1話
長らく留守にしてすみません。(まぁでも、元から読んでいる人はあまりいな…((殴)
自分なりに色々考え、小説のお勉強等していました。あらすじにも書いたとおりですが、これからはこちらの本編の方を書いていきたいと思います。
1人の旅人が、延々と続く道を歩いていた。時には森に入り、時には草原を踏みしめ、黙々と歩いていた。供は使い古した鞄に、数冊の分厚い本と最低限の荷物たちだ。身に纏うのは、少し年季の入った法衣で、頭巾のような帽子がついている。
「・・・」
旅人は、ふと立ち止まって前を見据える。その視線の遠く先には、大きな壁があり、関門があるようだ。
再び歩き出した旅人は、黙々と進み続ける。先ほどより少し速く、関門に向かって。
しばらく歩くと、門に着く。検問を受け、旅人は街に入った。旅人はまず、組合に向かう。組合とは、様々な個人や団体の活動を支援している組織で、多種の物品の販売・買取を行っている。今回旅人が向かったのは、探索や冒険を生業とする者たち向けの組合で、およそその風貌に似つかわしくないように見えた。
「滞在許可証と、宿の手配、それから買取をお願いします。」
旅人は、周りから奇異の視線を浴びながら、受付へ向かう。依頼したのは、街の滞在中に探索・冒険行動をするために、街を拠点とすることの許可証、通称滞在許可証の発行と、組合員向けの安価な宿の提供、それから持ち込んだ物品の買取だ。
「はい。承知いたしました。それでは、組合員証の提示をお願いします。」
受付は、最初は面食らっていたものの、日常で驚くことの多い職業柄か、すぐに対応した。
旅人が員証を提示すると、なぜか受付はひどく慌て、奥の部屋へ通した。少し待つよう言われ、旅人が席に座っていると、がたいがよく、貫禄のある中年男性が部屋に入ってきた。
「いやぁ、イレイシア殿久しいですな。しかし毎度困りますよ。あなたほどの方であれば、裏口から入っていただかないと。おかげで、ウチの従業員の寿命が少し減ったではありませんか。」
「すみません。お久しぶりですね、ガルトさん。」
旅人ーーイレイシアはそう言って法衣を脱ぐ。中から現れたのは、色素の薄い艶やかな亜麻色の髪に、少し淀んだ柘榴の目を持った端正な顔立ちの少女だった。
「しかし、一体なぜこんなところまで来られたのです?仕事ですかな?」
「似たようなものです。新しく発見された魔洞の話は聞いていますか?」
魔洞。魔力の存在の証左ともいわれる現象の1つで、魔力が何らかの要因により、行き場のない場所に淀み溜まった際に発生する地形。多くの魔力を内部にはらんだ鉱石や、魔物といわれる類の動植物が発生するともいわれる場所だ。
イレイシアの問いかけに、ガルトは眉を顰めて言う。
「丁度、昨日の朝に伝令が届きましたが・・・。しかし、あそこは・・・。」
何やら歯切れの悪いガルトに、イレイシアは少し眉を顰める。
「何か、ありましたか?」
「いやいや、何かというほどではございません。新しいものに人は不審を抱くというだけです。それに、大した規模でもなさそうなので、イレイシア殿が行かれるほどではないかと。」
ガルトの回答に、イレイシアは少し考え言う。
「なるほど、噂がたったのですね。それも、根拠はないけれど警戒せずにはいられないものが。」
「ははっ。流石ですな、イレイシア殿。いやぁ、そこまで言われては仕方ない。」
ガルトは、観念したというふうに首を振ると、魔洞の発見から何があったかを話し出す。
「最初は、まぁ近くを通った商人ですな。野宿に際し、護衛が周りを探っていると、おかしな気配を感じたそうです。不審に思い、歩いていくといきなり視界が開け、洞窟の入り口があらわれた。これはまずい、と思い慌てて商人とともに街まで来て、街役所と組合に報告した。ここまでが、一週前の話です。もちろん、我々は一度情報を秘匿いたしました。商人と護衛にも口止めをしてあります。しかし、街のなかである噂が立ち始めたのです。何でも、おかしなものを目にした、という話ですな。それだけなら特に放置するのですが、そのおかしなものの中に、黒いカーバンクルを見た、という話が複数あるのです。」
「黒い、カーバンクル。」
「えぇ。知っての通り、カーバンクルなんてものは御伽の中の話ですから、おかしいわけですよ。」
「それ自体は大したことはなくとも、黒、宝石、とくれば・・・というわけですね。」
イレイシアの言に、ガルトが頷く。
「なのでまぁ、イレイシア殿が行かれるというなら安心ではありますがな。一応、そのような事情があるわけです。」
イレイシアは暫く考えていたが、やがて一つ息を吐くと言う。
「少し、見てきましょうか。その後のことはまた考えます。」
「承知しました。ウチの若いのから何人か同行させましょう。」
その後も細かいことを話し、場は一旦お開きとなる。イレイシアは、用意された宿へと歩を進めた。
宿に入り、鍵をもらって部屋に入る。イレイシアはまず、法衣を衣掛けに掛け、担いでいた鞄をおろした。小物入れのついた洋帯を外し、楽な格好になったイレイシアは、ベッドに身を投げる。野宿からの開放というささやかな幸せを噛み締めながら、イレイシアはここ数月に思いを馳せる。
イレイシアは、この3ヶ月常に街の外にいた。その理由は、隊商の護衛だったり、依頼された場所の調査だったりと様々だったが、街へ立ち寄る機会はなくずっと動き続けていた。
暫く休んだイレイシアは、約束の刻限に近くなったため、再び組合へ向かう。
今度は、法衣の帽子を被っておらず、先ほどのこともあってか、周りからはより深い疑念の視線を浴びながらイレイシアは受付に向かう。
「お待ちしておりました、イレイシア様。只今、こちらの人員をお呼びいたしますので、少し中でお待ちください。」
先程と同じ部屋へ通され、座って待っていると、やがてガルトと共に3人の若者がやってきた。
「お待たせしました、イレイシア殿。こちらが、ウチから同行させる組の〈蒼の爪牙〉です。まだ若いですが、ウチで1番を張ってます。」
イレイシアの姿に驚いていた3人は、ガルトが促すと口を開く。
「失礼しました。聞いて思っていた感じと、その、違って。俺は、〈蒼の爪牙〉の長をしているトーラといいます。よろしくお願いします。」
「あたしは、ライカ。副長よ。よろしくお願いするわ。」
「レノイ。・・・あ、よろしく。」
人が変わるごとに言葉少なになっていく自己紹介に、イレイシアは少し戸惑いながら挨拶を返す。
「私は、イレイシアです。今回は、国から所属する会議に依頼が来たものを私が受けた形になります。よろしくお願いします。」
トーラは、小麦色の癖毛の少年で、見たところ年は20前後といったところ。細身ながら引き締まった体つきをしているのが見て取れる。ライカは、紫がかった髪の女性らしい体つきをした少女で、年はトーラと同じぐらいに見える。猫のような目つきで、イレイシアを観察しているようだ。レノイは、2人より幼く見える少女で、褐色の肌に緑が混ざった白髪がよく似合っている。つかみ所のない不思議な雰囲気をまとっていた。
4人が互いに紹介を終えたのを見届け、ガルトが口を開く。
「とりあえず、今日の目標は、件の魔洞の状態の確認と、可能ならば地図の作成。それでよろしいですかな?イレイシア殿。」
「はい、構いません。〈蒼の爪牙〉の皆さんの準備が整い次第、出発したいと思います。その他の詳細は道中に話しましょう。」
「ふむ。準備を整えてくるよう伝えましたから、すぐ出発できますよ。そうだな?トーラ。」
ガルトの確認に、トーラは頷く。
それを見届けると、ガルトは4人を送り出した。
お読みいただきありがとうございます。
どうでもいい話ですが、私は今絶賛風邪気味です。近頃温度変化が大きいので、皆さんもお気をつけて。
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