表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
2/38

第2話 判決 -Sentence-

 朝。

 薄汚れたブラインドの隙間から、白い光が差し込んでいた。

 狭いアパートの一室。

 テーブルの上には、食べかけの安いハンバーガーと空き缶。脱ぎ捨てられた作業着。壁際には、宅配会社のロゴが入った古いバッグが無造作に置かれている。

 ベッドでは、ジェイク・ウォーカーが毛布にくるまり、眠っていた。

 突然――激しいノック音が部屋に響く。

 ドンドンドン!!

 ジェイクは眉をしかめ、小さく唸った。

「……なんだよ……」

 再び、今度はさらに強く扉が叩かれる。

 ドンドンドンドン!!

「ジェイク!! 開けろ!!」

 眠そうに身体を起こし、頭を掻きながら時計を見る。

 午前七時十二分。

「こんな朝っぱらから誰だ……」

 重い身体を引きずりながら、ジェイクはドアへ向かった。

 ドアスコープを覗いた瞬間、眠気が吹き飛ぶ。

 数人の警察官。

 黒い制服。防弾ベスト。腰にはスタンガン。小型武装ドローンまで浮かんでいる。

 しかも全員が、こちらを見ていた。

「……なんだよ」

 再び怒鳴り声。

「ジェイク!! ドアを開けろ!!」

 ジェイクは舌打ちした。

 昔なら、迷わず窓から逃げていた。

 だが今は違う。

 もう、あの頃の自分ではない。

 ゆっくりと鍵を開け、ドアを開く。

 同時に、警察官たちが一気に部屋へなだれ込んだ。

「動くな!!」

 ジェイクは反射的に両手を上げる。

「おいおい待てよ。何かの間違いだろ?」

 先頭の中年刑事が、冷たい目で端末を確認した。

「ジェイク・ウォーカー」

 低い声が響く。

「殺人容疑で逮捕する」

 一瞬、空気が止まった。

「……は?」

 刑事は感情のない声で続ける。

「君には黙秘権がある。ここで話したことは、法廷で不利な証拠として使用される可能性がある」

 別の警官が後ろへ回り込み、ジェイクの腕を掴む。

「弁護士を依頼する権利がある。依頼できない場合は、国選弁護人が選任される」

「待て……殺人ってなんだよ……」

 ジェイクの声が低くなる。

「誰が死んだ?」

 刑事は無言のまま、端末画面をジェイクへ向けた。

 そこに映っていたのはニュース映像だった。

 女性の顔写真。

 そして大きな文字。

《EDEN開発企業CEO妻

 ソフィア・ケイン殺害事件》

 ジェイクの顔色が変わる。

「……知らねぇよ」

 刑事は答えない。

 代わりに、機械音声が静かに響いた。

『AI司法システム照合完了』

『容疑者一致率99.98%』

 その瞬間。

 ジェイクは、自分の人生が終わったことを理解した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ