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戦国ゲームで18歳の武将を作成したら、戦国時代に転移していた~秀吉の立身出世スキルと製造業スキルで成り上がる~  作者: にゃがまさ
織田家仕官編

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初陣

天文二十三年(一五五四年)三月四日、早朝。


まだ朝霧が残る中、俺たちは出陣の準備を進めていた。今日、俺は織田家の家臣として、初めての本格的な戦に臨む。


俺は自分の装備を確認した。腰には道具を入れた袋を下げ、手には鉄輪で補強したこん棒を持つ。刀は持っていない。俺にとって、このこん棒は自分の身を守るための大切な武器だ。


「正男、準備できた?」


声をかけてきたのは、なつきだった。両手で扱う金槌を背負い、いつでも出発できる格好をしている。その傍らには、鎧を身につけた黒い巨牛、くろがいた。


「こっちは大丈夫だ。なつきは大丈夫なのか?」


「あたしは平気。金槌もあるし、くろも準備できてるよ」


なつきが胸を張る。くろは、低く鳴いた。


「そうか。頼りにしているぞ」


俺がそう言うと、くろは満足そうに鼻を鳴らした。その様子を見て、なつきが笑う。


「くろは、正男に頼りにされてうれしいんだよ」


「そうなのか?」


「そうだよ。くろは、あたしのことだけじゃなくて、正男のことも気に入ってるからね」


くろの気持ちは分からないが、少なくとも敵意は感じない。むしろ、これからの戦いでは心強い味方になってくれるはずだ。


「僕も準備できました」


五兵衛がやってきた。


「おお、似合っているじゃないか」


俺が声をかけると、五兵衛は少し照れたように笑った。


「ありがとうございます。これなら、以前より安心して戦えそうです」


「ただし、鎧があるからといって油断するなよ。攻撃を受けないことが一番大事だ」


「分かっています。無理はしません」


五兵衛は真剣な表情でうなずいた。その言葉を聞いて、俺も安心した。


戦場では、どれほど優れた装備を用意しても、命の安全が保証されるわけではない。だからこそ、装備を過信せず、周囲をよく見て行動する必要がある。


そして、もう一頭。熊蔵も、新しい鎧を身につけていた。熊蔵は体を動かし、鎧の具合を確かめるように地面を踏みしめた。


「よし。動きに問題はなさそうだな」


俺が確認すると、熊蔵は低くうなった。これで、くろも熊蔵も、以前より安全に戦場を進めるはずだ。


もっとも、熊を連れて戦に向かうなど、普通なら考えられない話だ。だが、この世界では常識にとらわれていては生き残れない。使えるものは活用し、危険を減らすために工夫する。それが、俺のやり方だった。


「正男殿」


声の方を振り向くと、木下藤吉郎が立っていた。


「藤吉郎殿。おはようございます」


「これからは、わしのことは藤吉郎と呼んでくだされ」


「では、わたしのことは正男と呼んでください」


「おお、そうしてくださるか。では、これからは正男殿ではなく、正男と呼ばせてもらいますぞ」


藤吉郎は、親しげな笑みを浮かべた。


「いよいよ出陣じゃな」


だが、その目には戦に臨む者の真剣さが宿っている。


「準備は整ったのか?」


「おう。いつでも出発できる」


「よし。では、集合場所へ向かおう。殿から作戦の説明があるはずじゃ」


俺たちは、藤吉郎に続いて歩き出した。いよいよ、後戻りのできない戦が始まろうとしていた。


集合場所には、すでに多くの兵が集まっていた。槍を持つ足軽たちが列を整え、武将たちはそれぞれの部隊の状況を確認している。柴田勝家や丹羽長秀の姿もあった。


俺たちが到着すると、藤吉郎は背伸びをして周囲を見回した。


「まだ殿はお見えになっておらぬようじゃな」


「そのようだな」


俺は集まった兵たちを眺めた。


これから向かうのは、山中に築かれた隠し城だ。敵がどれほどの兵力を持っているのか、城の中にどのような備えがあるのか、分からないことは多い。正面から攻めるだけでは、大きな損害が出る可能性がある。だからこそ、今回の作戦では正面攻撃と奇襲を組み合わせることになった。


やがて、織田信長が姿を現した。周囲の兵たちが一斉に頭を下げる。信長は集まった者たちを見渡すと、静かに口を開いた。


「これより、隠し城の攻略を開始する」


その声が、周囲に響き渡った。


「権六は正面から敵を引きつけよ。五郎左は本隊の支援と、戦況の把握に努めよ」


「「はっ!」」


勝家と長秀が返事をする。


信長は続けた。


「猿は別働隊を率い、岩壁の隠し通路から城へ接近せよ。権六の部隊が正面から敵を引きつけている隙に、奇襲を仕掛けるのだ」


「はっ。必ずや、役目を果たしてみせまする」


藤吉郎は力強く答えた。


信長の視線が、こちらへ向けられる。


「正男」


「はっ!」


俺は一歩前に出た。


「お前は猿の別働隊を案内せよ」


「承知いたしました」


ついに来た。俺が任されたのは、奇襲部隊を目的地まで導く役目だ。敵に見つかれば、奇襲そのものが失敗する可能性もある。責任は重い。だが、ここで尻込みするわけにはいかなかった。


信長は俺を見据えた。


「功を焦るな。無理に進めば、味方を危険にさらすことになる」


「心得ております」


俺は深く頭を下げた。


戦場では、勇気だけでは足りない。敵の動きを読み、味方の状況を把握し、危険を避けながら目的を果たす。製造業の現場で身につけた考え方も、戦場で役立つ場面があるはずだ。


ただし、戦場は工場とは違う。一度の判断ミスが、人の命を奪うこともある。そのことを忘れてはならない。


信長は全員を見渡した。


「各々、己の役目を果たせ。出陣!」


「おおっ!」


兵たちの声が響いた。部隊が動き始める。槍を持つ足軽たちが列を整え、武将たちはそれぞれの持ち場へ向かった。


俺たちも、藤吉郎の別働隊に加わる。なつきは金槌を背負い、くろの背に乗った。五兵衛は刀の位置を確かめ、熊蔵も俺たちの後ろについてくる。


装備は整った。仲間もいる。あとは、与えられた役目を果たすだけだ。


「正男、頼りにしておるぞ」


藤吉郎が声をかけてきた。


「おう。任せろ」


「うむ。じゃが、危険を感じたら無理はするな。道を知っているお主を失うわけにはいかぬからな」


「ああ、分かってる」


俺は前方を見つめた。これから進む道の先には、敵が待ち構えている。どんな危険が潜んでいるのか、今はまだ分からない。だが、立ち止まっているわけにはいかなかった。


俺たちは、隠し城へ続く道へと歩き出した。


「よし、行こう」


俺はこん棒を握り直した。


いよいよ、隠し城攻略作戦が始まる。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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明日の朝6時も更新予定です。

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