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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
織田家共同事業編

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白猫の日常【後編】

わしは縁側から降り、屋敷の中へと向かった。


すると、奥のほうから人の声が聞こえてきた。


「梅、こっちの荷物は片づけるから掃除をお願い」


「はーい。こっちを掃除するね」


お梅とお花が仕事をしておった。二人は忙しそうに動き回り、道具を片づけたり、床を掃いたりしている。お梅が荷物を運べば、お花がその場所を掃除する。お花が片づけを終えると、今度はお梅が別の仕事に取りかかる。互いに声を掛け合いながら、手際よく作業を進めておった。


「これで、こっちは終わりかな」


お花が額の汗を拭う。


「うん。次はあっちの方だね」


お梅も笑顔で答えた。


ふむ。人間というものは、朝からよく働くものじゃな。わしなら、こんなに動き回るくらいなら、日向で寝ておる。いや、そもそも働く必要などない。わしは立派な化け猫なのじゃからな。


……今は白猫の姿じゃが。


わしは二人の邪魔にならぬよう、少し離れた場所に座り、仕事ぶりを眺めておった。


やがて、二人の作業がひと段落した。


「ふう。終わったあ」


お梅が腰を伸ばす。


「お疲れさま」


二人は笑い合い、それぞれ道具を片づけ始めた。わしは、その様子を見届けてから、ゆっくりとお梅のそばへ歩いていった。


別に、用があるわけではない。ただ、少しばかり退屈になっただけじゃ。


「ん? しろちゃん、どうしたの?」


お梅がわしに気づき、しゃがみ込んだ。わしは何も答えず、その場に座る。


「もしかして、遊びたいの?」


『馬鹿を言うでない』


もちろん、心の中で答えただけじゃ。


わしは由緒正しき化け猫である。人間に遊んでもらいたいなどと思うはずがなかろう。


……ただ、少しばかり暇を持て余しておるだけじゃ。


そのとき、お梅がわしの尻尾を見た。


「ふふっ。しろちゃん、尻尾が動いてるよ」


なにっ。わしは慌てて尻尾を止めた。


いかん。体というものは、どうにも正直で困る。


「ちょっと待っててね」


お梅はそう言うと、奥から猫じゃらしを持ってきた。そして、わしの目の前で、ふわふわと揺らし始めた。


「ほら、しろちゃん。こっちだよ」


ふむ。何をしておるのだ、この娘は。


わしはそっぽを向いた。


「ほらほら」


猫じゃらしが、わしの視界の端を横切る。


……ふむ。なかなか、よく動くではないか。


右へ揺れ、左へ揺れ、時には目の前で止まる。わしの尻尾が、ゆらりと動いた。


「しろちゃん、気になるんでしょ?」


気になどしておらぬ。わしはただ、動くものを観察しておるだけじゃ。


そう考えている間にも、猫じゃらしが目の前を通り過ぎた。わしの前足が、ぴくりと動く。


「ほら、取れるかな?」


お梅が猫じゃらしを少し遠ざけた。


……ええい。そこまで誘うのなら、少しくらい相手をしてやろう。


わしは前足を伸ばした。


ぱしっ。


猫じゃらしを捕まえた。


「わあ! しろちゃん、捕まえたね!」


お梅が嬉しそうに笑った。わしは猫じゃらしを押さえたまま、澄ました顔をした。


当然じゃ。この程度のもの、わしにかかれば造作もない。


「もう一回やろうね!」


お梅が猫じゃらしを動かす。わしは、再び前足を伸ばした。


ぱしっ。


今度も捕まえた。


「ふふっ。しろちゃん、楽しそうだね」


楽しんでなどおらぬ。断じて、楽しんでなどおらぬぞ。ただ、目の前で動くものを捕らえるのは、猫として当然の行動なのじゃ。


……猫として、な。


わしは心の中で言い訳をしながら、猫じゃらしを追いかけ続けた。


しばらくして、お梅が猫じゃらしを片づけた。


「しろちゃん、いっぱい遊んだね。そろそろ休もうか」


ふむ。まあ、よかろう。


わしは何事もなかったかのように毛づくろいを始めた。お梅はそんなわしを見て、くすくすと笑っておった。


まったく。人間というものは、すぐに笑う。わしの威厳というものを、もう少し理解してほしいものじゃ。


わしは縁側へ戻ると、日当たりのよい場所を探した。そこには、暖かな日差しが降り注いでおる。


よし。ここで昼寝をすることにしよう。


わしは体を丸め、前足を胸の下にしまい込んだ。目を閉じると、風の音が聞こえてくる。


庭の向こうでは、正男たちがまだ荷車の話を続けているようじゃった。


「車軸の強度は、実際に試してみないと分からないな」


「まずは試作品を作って、重い荷物を積んでみよう」


正男の声が、かすかに聞こえてくる。


人間どもは、まことに忙しい。あれこれ考え、手を動かし、失敗すればまたやり直す。わしには、そこまでして何かを作ろうとする気持ちは、よく分からぬ。


じゃが……正男という男は、少々面白い。


人間の身でありながら、いつも先のことを考えておる。あの男が作る荷車とやらも、うまくいけば役に立つのかもしれぬ。


まあ、わしには関係のないことじゃがな。


わしは片目だけを開け、庭の様子を眺めた。なつきが、こちらに気づいて手を振っておる。


「しろー! そこで寝てるのか?」


わしは返事をせず、再び目を閉じた。


まったく! せっかく気持ちよく眠ろうとしておるのに、騒がしい小娘じゃ。


すると、頭の中に声が響いた。


『なつき。しろは寝ているのだ。邪魔をするな』


くろの声じゃった。


『くろ、お前が答えるでないわ!』


わしは心の中で言い返した。


『わしは事実を伝えただけだ』


『それを余計なお世話と言うのじゃ!』


なつきが不思議そうに首を傾げている。どうやら、わしとくろのやり取りには気づいておらぬらしい。


わしは満足して、再び丸くなった。


日差しは暖かく、風は穏やか。腹も満たされておる。


人間どもは働き、牛は草を食み、猫は昼寝をする。これぞ、理想の暮らしというものじゃ。


わしは尻尾を一度だけ揺らし、静かに眠りへ落ちていった。


……明日も、魚が出るとよいのう。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

猫のしろの視点からの話は、いかがだったでしょうか?楽しんでいただけたら幸いです。今後も、間に入れていく予定です。


もし面白い、続きが気になる!と思っていただけましたら、下部にある【☆☆☆☆☆】の評価やリアクション、ブックマークで応援していただけると非常に励みになります。


明日から朝6時の更新予定です。よろしくお願いいたします。

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