↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
38/42

3話

本日2話目。前書きだけ修正しました。

楽しんでいただければ幸いです。

「ん・・・ぐ・・・。」


 イレイシアが〈蒼の爪牙〉の3人を寝かせてから、さほど経たずにくぐもった声と共にトーラが目を覚ます。


「あれ・・・?一体、何が起こって・・・。確か壁を壊そうとしたら爆発が起こって・・・。」

「あ、おはようございます。トーラさん。」


 状況を飲み込もうと声を発するするトーラに気付き、イレイシアは声をかける。


「あ、イレイシアさん。一体、何が起こったんですか?俺が覚えているのは、壁を撃ったら爆発が起こった所まで何ですけど・・・。」

「そうですね、説明します。その前に、他の2人もそろそろ起きると思うので待ちましょう。」


 2人が待っていると、すぐにレノイが身を起こし、周りを訝しげに見始めた。


「レノイ、身体は大丈夫?」

「ん。」

「何が起こったのか、ライカの目が覚めたらイレイシアさんが説明してくれる。少し待とうか。」


 レノイは黙って聞いていたが、何を思ったのかおもむろに立ち上がる。そして、ライカの横に立つと彼女を蹴り飛ばした。


「え?」

「あの・・・?」


 トーラとイレイシアが戸惑っていると、レノイは無表情で言う。


「起きた。」

「起きた、じゃないわよ!叩き起こしたの間違いでしょ!」


 叩くというよりは蹴り起こされ、いや、自発的に起きたライカが、イレイシア達の心中を代弁する。


「えっと、大丈夫ですか?ライカさん。」

「ふぅ・・・。えぇ、問題ないわ。それで、一体何が起こったのかしら?私が矢を放ったら、爆発が起こったわよね。」


 ライカの問いかけに、トーラとレノイの視線がイレイシアに向く。3人の視線を受け、イレイシアは口を開いた。


「おそらく、先ほど起こったのは過多な魔力を含んだ空気の膨張です。」


 イレイシアの端的な説明に、3人が疑いの眼差しを向ける。イレイシアは1つ頷くと、再び話し始めた。


「もちろん、それだけでは皆さんが気を失うことはありません。実際、爆発の規模も大したものではなく、件の薄い壁を壊す程度にとどまっていました。皆さんを蝕んだのは、空気に含まれていた魔力の方です。私が少し観察したところ、あの奥はやはり儀式場になっていました。」


 そこで、イレイシアは言葉を止めておもむろに地面に何やら描き始める。ややあって完成したのは、様々な図形が複雑に配置されている模様だった。


「これが、実際に儀式を成立させるため書かれていた陣です。魔法や魔術をはじめとした、魔力を用いる様々な様式を混合させたもののようです。これは、私が細部を補完したものですが、おそらく書かれている内容は間違い無いと思います。そして、この陣により行われる儀式、それは」


ーー神の喚起、あるいは創造です。


「「神・・・。」」

「・・・邪神?」


 3人の反応に、イレイシアは首を振る。


「すみません。言葉が足りませんでした。あそこで行われていたのは、命を犠牲にして膨大な魔力を操作し、特定の自然法則を無視する、あるいは捻じ曲げる能力をもったものを生み出す儀式です。それにより産まれるものを便宜的に神と呼ぶことがあるのです。そして、あそこでは既にその儀式が成立しており、皆さんは産まれた神の放つ特殊な型(パターン)の魔力にあてられたのだと思います。」


 途轍もない話に、トーラたちは言葉が出ない。少し経って衝撃から解放されると、トーラは他の2人に変わり、イレイシアに尋ねる。


「それって、放って置けない、とんでもない話ですよね。俺達で解決するんですか?というより解決できるんですか?」

「放って置けないのは確かです。しかし、境界がしっかりと機能しているので、そう急ぐ話でもありません。それに、そんなに気負う必要はありませんよ。問題なく倒せると思います。なにせ、たかが産まれたばかりの神ですから。」


 人が作ったとはいえ、仮にも神と呼ばれる上位の存在。それに対し、たかが。再び驚きを味わう〈蒼の爪牙〉の面々に構わず、イレイシアは話し続ける。


「とはいえ、組合に報告した方が良いのは確かです。それに、今日はもうすぐ日が落ちますから。何かをするなら、明るい方がいいでしょう。」


 イレイシアの言に、今度は驚きもなく納得し、トーラ達は一度組合へ引き上げることにした。

 組合へと戻った一行は、受付に丁寧に迎え入れられる。イレイシアに対する、周りからの奇異の視線はあったものの、不躾に見てくるものは今度はいなかった。〈蒼の爪牙〉が実力を周りに認められている証拠と言えるだろう。行きに集合した部屋と同じ部屋で待っていると、ガルトが少し経ってからやってくる。


「お疲れ様です、イレイシア殿。それから、お前達も。して、どうでしたかな?魔洞の方は。」

「魔洞自体は大したことはありません。規模は小さく魔力もそう多く溜まっているわけでも無い。しかし、それとは別の問題がありました。なんというか、火のないところに、という話です。」


 イレイシアの言に、ガルトが険しい顔をする。察した様子の彼に、イレイシアは言う。


「ガレイア教のものとみられる儀式場が最奥にありました。そして、そこでは神の創造と呼ばれる類のものが行われています。いえ、正確には行われていました。既に儀式は成っており、今は私の境界で魔洞全体を覆っている状態です。」

「なんと・・・。最も危惧していたことが起こっているとは・・・。」


 頭痛を覚えた様子でこめかみを抑えるガルトに、イレイシアは言う。


「ガルトさん、王都の使者にお伝えください。うちの影を動かします。」

「!使者殿がいると、何故?」

「状況と時機を考えればわかります。それに、特に秘匿されていなければ、魔力もわかりますから。」


 2人の後ろで話を聞いていた〈蒼の爪牙〉は驚いた雰囲気を出している。ガルトは、またも別種の頭痛を覚えたようだったが、イレイシアにはその原因は分からなかった。


「わかりました、イレイシア殿。では、これからの動きを教えてもらえますかな?」

「はい。まず、私から証をお渡しするので、使者殿には申し訳ないですが、すぐ発ってもらいます。そして、明日早速私が魔洞の方を潰しに行くので、後方支援として〈蒼の爪牙〉の皆さんをお借りします。」

「・・・分かりました。イレイシア殿が言うのですから、問題ないのでしょうが、しかと頼みます。」


 イレイシアは頷き、後ろを振り返る。


「今聞かれていたように、明日魔洞を潰します。皆さんには、念のため後ろで控えてもらいたいのですが、よろしいでしょうか?」

「はい。それは全く問題ないのですが、俺達は何をすればいいでしょうか。」

「いえ、特には。万が一境界を超えて、余波が出てしまった場合は対処してほしいです。」


 3人の理解を得ると、イレイシアは再びガルトの方へと向き直り、懐から小さな紋章を出す。


「これを見せれば問題ないはずです。よろしくお願いします。」


 ガルトが紋章を受け取り、部屋を出て行くと解散の運びとなった。明日の朝、初めの鐘の刻に組合に集合することにし、4人はそれぞれの場所へと帰っていった。


 組合を出て、宿に帰ったイレイシアは身軽な格好になる。部屋を出て、扉を備え付けの家書ーー手紙ではなく、一般に普及している魔導書。の魔術で施錠し、一階の食堂へ行く。食堂には、ちらほらと人がいる程度で、閑散としていた。イレイシアは、厨房と繋がっている窓から、食事を注文する。少し早いが、夕食を食べてしまうつもりだった。

お読みいただきありがとうございます。

本当はね、魔術とか魔導書とかの設定書き連ねたいです。でもそれは、この事件?異変?が解決した後の話に書きます。

よろしければ、ブックマーク、評価等々お願いします。m(_ _)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。