軍議【後編】
「静まれ!」
低く、鋭い声が広間に響いた。一瞬で、全員が黙った。
広間の入口に、信長が立っていた。信長は広間に入ると、上座に腰を下ろした。その場にいた家臣たちは、一斉に頭を下げた。
信長は広間を見渡し、柴田勝家と丹羽長秀に目を向けた。
「権六(柴田勝家)、五郎左(丹羽長秀)。先ほどから議論していたようだな」
「はっ。山中に見つかった城への対処について、意見が分かれておりました」
勝家が答えた。信長は頷き、二人を見比べた。
「権六。お前はどう考えている?」
「敵が動き出す前に、こちらから攻めるべきと考えます。武器を大量に保管し、製造している施設がある以上、放置するわけにはまいりません。兵を集め、一気に攻め落とすべきです」
勝家は力強く言い切った。信長は続いて、長秀へ視線を向けた。
「五郎左。お前の考えは?」
「敵の数も、城の構造も分かっておりません。山中という地形を考えれば、正面から攻めるのは危険です。まずは周囲の道を調べ、敵の数や逃げ道を確認するべきと考えます」
長秀は落ち着いた口調で答えた。
信長は腕を組み、しばらく考え込んだ。
「なるほど。権六は先手を取るべきだと考え、五郎左は情報を集めてから動くべきだと考えているのだな」
「はっ」
二人が同時に返事をした。信長は二人を見渡してから、静かに口を開いた。
「ほかの者は?」
広間に集まった家臣たちが、次々と意見を述べ始めた。
「正男」
「はい!」
突然名前を呼ばれ、俺は背筋を伸ばした。
「どう思う?」
「俺……ですか?」
広間にいる全員の視線が俺に集まる。柴田勝家、丹羽長秀、そして、ほかの織田家の家臣たち。もちろん、木下藤吉郎もこちらを見ている。
まさか、俺に意見を求められるとは思っていなかった。だが、ここで黙っているわけにはいかない。
俺はゆっくりと息を吸った。山中で見たものを思い出し、頭の中で今までの情報を一つずつ整理していく。
すると――。
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【戦術思考】
周囲の状況から、戦術を立案します。
【敵】
・山中に築かれた隠し城に敵兵が潜んでいる。
・城とは別に、大量の武器を製造・保管している施設が存在する。
・敵は、織田家が隠し城の存在を把握していることに気づいていない可能性が高い。
・敵の正確な兵数や、城内の詳しい構造は不明。
・通常の山道には、敵の見張りが配置されている可能性がある。
【味方】
・正面攻撃部隊。
・奇襲部隊。
・俺たちは隠し城へ続く岩壁の隠し通路を知っている。
・くろの感覚も利用すれば、周囲の人の気配や危険な場所を察知できる。
【戦場】
・山中に築かれた隠し城。
・城の周囲は山に囲まれ、通常の山道は敵に見張られている可能性がある。
・大軍で山道を進めば、敵に気づかれる可能性が高い。
・岩壁には、敵の見張りを避けて城へ接近できる隠し通路がある。
・隠し通路を利用すれば、敵に気づかれずに奇襲部隊を城へ近づけられる可能性が高い。
・隠し通路の出口や城内の詳しい構造は不明なため、接近後も慎重な行動が必要となる。
【分析結果】
・正面から攻めれば、敵兵を城の正面に引きつけられる。
・正面攻撃と奇襲を連携させることで、敵が対応を整える前に城を攻められる可能性がある。
・岩壁の隠し通路を利用すれば、通常の山道にいる見張りを避けて城へ接近できる。
・奇襲部隊は隠し通路を利用し、敵に発見されずに進むことを優先する必要がある。
・くろの感覚を活用すれば、通路の周囲にいる人の気配や危険な場所を察知する助けになる。
・敵の兵数や城内の構造が不明なため、奇襲部隊は状況を確認しながら行動する必要がある。
【戦術案】
① 正面攻撃部隊が城の正面から攻撃し、敵の注意を引きつける。
② 奇襲部隊は、岩壁の隠し通路を利用して城へ接近する。
③ 隠し通路を進む際は、くろの感覚も活用し、周囲の人の気配や危険な場所に注意する。
④ 正面攻撃で敵の注意がそれた隙に、奇襲部隊が隠し通路から城へ攻め込む。
⑤ 城内の状況を確認しながら敵を制圧し、隠し城を攻略する。
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頭の中に、作戦の全体像が浮かんだ。俺は顔を上げた。
「一つ、考えがあります」
信長が頷いた。
「申せ」
「陽動のために、城の正面から攻めていただきます」
勝家が俺を見る。
「正面から攻めるのか?」
「はい。ただし、あくまで陽動です」
俺は続けた。
「正面から攻めれば、敵はそちらに注意を向けるはずです。その隙に、別の部隊が隠し通路から城へ接近し、奇襲をかけるのです」
丹羽長秀が目を細めた。
「敵の目を正面に向けさせ、その裏を突くというわけか」
「俺たちは、岩壁にある隠し通路を知っています。その通路を使えば、敵の見張りを避けて城へ近づけるはずです」
「なるほどな」
勝家が腕を組んだ。
「俺たちが正面で敵を引きつけている間に、別の部隊が裏から攻める。そういう策か」
丹羽長秀も頷いた。
「敵の兵数や城の構造が分からない以上、正面攻撃だけに頼るのは危険です。正面から注意を引きつけ、別働隊で奇襲をかけるのであれば、敵の対応を乱せるでしょう」
信長はしばらく考えたあと、口を開いた。
「よし。権六は正面から敵を引きつけよ。五郎左は権六の部隊を支援し、戦況を見極めよ」
そして、藤吉郎へ視線を向けた。
「猿、お前は別働隊を率いて隠し通路から進め。正男が案内する」
「はっ! この猿にお任せください! 必ずや殿のお役に立ってみせます!」
信長が少しだけ呆れたような顔をする。
「ふん。調子のいい奴め」
「調子がいいのが、この猿の取り柄にございます!」
広間から小さな笑い声が漏れた。信長も、わずかに口元を緩める。
「ならば、よし!」
「はっ!」
藤吉郎は元気よく頭を下げた。信長は最後に、俺を見た。
「正男。奇襲の成功はお前にかかっておる。敵に悟られず、奇襲部隊を城まで導け」
「承知しました」
頭の中に、聞き慣れた声が響いた。
【戦術思考の経験値が一定値に達しました】
【戦術思考:Lv.1】
【経験値:100】
【レベルアップ条件を達成しました】
【戦術思考がLv.2に上昇しました】
軍議は、その後も続いた。俺は黙って話を聞きながら、これから始まる戦いについて考えていた。
あの山で見つけたものが、まさか織田家の軍議にまでつながるとは思っていなかった。
俺は静かに拳を握った。次にあの山へ向かうときは、逃げるためではない。敵を倒すために向かうことになる。
俺は気を引き締めた。
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【鈴木 正男】
年齢:18歳
身分:織田家家臣
石高:50石
統率:74
武勇:34
知略:85
政治:87
【兵科適性】
足軽:C
騎馬:D
弓:C
鉄砲:A
水軍:D
【スキル】
危険予知:Lv.5
危険回避:Lv.2
5S:Lv.5
改善思考:Lv.5
標準化:Lv.5
品質管理:Lv.5
工程改善:Lv.5
生産性向上:Lv.5
安全意識:Lv.5
戦術思考:Lv.1→2
立身出世
【経験】
危険回避:20
戦術思考:0
【実績】
現場改善:4回達成
【現在の改善対象】
戦用の荷車
【改善状況】
未着手
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