19話 同族
あいも変わらず風邪気味です。(どうでもe)
楽しんでいただければ幸いです。
「グージアさん、待ってください。」
「ん?あぁ、イレイシアだったな。さっきはありがとうな。拳を出す前に、頭が冷えてよかった。」
食堂を出て、少女の手を引いてどんどん進むグージアに、イレイシアは声をかける。グージアは、気付いて立ち止まり礼を言う。現役の冒険者の暴力の気配に、イレイシアは若干顔を引きつらせた。
「それであの、その子はお知り合いなんですか?」
「いや、違う。」
イレイシアは、グージアの短い応えに首をかしげる。ミルアとシャーラが追いついたため、5人で話さないかと言うと、グージアは、構わない、と頷く。少女の方に聞くと、ただこくこくと頷いてきた。
一行は、学園からさほど遠くない喫茶店に入った。各々が飲み物を注文すると、ぎこちない沈黙が訪れた。
「あ、あの・・・。もしかして、そ、そちらの方は、森の狩人では・・・?」
沈黙を破ったのは、驚いたことにシャーラだった。そして、その質問を聞いたグージアが殺気を漏らす。
「おい。お前、知っているのか?」
「ひっ!あ、あのあの、い、いえ!そんな、し、知っているってほどでは・・・!」
シャーラの怯えように対し、グージアは若干申し訳なさそうな様子を見せたが、険しい表情は保ったままだった。
その時、少し考えるようなそぶりをしていたミルアが、あ、と声を漏らす。全員がそちらに目を向けると、ミルアは、思い出した、と言った。
「森の狩人・・・。前に聞いたことがある。まさか、君達2人はそうなのか?」
イレイシアは、1人だけ全く話がわからず、助けを求めるように他の4人を見る。だが、グージアは相変わらず険しい顔で、シャーラは涙目になっており、ミルアも真剣な表情をしている。残る少女はといえば、何故かじっとグージアの方を見ている。助けがないことを察したイレイシアは、素直に尋ねて見ることにした。
「その、私だけ知らないみたいなんですが、森の狩人ってなんですか?」
「ふぅ。そうだな、ここで睨んでいても仕方ないか。いや、普通知ることはないからな。イレイシアが知らないのも無理はない。だが、そうだな、お前なら教えても大丈夫そうだ。」
イレイシアは、目をぱちくりとさせながら、ありがとう、と言う。グージアには、微妙な顔をされたが、ややあってグージアは森の狩人について教えてくれた。
「森の狩人っていうのは、昔から森に住んでた血脈のことだ。ただ住んでたんじゃない。森と繋がり、森に与え、森に与えられる、とにかく森に近い種族だったんだ。だが、この国が興される時、大規模な山狩りが行われた。そこで拐かされた先祖は、王国のあちこちで血を残している。ってまぁ、ここまでならただの先住民と変わらないよな。だが、森の狩人は特異な能力を持っている。そして、それは血とともに受け継がれるんだ。俺たちは、同じ森の同胞が分かる。そして、俺たちにとって同胞は、家族と等しい。なんとしても守らなくちゃいけねぇ。」
「俺たちってことは・・・。」
「そう、俺とこいつは森の狩人だ。」
予想外の話に、イレイシアは瞠目する。しかし、まだ分からないことがある。
「どういう関係かは分かりましたけど、そもそもなんで、あんな状況になっていたんですか?」
「あー。それはな、こいつが娼婦と貴族の間の子で、紋を刻まれてるんだ。」
イレイシアは、更に重たい話に、思わず顔をしかめる。紋とは、差別の対象を表す印で、魔力や魔術といった要素は関係ないが、基本的に消すことができない。皮膚をえぐって、塗料を塗りこむからだ。
「もともと、服で隠してはいたんだが、あのぼんぼんに突き飛ばされて、見つかって騒がれたんだとよ。というか、そろそろ自己紹介ぐらいしろ。」
グージアは端的に説明すると、まるで実の妹にやるように少女の背中を押す。
「あたし、ニエナ。」
「端的すぎるだろうが・・・。こっちがイレイシア、隣はミルア、そのさらに横がシャーラだ。」
「イレイシア、ミルア、シャーラ。覚えたよ。」
イレイシアは微笑んで、よろしく、と言う。他の2人も挨拶すると、グージアが再び話し始めた。
「それはそうと、なんで森の狩人を知ってたんだ?」
「あー、私はな、師匠に聞いたんだ。西の森で道場をしている奇特な人でね。」
「もしかして、あの・・・。それで、お前は?」
「わ、私は、お父さ、父が、昔命を助けられたって、いう風に聞き、ました・・・。」
グージアは、訝しげに眉をひそめるが、ひとまず追求はしなかった。
お読みいただきありがとうございます。
特異種族っていいですよね。いずれシャーラちゃんのお父さんの謎も解けると思います。
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