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18話 再来

本日2話目。

楽しんでいただければ幸いです。

イレイシアが図書館に入ると、ミルアに何を話していたのか聞かれる。会話の内容を掻い摘んで教えると、得心がいったようだった。


「やはり、イレイシアは面白いな。着眼点や思考が、とても面白いよ。一緒にいると楽しい。」

「そうなの?ありがとう、ミルア。私もミルアといると楽しいよ。」


そこで2人は、ふとシャーラがずっと下を向いているのに気づく。どうしたのかと聞くと、震えながら、怖かったといってきた。


(シャーラ、大きい音とか苦手みたいだし・・・それに、ジユル様が来て緊張したんだな。なんというか、保護欲がそそられる。)

(私も同意するよ。シャーラは、なんというか昔飼っていた小動物を思い出して、かわいいんだ。)


イレイシアとミルアが小声で意思疎通をすると、2人でシャーラに元気を出すよう言って、本棚の前に連れて行く。本を前にすると、シャーラも多少元気を取り戻して棚を見始めた。


20分ほどして、借りたい本を決めた3人は、司書のいる机へ向かう。イレイシアが借りようとしているのは、王都の歴史と地政学の本、ミルアが借りようとしているのは、英雄の冒険譚、そしてシャーラが借りようとしているのは、最近流行りの恋愛物語だ。3人は、発行されたばかりの、自分たちの在籍番号を伝えて手続きを済ませた。


次に、3人は学園の施設の1つである、校舎内の食堂へ向かう。食堂は、昼時以外でも空いていて、軽食や飲み物の販売もしている。3人は、各々注文をして、席で読書をするつもりだった。


「おい、てめぇ。なんて口利きやがる。ただじゃすまさねぇぞ。」

「はぁ、うるさいですね。口を閉じ、分をわきまえなさい。そして、この食堂から出て行きなさい。そこの売女の娘と一緒にね。」


イレイシアたちは、食堂から聞こえる声に、ここでもかと嘆息する。辟易としながら入ってみると、案の定、身なりのいい貴族と平民が争っていた。そこでイレイシアは、おや?と思う。争っている片方の平民は、グージアだったのだ。背後には、平民の少女をかばっている。


「どうしたらいいんだろう。ミルア、シャーラ、どう思う?」

「どうもこうも・・・。事情がわからんから、片方を責めて肩を持つわけにはいかんだろう。」

「わ、わたしも、どうしたらいいかわかんないです・・・。で、でもグージア、さんは、軽率に行動、する人ではないと、お、思います。」


イレイシアが、どうしたものかと悩んでいる間にも、争いは続く。


「あのですねぇ、まず血の貴賎が違うあなた方平民と、私が同じ空間にいるだけでも、おかしいのです。それに、そちらの物は、醜くおぞましい売女の娘ではないですか。」

「このっ!」

「っ!は、話になりませんね。獣と人は違うのですから。」


貴族の言い草に耐えかねて、グージアが声をさらに荒げる。シャーラが、ビクッと体をふるわし、イレイシアも、まずいと感じた。それほどに、グージアは本気の殺気を放っていた。


「あっ、あの!すみません、その、えぇっと・・・。食堂を利用するのに、邪魔になってますよ?」


イレイシアが、なんとかしようと、白熱している2人に話しかける。そのあまりに率直な内容に、周りにちらほらといた生徒や、奥にいた食堂の職員が軽く吹き出す。貴族は、それを侮辱と受け取ったのか、顔を真っ赤にして声を荒げる。


「なんだ貴様はっ!この私が誰だと」

「あ、知らないし興味ないです。それは、貴方ではなく貴方の親かご先祖の栄光なので。」


貴族の台詞を途中で断った、イレイシアの率直な発言に、堪えきれないといったように、ミルアや周りの人が笑い出す。イレイシアは、表には出さなかったが、図書館のところから、随分と鬱憤がたまっていたらしい。グージアは、毒気を抜かれた表情になり、かばわれていた少女は唖然としている。台詞を切られた貴族は、口をパクパクとしている。まるで餌に群がる魚のようだ、と相当失礼なことをイレイシアは考ええたが、今更である。


「はぁ。そうだな、こんなのに付き合うなんて馬鹿らしい。ほら、お前もこんな場所ズラかろうぜ?」


未だに、魚のようになっている貴族を置いて、グージアは少女に声をかけて動き出す。イレイシアも、ミルアとシャーラと目配せをして、それを追いかけた。


後には、笑い続けている人々に囲まれる魚、もとい貴族がいるという、奇妙極まりない光景が出来上がった。

お読みいただきありがとうございます。

数話ぶりに登場したグージアさん。覚えていない方もいらっしゃるかもしれませんが、青い短髪でガタイのいい、冒険者の少年です。馬車にいました。

ちなみに、どうでもいいことですが、私は肉より魚派です。

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