論功行賞
城主の坂井主膳を捕らえた俺たちは、城内の制圧を進めていた。抵抗を続けていた敵兵も、城主が捕らえられたと知ると、次々に武器を捨てていった。これで、隠し山城の制圧はほぼ完了だ。だが、この城に兵士や武器、兵糧が集められていた理由を突き止めなければならない。
「五兵衛、城内に残っている部屋を調べよう。特に、書類や物資を保管している場所を探したい」
「承知しました。藤吉郎殿にも協力をお願いしましょう」
「ああ。なつきにも手伝ってもらおう」
俺たちは、城内の捜索を始めた。
「正男、よくやったな。城主を捕らえるとは大したものだ」
声をかけてきたのは、柴田勝家だった。
「ありがとうございます、柴田殿。皆の協力があったからこそです」
勝家は、俺の後ろにいる藤吉郎や五兵衛たちへ視線を向けた。
「仲間と力を合わせて戦ったというわけか」
「はい。俺一人では、ここまでの成果は得られませんでした」
勝家は満足そうにうなずいた。
「その働き、信長様もお認めになるだろう。あとは、城内に残されたものをよく調べることだな」
「承知しました」
勝家はそう言い残し、ほかの兵たちへの指示に戻っていった。俺は、改めて城内の捜索に取りかかった。
「正男様、こちらに書類がありました」
五兵衛の声がした。俺が向かったのは、城の奥にある一室だった。部屋の中には木箱や棚が並び、何冊もの帳面が保管されていた。
「これは、兵糧の調達記録でしょうか」
五兵衛が帳面を開く。そこには、米や味噌、塩などの数量と、運び込まれた日付が記されていた。
「そうだな。しかも、かなりの量だ」
俺は別の帳面を手に取った。こちらには、刀や槍、弓などの数量に加え、搬入日と搬出予定日まで記録されていた。
「これだけの武器を、いったい何に使うつもりだったんだ……」
単に山城を守るだけなら、これほど大量の武器や兵糧を集める必要はない。俺は帳面をめくりながら、記録を確認していった。すると、ある記述が目に留まった。
「……清洲城?」
帳面には、武器の一部を清洲城へ運ぶ予定だと記されていた。清洲城は、織田信友の拠点だ。もちろん、武器を運ぶという記録だけで、信友の関与を断定することはできない。だが、この隠し山城に兵士や武器、兵糧を集めていたことと合わせれば、見過ごせない手がかりだった。
「五兵衛、これを見てくれ」
「清洲城へ武器を運ぶ予定……。これは重要な記録ですね」
「ああ。ほかにも関係する資料があるかもしれない。引き続き調べよう」
俺たちは、帳面を一冊ずつ確認していった。
「正男、こっちにも何かあるぞ!」
藤吉郎の声が聞こえた。彼が見つけたのは、木箱の底にあった書状の束だった。中には、破れているものや、文字がかすれているものもある。俺は慎重に書状を広げた。
「これは……武器の搬入について書かれているようだ」
断片的な文章だったが、荷物の数量や運搬の日程に加え、届け先を示す記述も残っていた。その中に、清洲城へ物資を運ぶよう指示したと思われる一文があった。
「やはり、清洲城とつながっているのか……」
「正男様、これで織田信友が関わっていると分かったのでしょうか?」
五兵衛が尋ねた。
「まだ断定はできない。書状を書いた者や、指示を出した人物がはっきりしないからな」
俺は書状を丁寧にたたんだ。
「だが、兵糧の調達記録、武器の搬入記録、それにこの書状。どれも重要な手がかりだ。全部まとめて信長様に報告しよう」
「分かりました」
前世の仕事でも、問題の原因を調べるときには、記録や事実を確認することが大切だった。この時代でも、その基本は変わらない。資料をまとめた俺たちは、捕らえた坂井主膳のもとへ向かった。
「坂井主膳殿。この城に、これだけの兵糧や武器を集めていた理由を聞かせてもらいたい」
坂井は、俺をにらみつけた。
「何度聞かれても答えるつもりはない」
「帳面には、武器を清洲城へ運ぶ予定だったと記されています。こちらの書状にも、それを裏付ける記述がある」
俺が説明しても、坂井は顔色一つ変えなかった。
「それが何だ。武器を運ぶことの、何が悪い」
「この城に兵士まで集めていた理由は?」
「答える必要はない」
坂井は、それ以上何も話そうとしなかった。無理に問い詰めても、今すぐ答えが得られるとは思えない。発見した資料には、まだ不明な点が残っている。
「分かりました。あなたの言い分も含めて、信長様に報告します」
俺はそう告げて、坂井のいる部屋を後にした。
◇
隠し山城での任務を終えた俺たちは、発見した資料を携えて信長のもとへ戻った。信長は、俺たちの報告を静かに聞いていた。
「城主の坂井主膳を捕らえ、兵糧や武器の記録も見つけたということか」
「はっ。こちらが兵糧の調達記録、武器の搬入記録、そして城内で見つけた書状です」
俺は、資料を順番に差し出した。信長は帳面を開き、記録を確かめていく。やがて、清洲城へ武器を運ぶ予定が記された箇所で、手を止めた。
「清洲へ運ぶ予定だったか……」
信長の表情が険しくなる。
「信友め。何を企んでおる」
低い声が部屋に響いた。
「正男。兵糧や武器を集めた目的までは分かっておらぬのだな?」
「はっ。坂井主膳にも尋ねましたが、何も話そうとはしませんでした」
信長は資料をまとめ、家臣たちに命じた。
「この記録を詳しく調べよ。清洲へ武器を運ぶ予定があった以上、今後の動きには注意が必要だ」
「はっ!」
家臣たちが返事をする。発見した資料は、織田信友の関与を疑う重要な手がかりになった。だが、ここから先は信長たちの判断と行動にかかっている。俺にできるのは、事実を正確に伝え、与えられた役目を果たすことだ。
◇
それから数日後。俺は、信長から呼び出しを受けた。指定された場所は、那古野城の大広間だった。広間に足を踏み入れると、そこには織田家の重臣たちがずらりと居並んでいた。柴田勝家、丹羽長秀をはじめ、名のある武将たちが左右に分かれて座っている。広間の奥には、信長が上座に腰を下ろしていた。その鋭い眼光が、広間に集まった者たちを見据えている。誰もが口を閉ざし、張り詰めた空気が広間を満たしていた。衣擦れの音さえ響きそうな静寂の中、俺は背筋を伸ばして前へ進み出た。そして、信長の前で膝をつく。
「鈴木正男、参りました」
俺が頭を下げると、信長が口を開いた。
「正男。此度の働き、見事であった」
「ありがたきお言葉にございます」
「隠し山城を見つけたことに始まり、攻略戦では敵を退け、城主の坂井主膳を捕らえた。さらに、信友の動きを探る手がかりとなる資料まで持ち帰った。その功績は大きい」
信長は、俺をまっすぐに見た。
「よって、褒美を与える」
俺は息をのんだ。戦国時代で生きていく以上、功績を立てることは重要だ。だが、こうして信長本人から評価されるとなると、やはり緊張する。
「鈴木正男。これまでの働きを認め、石高を加増する。加えて、新たな領地を与える」
「ははっ! ありがたき幸せにございます!」
俺は深く頭を下げた。前世では、工場で働く一人の会社員にすぎなかった。それが今では、織田家の家臣として領地を与えられる立場になったのだ。人生は、本当に何が起こるか分からない。
「正男」
信長が、もう一度俺を呼んだ。
「これからも、その知恵と働きを存分に生かせ。期待しておるぞ」
「はっ! 必ずや、ご期待に応えてみせます!」
翌朝、俺と五兵衛は与えられた領地を見に行った。そこには、畑や民家が点在し、周囲には山林も広がっていた。まだ何もない土地だ。だが、俺にはここでやりたいことがあった。
「ここに、工房を建てるか……」
前世で培った製造業の知識を生かし、道具や武具を作る。それが実現すれば、織田家の力になるだけでなく、俺自身の出世にもつながるはずだ。工房を建てるには、人手も材料も必要になる。土地を整え、道具をそろえ、働いてくれる者たちを集めなければならない。簡単な道のりではない。俺は新たな領地を見渡した。
「よし。ここから始めよう」
「秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる!」
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【鈴木 正男】
年齢:18歳
身分:織田家家臣
石高:50→300石
統率:74
武勇:38
知略:85
政治:87
【兵科適性】
足軽:B
騎馬:D
弓:C
鉄砲:A
水軍:D
【スキル】
危険予知:Lv.5
危険回避:Lv.2
5S:Lv.5
改善思考:Lv.5
標準化:Lv.5
品質管理:Lv.5
工程改善:Lv.5
生産性向上:Lv.5
安全意識:Lv.5
戦術思考:Lv.2
立身出世
【経験】
危険回避:60
戦術思考:20
【実績】
現場改善:7回達成
【現在の改善対象】
なし
【改善状況】
なし
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