↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幻想古事奇譚  作者: 土師 陵生


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
30/55

朱の蜃気楼

朱(あか)の蜃気楼(しんきろう)


ニギハヤヒがヤ(・)マ(・)ト(・)に恭順(きょうじゅん)し、ツ(・)ク(・)シ(・)が治(おさ)まってから、さほども時(とき)を経(へ)ずして、半島(はんとう)からの急報(きゅうほう)がもたらされる。

「楽浪郡(らくろうぐん)も帯方郡(たいほうぐん)も、魏(ぎ)の手(て)に陥(お)ちたとのことでございます。」

報(しら)せを聞(き)くア(・)キ(・)の目にちらりと稲妻(いなづま)が奔(はし)る。

「馬韓(まはん)はどうしておる。」

「帯方郡(たいほうぐん)がまだ混乱(こんらん)しております故(ゆえ)、この機(き)に乗(じょう)じて辰韓(しんはん)に攻(せ)め入(い)っております。」

「カ(・)ヤ(・)はどうじゃ。まだ無事(ぶじ)か?」

「馬韓(まはん)は辰韓(しんはん)に執着(しゅうじゃく)しており、まだカ(・)ヤ(・)には及(およ)んでおりません。」

馬韓(まはん)が弁韓(べんはん)をおいて、まず辰韓(しんはん)を攻(せ)めるのは、辰韓(しんはん)のほうが憎(にく)き漢人(かんびと)に近い血を持っているからである。弁韓(べんはん)の民(たみ)は、ほとんどが異民族(いみんぞく)の倭人(わじん)であり、また海の向こうにその本元(ほんもと)が大きく控(ひか)えていることも知っている。その馬韓(まはん)も、南では倭人と混(ま)ざりあって暮(く)らしており、実(じつ)のところその境界(きょうかい)にも確(かく)たるものがない。


魏(ぎ)は半島をどう御(ぎょ)していくつもりか?ア(・)キ(・)の思索(しさく)を遮(さえぎ)って使者(ししゃ)が続(つづ)ける。

「帯方郡(たいほうぐん)からは、難(なん)を逃(のが)れたものたちが、すでにこちらに向かっておるようでございます。どうなさいますか?追(お)い返(かえ)しますか?」

「漢人(かんびと)ならばまずは丁重(ていちょう)にもてなせ。使(つか)えるものはヤ(・)マ(・)ト(・)へ連(つ)れて行け。使えぬものは生口(いくち)の島(しま)へでも送(おく)ってやればよい。」

「イ(・)ト(・)とム(・)ナ(・)カ(・)タ(・)に伝えまする。」

ツ(・)ク(・)シ(・)への入り口に構(かま)えるイ(・)ト(・)とム(・)ナ(・)カ(・)タ(・)。そしてイ(・)ト(・)は、かつてより倭(わ)の交易(こうえき)の窓口(まどぐち)のような役割(やくわり)を果(は)たしている。


「イ(・)ト(・)に伝えることがもう一つある。」

「帯方郡(たいほうぐん)に使者(ししゃ)を送(おく)れと、その先(さき)、行けるなら魏(ぎ)まで行けと。いや、何としても魏までたどり着(つ)け。ただし、ヤ(・)マ(・)ト(・)からの使者(つかい)としてな。それから、土産(みやげ)は生口(いくち)じゃ、奴(やつ)らの下(した)っ端(ぱ)を突(つ)き返(かえ)してやれとな。」

「御意(ぎょい)」

彼(か)の大国(たいこく)の目に、我(われ)らは一つにみえなければならない。いやいずれ、一つでなければ、あの大国を動(うご)かすことはできない。そのためのヤ(・)マ(・)ト(・)なのだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。