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2話

本日1話目。19:00ごろもう1話投稿予定です。←しました。

それと、ものすごくどうでもいいですが、体調が回復してきました。あとは鼻づまりだけです。

本当は設定を語りたい。しかし、語るわけにはいかんのだよ。まだ、ね。

今日も今日とて(?)楽しんでいただければ幸いです。

 組合を出た4人は、トーラの先導の下で魔洞へ向かう。言葉少なに歩いていると、トーラが口を開いた。


「えぇと、イレイシアさん、とお呼びしていいですか?」

「はい、構いません。私も、トーラさん、ライカさん、レノイさんとお呼びします。」

「ありがとうございます。それでその、イレイシアさんは、失礼を承知で申し上げると、あまり冒険者らしくはないですね。」


 トーラの率直な物言いに、イレイシアは少し笑う。


「弱そうですか?」

「あ、いえ!そんな!見た目じゃ判断できないのがこの業界ですから。ただ、その、あんまりらしくないなって思って。」

「まぁ、私の本職は魔術の研究ですから。そう見えるのも、無理はありません。」


 イレイシアの言に、〈蒼の爪牙〉の3人は得心したようだった。今度は、イレイシアから3人に尋ねてみる。


「皆さんは、どのようなことを得意とされていますか?」

「俺は、剣士です。魔力を用いた体術を修めています。魔術とかはからっきしなんですけど・・・。」

「あたしは、弓。魔術が込められた特殊な矢を使うわ。連戦とか消耗戦は苦手ね。」

「斥候、補助、戦術。」

「なるほど、決戦・先鋒型(タイプ)なんですね。普段は、他の組(パーティ)に先じる役で、後衛の補給を待つのが定石、と言った感じですか?」


 イレイシアの問に、トーラとライカは驚きをみせる。レノイだけは無表情であった。イレイシアからしてみれば、それだけの情報があればどのような組かは分かるのだが、3人にとっては、初対面でそこまで推察されるのは、珍しく驚くべきことだった。その後、イレイシアは、自分が回復や補助、補充に務めることに決め、3人に伝える。どうやら、バランスのよい団(チーム)となりそうだ。

 暫く歩き、魔洞の入り口に着いた一行は、最後の確認をし、レノイを先頭にして陣形を組む。イレイシアは、空中に手を差し伸べると、空間を歪めて一冊の分厚い本を取り出した。これは、魔導書を使う者たちの基本的な技術で、〈図書鑑〉(リベル・イァム)と呼ばれる。


「では、魔洞の確認を始めます。」


 イレイシアの合図を皮切りに、4人は薄暗い洞窟の中へと踏み出した。


 洞窟の中は薄寒く暗かったが、イレイシアが手を振ると、魔導書がひとりでに開き、一行の周りを飛び始めた。開かれた頁は光を放ち、一行を暖かく包む空気を作り出した。


「「これは、一体・・・。」」


 トーラとライカは、その光景に思わず呟く。レノイも、無表情ながら驚いた雰囲気を出していた。

 一般的に知られる魔導書の使い方は、単純には頁を開いてそこに書かれている内容を自身の魔力で転写して魔術を行使することだ。しかし、イレイシアは頁の内容を転写せずに、自身の術として扱っている。これは、魔術を知る者からしたら途轍もない衝撃だった。


「私は、少し他の人と違う魔導書の使い方をするんです。大丈夫、効力は劣りません。」


 少し・・・?と、疑問を覚えた〈蒼の爪牙〉の面々を無視し、イレイシアは進むよう促す。しばらく無言で歩いていると、イレイシアが口を開いた。


「そういえば、念のため確認したほうがいいですね。皆さんは、黒い宝石とはなんなのか知っていますか。」


 先刻のガルトとの話で出てきた黒い宝石。イレイシアは、元からその存在を知っていたが、一般にはあまり知られていない。今回の探索の重要な点であるため、イレイシアは確認を取ることにした。


「今回、街で出た噂の問題点だとは聞いています。俺は、詳しくは知らないです。」

「私は少し聞いたことがあるわ。外道な魔術が関与している、程度だけれどね。」


 トーラとライカが答え、レノイが首を振る。どうやら、3人には十分な情報が与えられているわけではないようだった。


「では、今のうちに教えます。黒い宝石、とは支配や命令の魔力回路を鉱石に刻み込んだものです。もともとは、軍事利用を想定した魔術研究の副産物として、大戦のおりに生まれた技術を使っています。黒い宝石を埋め込まれた動物は、特定の型(パターン)で流される魔力により、異常行動を起こすようになります。そして一番の問題点は、これをガレイア教の信徒がよく用いることです。」


 イレイシアの言に、2人が息を飲む。レノイも大した反応はしなかったが、ピクッと眉を動かした。その理由は、イレイシアが最後に告げたガレイア教だ。宗教に寛容な国家でも注視される宗教であり、所謂邪神信仰をしている。また、海を隔てた帝国や、大陸西部の蛮国などと繋がりがあり、多くの外道な手段や技術を用いることで知られている。彼らの目的は、はっきりとはしておらず、国家の諜報機関でも動向を探りきれない、不気味な集団だ。


「イレイシアさん、大丈夫なんでしょうか。俺達には荷が勝ちすぎていると思います。」

「大丈夫ですよ。いざとなれば、私が皆さんを守りますから。」


 萎縮してしまったトーラ達に、イレイシアは微笑みかける。イレイシアには、誰が相手でも大丈夫、という確信があった。それは、彼女自身の人生経験に基づくものだったが、他の3人には知る由もないことだった。

 先程までより緊張感を高めて一行が進んでいると、やがて行き止まりへとたどり着いてしまった。


「あれ?もう行き止まりなのか。レノイ?」

「分かれ道、なかった。」

「案外、大したことのない魔洞だったのかしらね?」


 〈蒼の爪牙〉が互いに意見を交わす中、イレイシアは1つの魔術を使う。対象の厚さを測るための魔術で、それによると目の前の壁は他の壁と違い薄かった。


「皆さん、分かりました。ここの壁は偽装のようです。奥に空間があります。」

「!なるほど。なら、この壁を壊せば先に進めますね。」


 トーラの言に、しかしイレイシアは首を振る。


「ここがもし、ガレイア教のなんらかの儀式場だった場合、壁を壊すことで中身が漏れ出す可能性があります。先に、ここと魔洞の周り全体を囲むように境界を作ります。」


 そう言うと、イレイシアは別の魔導書を〈図書鑑〉で取り出す。イレイシアが手を振ると、魔導書から多数の頁が魔導の外へと飛んで行った。

 またもや驚いている3人を脇目に、イレイシアは壁の前の地面に紋章を描き始める。壁の端から端まで移動しつつ描き終えると、イレイシアは3人に声をかける。


「準備は整いました。もう壁を壊せます。」

「すごい、ですね。イレイシアさん。境界がこんなに早く完成するなんて。」

「本当にそう。どんな技術なのかとても気になるわね。ま、とりあえず壁を壊しちゃいましょうか。」


 ライカはそう言い、矢筒から矢を取り弓とともに構える。イレイシアは、合図で放つように言い、不測の事態に備えて身を構える。トーラとレノイも準備が整ったところで、イレイシアは合図をした。


着弾。

その瞬間、大きな爆発が起こった。


「ぐっ!これ、は!」

「きゃあっ!」

「・・・っ!」


 吹き荒れる暴風。壁を壊した先の何かがトーラたちに牙を剥いた。

 イレイシアは、落ち着いて3人を境界の外まで退避させ、状態を確認する。3人は、中から溢れてきた何かの気配にあてられ、気を失ったようだった。イレイシアは、自分達を一度魔洞の外まで魔術で運び出した。幸いにして、境界がしっかりと働き、魔洞の外には影響が出ていないようだった。

 イレイシアは、3人を寝かせて目が覚めるのを待つことにした。

お読みいただきありがとうございます。

今回、区切る場所と文量があまり上手くいかなかったです。スミマセン。

ちなみに、図書鑑は図書館から取っていますが、読みはラテン語の図書館「librarium」の語源である木の皮「liber」+場所「ium」から取っています。ラテン語はイイぞ〜、ファンタジー御用達だしね。

よろしければ、ブックマーク、評価等々お願いします。m(_ _)m

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