6話 街並
区切りが悪かったので、もう1話投稿させていただきます。スケジュール管理ガバガバですみません...
楽しんでいただければ幸いです。
街を歩いてみて、最初に目についたのは、大きな像と色硝子が特徴的な教会だった。
王国では、国家宗教はなく、信仰の強制はしていないが、傾向として一部の地域を除いて「べリネイア教」の信者が多い。べリネイア教は、女神べリネイアを信仰していて、べリネイアは様々な天変地異や人災の折に人々に神託を与え、導き救う神だと言われている。王国のかつての戦争でで戦線を切り開いた「英雄」が、べリネイアの神託を受けたと言ったため、信仰が厚くなった。また、べリネイア教は他の信仰に寛容なため、他宗教との軋轢が少なく、国際的に信者が多い宗教でもある。
そのため、何の信仰も持たないイレイシアなどが教会へ立ち入っても、何も咎められない。イレイシアは、試しに教会へ入ってみることにした。
教会の中は、天井の色硝子を通った、あたたかい日の光で照らされていて、入り口から見て、左右には長い固定型の椅子、中央奥には一段高くなった台と書見台がある、一般的な作りになっていた。書見台のさらに奥には、女神の像があり、数人の修道女や街民が祈りを捧げていた。祈りの邪魔をしては悪いと思い、イレイシアは静かに教会を後にした。
次に目についたのは、盾と剣のオブジェクトを掲げた「冒険者組合支部店」だった。組合は、王国が王都の西の大領主に委託する形で運営している組織だ。王国内の主要な街に支部があり、それぞれの支部店では、冒険者に依頼を出したり、組合に持ち込まれた様々な物品を購入したりすることが出来る。イレイシアは、何か買うものがあるわけでもないし、冒険者になるつもりも特になかったため、外観を眺めるだけで通り過ぎた。
外観が目立つような建物は、他に金融施設や、街役所があるくらいで、特に興味を惹かれるものはなかったため、イレイシアは、近くの雑貨店に寄ってみることにした。
雑貨店の中は、多少雑然としていたが、様々なものが置いてあり、イレイシアの目を楽しませた。特に、アクセサリーの類は、イレイシアも年相応の少女らしく心惹かれた。しかし、余分なことに使う金があるわけではなかったため、一通り店内を眺めると、イレイシアは店を後にした。
次にイレイシアが入ったのは、書店だった。紙というのは、貴重品であり、それをふんだんに使った本は、かなり裕福な家庭でないと買うことはできない。そのため、買うより安い金額で本を借りることができるように作られたのが、書店だった。もちろん、本の販売も多少はしているが、書店の役割はあくまで貸し出しだ。もし、本を買いたい場合は、商人から直接卸してもらうか、組合向けに販売されているものを組合経由で買うかの二択が主流となる。イレイシアは、気になる題の本をパラパラとめくって見たりしたが、お金に余裕がないことに再び思い当たり、泣く泣く店を後にした。
その後もいくつか店に入ってみたりして、日が傾き始めた頃に、イレイシアは宿に戻った。受付の娘がいなかったが、すぐ横にある、宿の食事場所の方に目を向けると、娘はテーブルを拭いて、夕飯時の支度をしていた。イレイシアが声をかけると、応えがあり、少し待つよう伝えられた。娘が一段落したのでイレイシアの方に来ると、イレイシアは地図を渡す。
「この地図、ありがとうございます。参考になりました。」
「それは良かったです。レルアの街は楽しめましたか?」
「はい。私にとってはどこも新鮮で、散策するだけでも楽しかったです。」
「でしょう?私も、生まれた時から住んでいますが、未だに新しい発見をすることがあります。歩いて疲れたでしょう。そろそろお風呂が沸くと思うので、混む前にお入りになられたらいかがですか?裏手の方にあるんです。」
娘の話では、宿には二つの小さな風呂があり、交代制で使えるのだそうだ。イレイシアは感謝し、部屋へと一度戻った。
お読みいただきありがとうございます。
べリネイアって語感は結構気に入っています。あと、冒険者の設定は十数話後に出ると思います。
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