22話 前日
これ以前の投稿話も見直していたら、だいぶ時間がかかってしまいました。
というわけで、本日2話目です。
楽しんでいただければ幸いです。
夕食を終え、それぞれベッドに入った3人は朝を迎えた。明日は学園の入学式が午前あるため、今日が1日を自由に使える最後の日だ。シャーラの提案で、今日は買い物をしに、街へ出ることにした。のだが。
「ちょっと待って、シャーラ。私、お金がない・・・。」
「ふぇ・・・?」
イレイシアは、見事に金欠であった。両親も抜けていたのか、路銀は王都に着いて1日2日で尽きる程度しか、持たされていなかった。ミルアが、貸そうかと提案する。しかしイレイシアは、友人と金銭のやり取りをするのは、気が引けた。
「ごめん、お願い。なるべく早く返すから・・・。ほんとにごめんね。」
「ん、いつでも構わないぞ。」
気が引けたが、背に腹はかえられなかった。イレイシアは、正式なものではないが一応証書を作り、ミルアから金を借り、街へ行くことにした。
3人が最初に立ち寄ったのは、文具屋だった。学園では、安価な藁紙は無料でもらうことができるが、筆やインクは自分で買わなければならない。授業を聞いて写しを取るのは、一般的に確立されている効率的な学習方法で、イレイシアたちもそのようにするつもりだった。3人は豊富な商品を前に、相当な時間悩み込んだが、最終的には3人で同じ製造の、違う意匠の物を購入した。インクは黒色の中で、2番目に安い物を購入した。シャーラ曰く、1番安い物はあまりに質が悪いのだと言う。
必要な文具を揃えた後は、シャーラのたっての希望で薬屋に入った。独特の匂いの店内には、様々な薬や薬草が置いてあった。その匂いや光景に、シャーラはどこか、恍惚としたような表情をしていたが、ミルアは苦手なのか、顔をしかめていた。イレイシアはというと、端の方に置いてある、薬草の本に興味を惹かれ、全く2人の様子には頓着していなかった。
その後も、道中で気になった看板の店などに寄っていると、あっという間に昼時となってしまった。イレイシアたちは、手頃な店に入って席が空くのを待つ。程なくして席に案内されると、隣の席にアレロがいて、分厚い本を読んでいた。
「あれ?皆さん、お久しぶりです。えっと、シャーラさん、イレイシアさん、ミルアさんですよね。」
「はい、そうですよ。アレロさんもお昼ですか?」
「えぇ、まぁ。それはそうと、失礼な言い方かもしれませんが、皆さん合格なされていたんですね。グージアさんも見かけましたし、僕たち馬車の仲間は、みんな合格ですね。嬉しいです。」
「ふふっ、そうですね。ありがとうございます、そしておめでとうございます。」
アレロに話しかけられ、イレイシアが応える。更に2言3言会話を交わすと、アレロは読書に戻る。どうやら、アレロが読んでいるのは、教典の解釈書のようだった。
店員が注文を取りに来て、イレイシアたちは各々注文をする。料理を待っていると、アレロが再び話しかけて来た。
「そういえば、人伝に聞いたのですが、なにやら第二王子と関わられたそうですね。」
「はい。昨日図書館で・・・。」
「そうですか。これも、噂程度に過ぎないのですが、王子は相当の切れ者だそうです。今まで幾人も、自分のために動かしてきたそうです。あまり、深入りしすぎるのは、危険かもしれません。」
「そうなんですか?悪い人のようには、思いませんでしたけど・・・。」
「うーん、まぁ、噂程度ですからね。そもそもが住む世界が違うと言ってしまえば、それまでですし。」
程なくして料理が来ると、イレイシアたちは食べ始める。少しして、アレロは挨拶をして席を立っていった。
昼食を終え、特に寄りたい店もないため、寮に戻る。午後からは、昨日のようにミルアの部屋に集まり、読書をした。夕食を食べ、少し早めに床に入り、イレイシアたちの1日は終わった。
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