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60話

 ユキ達がリザードマン達の集落の外で待っている間、駆け込んだ一人の戦士が族長の家に走っていく。


 「族長!ついに近くのエデンの民を名乗るものたちがやって来た!」


 「何!?数はどれくらいで攻めてきたのだ!?」


 「数は4人だけだ。人間1人と3人の獣人がきている。見た感じ4人の中で人間がリーダーみたいだった。今は集落の外で待たせている。奴らは平和的な会話がしたいと言ってきている。」


 「エデンは異種族が住まう土地と噂ではきいている、まずは話し合いに応じるべきだな」


 「しかし族長相手は4人、我々だけで撃退もできるぞ」


 「馬鹿者が!そんなことをしてみろ、我がリザードマンが滅ぼされてしまう。噂では、すでにオークやアラクネ、トレントなどのモンスターも傘下にしていると聞いている。そんなエデンとの争いは避けねばならん」


 「なら奴ら、本当に話し合いにきたのか?そんなにモンスターが参加にいるなら、その気になれば我らを武力で隷属させることも可能だろ?」


 「まずは相手の出方を見る必要もあるが、攻め込むつもりなら、4人だけでは来ないだろう。くれぐれも相手を刺激するな、4人だけとはいえ、それだけ腕に自信がある者たちであろう、我らもけが人は出したくない。よいな!」


 リザードマンの族長は覚悟を決めて歩き出す。滅びだけは避けねばならないと。


☆★☆


 しばらく、リザードマン達の集落のそとで待っていると少し歳をとった感じのリザードマンが戦士達の間から守られるように前に出てきた。


 「私が、リザードマンが族長のアーロンだ!何故この地のまいったのだ!エデンの民よ!」


 「僕は、エデンの王ユキヒト・カミヤだ。私たちはエデンの民はあなた方リザードマンを勧誘しにきた、出来れば平和的に話し合いがしたい!まずは我らを集落の中に入れてはくないだろうか?」


 僕がそう話すと、リザードマン達がどよめき出す。


 「ユキヒト殿、話し合いに応じよう、こちらへ。」


 リザードマンの族長アーロンはあっさりと僕たちを族長の家に通された。

 中には族長以外にも何人かの代表だろうか?リザードマン達がいた。

 アーロンが言うには、戦士長、巫女長、とその部下が数名だという。

 てか、リザードマンに巫女なんていたのか、偉いおばあちゃんぽいけど。


 「では、エデンの王、ユキヒト殿。平和的な話し合いとは?」


 「僕の事はユキでかまわないよ、アーロン殿」


 「ではそのように、ユキ殿。で、話していただけますかな?」


 「担当直入に言わせてもらえば、我らがエデンの民にならないか?」


 「それは隷属しろとおっしゃる意味か?」


 「違う違う。そのままの意味だ。ここもエデンの土地にしたいのだ。その為にも我が民になっていただければ、さらなる発展を遂げることになろう、エデンもこのリザードマンの一族も。」


 「貴様らは、ただこの土地が欲しいだけではないのか!?それにかこつけ我らを隷属するつもりであろう!?」


 戦士長は怒り心頭って感じで僕に怒鳴ってきた。


 「この土地を欲しいのは確かだが、別に無理にとは言っていないし、その気があれば、軍隊を連れてきているよ」


 「落ち着け戦士長、事を荒げるな!失礼した、エデン王よ。」


 アーロンはそう言って、巫女長とともに僕に頭をさげた。


 「巫女長はどう思う?」


 アーロンはずっと黙っていた巫女長に話を振った。


 「エデン王ユキ様、本当に我らをエデンの民として扱ってくれるのか?」


 「もちろんです、巫女長。我らエデンは他種族が一丸となって暮らす国、そこには隔たりはない。」


 「ならば、私は賛成だ、アーロン。エデンの民になる方がこちらも安全に暮らせるかもしれん」


 「巫女長までも賛成なのか?我々は以前にナーガの部族とも同盟を結んだばかりだぞ」


 戦士長が口走った、『ナーガ』たしか下半身が蛇のモンスターだ。


 「わかっておる。ユキ殿、我々は今ナーガの一族とも同盟をむすんでいる。ナーガの一族も説得しなければならない。ユキ殿も手伝ってはくれぬか?そうすれば、我々リザードマンの一族は喜んでエデンの民になろう」


 ここでナーガもいるのか。

 ナーガはなかなか誇り高い一族だ。

 インド神話に出てくるナーガは神々とも過ごしたとか釈迦の守りてでもあったと言われている。

 さて、この世界のナーガは、どんな性格なのかな?


 「ナーガと同盟というとどういった、同盟を結んでいるんですか?」


 「新たな脅威が現れた時に一緒に戦うという、簡単なものです」


 「脅威というと何か心配事でも?」


 「失礼とは思うが脅威とはあなた方エデンの事だ。他種族をまとめ上げこの大森林は全て支配下に置こうと考えている、覇道の道を歩く王が居ると言って、ナーガ一族と同盟を組んだのです。しかしユキ殿と話していると、そうは思えない。そこで一緒にナーガ族の長ラジャに会って欲しい」


 「なるほど、我々は脅威に見られていたわけですか。わかりました、我々が良き隣人であることをナーガ族にわかって、貰えるようにいたしましょう。」


 交渉が、さらに交渉を呼んだ感じだな。

 リザードマンの一族は、これで大丈夫。

 あとは、ナーガ一族を仲間に引き入れればいい。

 ナーガも大人しく話し合いに応じてくれるだろうか?

 しかし、こちらを脅威と判定しているなら、敵には回したくないはずだ。

 わざわざ、リザードマンの一族と同盟を組むぐらいなのだから。


 僕たちはナーガ一族住んでいる集落へとリザードマンのアーロンと共にやってきていた。


 ここでも門番の戦士がいたが、アーロンと話をするとすぐにナーガ族の族長ラジャのもとへと通された。


 「急な来訪、どうしたのだ、アーロン。それに後ろに居る、人間と獣人はなんだ」


 「後ろの4人はエデンの民の王ユキ殿とその護衛だ」


 「なっ!どういうことか説明してもらおうかアーロン」


 アーロンは事の経緯をラジャに説明をした。


 「それでは、我々にもエデンの傘下に入れという事か?」


 「言い方は違うが、同じ大森林にすむ者同士エデンの民になれば、色々と便宜が図れると言っているのです、ナーガ族の族長ラジャ殿」


 「便宜とはなんだ?貴様らは我らを支配下に置きたいだけではないのか!?」


 「落ち着いてくれ、ラジャ。すでに我らリザードマンとナーガだけでは対抗できぬほど、エデンの力はましている。すでに人間の国、エルフの国、魔族の国とも手を取っていると聞く。今、戦を起こしても我らは滅ぼされてお終いだ」


 別に滅ぼす気はないんだけど。

 何故にそんな脅威とされているんだ。

 エデンの民になってくれたのは、ほとんど武力行為など行っていないのに、まあアラクネとかは多少武力もあったが。

 基本的に平和主義な国なのだよ、我が国エデンは。


 「臆したかアーロン!戦いもせず、負けを認めるとは!」


 「私は族長としてリザードマンの未来を見なければならない、それはラジャとて同じであろう」


 「ならば、エデンの王よ、我と一度矛を交えて見せよ。お主が勝てば我らナーガ一族はエデンの傘下に入り忠義を尽くそうではないか!」


 なんで、戦うの!?

 僕は戦いは素人の平和主義なんだけど!?

 しかも何故に僕が戦うことになる?


 「まさかここまで来て、逃げ出すわけも行かぬだろうな?」


 「まて、ラジャ!ユキ殿はエデンの王だぞ!、怪我でもされたら大事になりかねん、やめるのだ」


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