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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
織田家共同事業編

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白猫の日常【前編】

わしの名は、しろ。白い毛並みに青みがかった瞳。人間どもから見れば、どこからどう見ても愛らしい猫である。まあ、わし自身は愛らしさなど気にしておらぬがな。


わしの朝は、日の光とともに始まる。障子の隙間から差し込む光が、縁側をゆっくりと照らしておった。わしは前足を伸ばし、背中を丸めて大きく伸びをする。


ふむ。今日も実に良い朝じゃ。


かつてのわしは、山を支配する恐ろしい化け猫として、人間どもに恐れられておった。じゃが、人間と一緒に暮らしていたこともあった。こうして、また屋敷でのんびり暮らすのも悪くない。食事は出てくる。寝床もある。面倒なことがあれば、知らぬふりをして寝ていればよい。まことに快適な生活じゃ。


「しろちゃん、おはよう!」


そこへ、お梅がやって来た。手には、わしの朝餉が入った器を持っておる。


ほう。ようやく来たか。もちろん、声には出さん。今のわしは、ただの猫じゃからな。


「今日はお魚があるよ。たくさん食べてね」


お梅は器をわしの前に置いた。


ふむ。魚か。なかなか気が利くではないか。


わしは何食わぬ顔で器に近づき、魚を口に運んだ。うむ。悪くない。いや、なかなかの美味じゃ。


「おいしい?」


お梅が、わしの顔を覗き込む。わしは返事の代わりに、黙々と魚を食べ続けた。


猫が食事中に話すわけがなかろう。もっとも、わしは普通の猫ではないのじゃがな。


食事を終えると、わしは顔を洗い、前足で耳の後ろを掻いた。さて、今日は何をして過ごそうか。わしは縁側から庭へと降り、屋敷の周囲を歩き始めた。木々の葉が風に揺れ、鳥の声が聞こえる。実に平和な朝じゃ。


……少々、退屈ではあるがな。


そのとき、庭の向こうに黒い巨体が見えた。くろである。なつきが乗る、あの巨大な牛じゃ。くろは庭の隅で、のんびりと草を食んでおった。わしは足音を立てぬよう近づき、後ろからその様子を眺める。


ふむ。相変わらず、でかいのう。


普通の牛なら、わしの姿を見ただけで逃げ出すところじゃが、こやつは違う。わしが近づいても、まるで動じぬ。


『……何をしておる、小さな猫よ』


突然、頭の中に声が響いた。くろの声じゃ。もちろん、普通の人間には聞こえぬ。何故か、なつきは聞こえるようじゃが。


『散歩じゃ。何か文句でもあるのか?』


『好きにしろ。だが、わしの尻尾に近づくな』


わしはニヤリと笑った。


『ほう。尻尾に触られるのが怖いのか?』


『怖くなどない』


くろの尻尾が、ぴくりと動いた。


ふふん。図星を突かれて、動揺しておるわ。


わしは、くろの周囲をゆっくりと回り込む。そして、尻尾の先をじっと見つめた。


『……おい』


『なんじゃ?』


『妙なことを考えているだろう』


『さて、何のことやら』


わしは澄ました顔で座り込み、尻尾の動きを眺め続けた。くろは不機嫌そうに鼻を鳴らす。


『まったく、なつきにも困ったものだ。面倒な猫を連れてきおって』


『面倒な猫ではない! わしは――』


そこまで言いかけて、わしは口をつぐんだ。この姿で大層な名乗りを上げても、説得力はあるまい。わしは何事もなかったかのように立ち上がり、くろのそばを離れた。


ふむ。からかうには、なかなか面白い相手じゃな。


屋敷の中へ戻ると、正男たちが庭先に集まっておった。正男、なつき、五兵衛、そして桜。四人は、地面に広げた紙を囲んで何やら話し合っている。わしは興味がないふりをして、少し離れた縁側に腰を下ろした。


人間どもが何をしていようと、わしには関係ない。


……ただ、少しばかり気になるだけじゃ。


「この蔵を改造して、戦用の荷車を作ろうと思っている」


正男が紙を指さしながら話しておった。


「荷車ですか?」


桜が首を傾げる。


「ああ。今使われている荷車は、車輪が二つのものが多い。これを四輪にすれば、荷物を安定して運べるようになるはずだ」


「四輪にするのか。確かに、荷物をたくさん積めそうだな」


五兵衛が感心したように言った。


「ただ、車輪を増やすだけでは駄目だ。曲がりやすさや、車軸の強度も考えないとな」


正男は紙に線を引きながら説明を続ける。なつきも、その紙を覗き込んでいた。


「車輪が四つもあったら、曲がるときに引っかかったりしないのか?」


「そこが問題なんだ。前輪の向きを変えられる仕組みが必要になるかもしれない」


「なるほど。力任せに引っ張ればいいというわけじゃないんだな」


なつきが腕を組んだ。


ふむ。どうやら、荷物を運ぶための道具を考えておるらしい。人間というものは、妙なことを考えるものじゃな。わざわざ車輪を増やすとは。じゃが、正男の話には一理ある。荷物を多く積めて、安定して運べるなら、戦場でも役に立つじゃろう。


わしは興味などないという顔で、前足を舐めた。


……少しだけ、続きを聞いてやるか。


「車輪や車軸が壊れたとき、現地で修理できるようにしておきたいですね」


桜が意見を述べる。


「そうだな。部品を交換しやすい構造にできれば、修理にかかる時間も短くできる」


正男が頷いた。


「それなら、車輪の大きさや取り付け方を、できるだけ統一したほうがよさそうですね」


五兵衛も話に加わる。四人は、ああでもない、こうでもないと意見を出し合っていた。


わしは、その様子を眺めながら、ゆっくりと尻尾を振った。


別に、話が気になるわけではない。ただ、風が心地よいだけじゃ。


そう、心地よいだけじゃからな。


しばらくすると、正男たちは紙に何かを書き足しながら、話を続けていた。わしは小さく欠伸をした。人間の話し合いというものは、長い。もっとも、山で暮らしていた頃も、人間どもは何かにつけて長々と話しておったがな。


わしは縁側から降り、屋敷の中へと向かった。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

今後タイトルに「白猫の日常」と付いていたら、それはしろの視点で書かれてあるものです。猫の視点から見たら面白いかなと思い執筆しました。


もし「面白かった」「続きが気になる」と思っていただけましたら、下部にある【☆☆☆☆☆】の評価やリアクション、ブックマークで応援していただけると嬉しいです。


皆さんからの応援が、執筆の大きな励みになります。


本日は夕方5時も更新予定です。明日からは朝6時になります。

これからもよろしくお願いいたします。

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