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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
戦国転生編

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尾張の大商人からの依頼【前編】

朝。


与四吉の家で朝餉を済ませた正男は、いつものように村を見て回ろうとしていた。


「鈴木様!」


外から、聞き慣れない男の声が響いた。


正男が振り返る。


そこには、身なりの整った男が立っていた。


年は三十ほど。


商人らしい着物を着ているが、どこか緊張した様子である。


「どちら様ですか?」


「突然の訪問、失礼いたします」


男は深々と頭を下げた。


「私は尾張で商いをしております者の使いでございます」


「尾張の商人?」


正男は首をかしげた。


「はい。実は……鈴木様にお願いしたいことがございまして」


「俺に?」


「はい」


男は一度、周囲を確認してから口を開いた。


「最近、鈴木様が行っている『改善』について、商人たちの間でも噂になっております」


「噂……?」


正男は少し嫌な予感がした。


「荷車と農具の改良や鍛冶場の作業を早くしたとか……」


「まあ……そういうことはしています」


「その話を聞いた商人がおりまして」


男は正男をまっすぐ見た。


「ぜひ一度、自分の店も見てほしい、と」


「店を?」


「はい」


正男は腕を組んだ。


「俺は商売について詳しいわけじゃありませんよ」


「それでも構わないとのことです」


「なぜ?」


「鈴木様は、仕事そのものを見るのでしょう?」


男の言葉に、正男は黙った。


「商売の経験がなくとも、仕事の流れを見て、無駄を探していただけるなら、それで十分だと」


なるほど。


正男は少し考えた。


確かに、自分がやっていることは商売の知識を教えることではない。


現場を見て、どこに時間がかかっているのか。


どこで人が動き、どこで物が止まっているのか。


そこを探しているだけだ。


「その商家は、どれくらいの規模なんです?」


「尾張でも名の知れた商家でございます」


「かなり大きいんですね」


「はい」


男は苦笑した。


「ですから、私どもだけでは、どこから手を付ければいいのか分からないのです」


「……分かりました」


正男は頷いた。


「一度、見せてもらいましょう」


「ありがとうございます!」


男は嬉しそうに頭を下げた。


「それでは、明日の朝にお迎えに上がります」


「分かりました」


男が帰っていく。


その背中を見送りながら、正男は呟いた。


「商家の改善か……」


物を作るのではなく、物を売る。


人の動きも違えば、仕事の流れも違う。


だが――


「無駄を探すって意味では、同じか」


翌朝。


約束通り、昨日の男が迎えに来た。


正男は一緒に、その商家へ向かうことにした。


しばらく歩くと、目の前に大きな屋敷が見えてきた。


門は広く、出入りする人も多い。


荷車も何台か並んでいる。


「ここです」


使いの男が言った。


正男は門の前で立ち止まった。


「大きいな……」


中へ入ると、さらに驚いた。


広い店先。


積み上げられた商品。


帳簿を片手に動き回る奉公人。


荷物を運ぶ者。


客の応対をする者。


様々な人間が、それぞれの仕事をしている。


だが――


正男は、すぐには口を出さなかった。


まずは見る。


人の動きを、商品の動きを、そして仕事の流れを。


それが改善の第一歩だと、正男は知っていた。


「お待ちしておりました」


奥から、一人の男と娘と思われる女が現れた。


男の年齢は四十代。


少しふくよかな体つきで、柔らかな笑顔を浮かべている。


しかし、その目は鋭い。


人の話を聞き、相手を観察することに慣れている目だった。


女の方は商家の娘らしく、身だしなみはきちんとしている。


長く艶のある黒髪を後ろでまとめ、整った顔立ちに、少し大きめの瞳。


細身で小柄ながら姿勢がよく、派手な美しさというより、清楚で可愛らしく、自然と人の目を引く少女だった。


「初めまして、わたくし伊藤惣十郎と申します」


男が頭を下げる。


「こちらは娘の桜です」


桜は深く礼をした。


「本日は、わたくし共のお願いを聞いていただき、ありがとうございます」


「鈴木正男です。わたしで良ければお手伝いいたします」


「鈴木殿」


「はい」


「桜に店を案内させますので、好きなように見てください」


「分かりました」


「では、こちらでございます」


桜が先に歩き、正男は店の中を歩き始めた。


商品が並んでいる。


だが、種類が多い。


布、調味料、道具、日用品。


遠方から仕入れた品もある。


正男は、一つ一つを確認する。


そして気づいた。


奉公人が商品を取りに行くたびに――


「えっと……どこだったかな」


「確か、あちらだったはず」


「いや、違う。奥じゃないか?」


そんな声が聞こえてくる。


一人だけではない。


何人も同じように商品を探している。


正男は足を止めた。


そして、商品を探している奉公人をしばらく観察した。


桜も足を止め、正男を見守っている。


商品を探し、見つけて、戻ってくる。


また別の商品を取りに行く。


その繰り返し。


【改善対象を確認しました】


━━━━━━━━━━━━━━━━


【改善対象:商家の商品管理】


問題点:


・商品の置き場所が決まっていない

・商品を探す時間が長い

・奉公人によって商品の場所の認識が違う

・商品の移動距離が長い


改善難易度:中


改善による効果:


・商品を探す時間の短縮

・商品の取り出し時間の短縮

・作業効率の向上

・作業負担の軽減

・商品の管理がしやすくなる


━━━━━━━━━━━━━━━━


「……なるほど」


正男が呟いた。


「何か分かりましたか?」


桜が尋ねる。


「ああ」


正男は店の奥を見た。


「ここで一番大きな無駄は……」


少し間を置いて。


正男は言った。


「商品を探している時間だ」


桜が目を見開く。


「探している時間……」


「そう」


正男は頷いた。


「商品そのものを売る時間より、その前の『探す時間』にかなり取られている」


五兵衛も周囲を見回した。


「確かに……さっきから皆、何か探してますね」


「ああ」


正男は腕を組んだ。


「まずは、ここからだな」


そして正男は、店の中をもう一度見渡した。


「桜さん」


「はい?」


「帳簿を見せてもらえるか?」


「帳簿ですか?」


「そうです」


正男は商品の並びを見ながら言った。


「どの商品が、どれくらい売れているのか知りたい」


桜は頷いた。


「分かりました」


「商品の置き場所を変えるなら、売れる順番も考えた方がいい」


桜は静かに笑った。


「なるほど」


正男は店の奥へ視線を向けた。


「さて……どこに何を置くか」


その答えを探すために、正男たちは帳簿を確認することになった。



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