、朝の日の光が当たって、輝きながら振られる剣を見ていると、美しいと思った。
しばらくイレイシアが眺めていると、鍛錬が終わったのか、ミルアが剣を下ろし、汗を拭き始めた。イレイシアが小さく拍手をすると、ミルアが苦笑しながら振り返った。
「誰か来たのはわかっていたが、君だったか。そこまで上手いわけでもないから、見られるとやや恥ずかしいな。」
「そんなことないと思います。私は、剣とかは詳しくないけど、美しいと思いました。」
イレイシアが、素直に感想を伝えると、ミルアは恥ずかしそうに笑いながら、そうか、と言った。ミルアに今日の予定を尋ねると、小銭稼ぎに、弱めの魔物を狩りに街の外に出ようと考えている旨を聞いた。イレイシアが、試験前なのに大丈夫か、と聞くと、暇だし、雑魚狩りしかしないし大丈夫だ、という応えが返ってきた。イレイシアは、魔物を狩った経験はないので、そういうものなのだろうと納得することにした。ついて来るかと聞かれ、断ろうかとも思ったが、正直なところ興味もあったので、少しだけ、と返事をした。
二人は部屋に戻り、外で活動できるような格好に着替えると、連れ立って街を出た。二人は歩きながら、身の上話の続きなどをした。
「そういえば、昨日聞けなかったんですけど、なんでミルアさんは森で修行を?」
「あー、言ってなかったな、そういえば。我が家のしきたりみたいなものでな、特定の魔物を倒すと、騎士、というより剣士として、一人前と認めてもらえるんだ。その魔物を倒すための、特訓。親戚に少々奇特な方がいて、森に住んで道場をやっているんだが、そこに師事していたんだ。かれこれ、2年ほどになるかな。」
「へぇ、そうなんですね。修行なんてすごいです。私は、魔物をしっかりと見たのが、先日初めてでしたから・・・。戦うとか、魔物とか全然わからないです。」
「ふぅん。そういうのは村では普通なのか?街よりも村の方が、危険度は高そうだがな。」
「そういうのは大概、男性の仕事でしたし、私はとにかく勉強に集中して、王都で大成してほしい、と言われ育ちましたから。最低限家事とかはやっていましたけどね。勉強といっても、古い過去問を解いたりするぐらいしか、やることはありませんでしたが・・・。」
ミルアは、へぇ、と言う。幼少期から剣とともに育ってきた彼女には、勉強が体を動かすより優先されるのは、馴染みがなかった。しかし、イレイシアの方も、自分が少々特殊な環境に置かれていたと思っているので、やはり、地方の村で勉強に励むと言うのは、珍しいと言えるのだろう。
お読みいただきありがとうございます。
ミルアさんはイケメンです。次回、魔物回!?
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