挟み撃ち
山を抜けてから、俺たちは信長の那古野城を目指して急いでいた。
山中で追手に見つかった以上、できるだけ早く人の多い場所まで移動したかった。
「正男様」
五兵衛が隣を歩きながら声をかける。
「ああ」
「この道を使って大丈夫でしょうか?」
「今のところはな」
俺は周囲を見回した。
山道を抜けたことで、視界はかなり開けている。
だが、まだ安心はできない。
「くろはどうだ?」
俺が尋ねると、くろは少し前を歩きながら耳を動かした。
「モォ」
「今のところ何もないか」
くろが頷く。
「それなら、このまま進もう」
なつきは熊と並んで歩いている。
熊は大きな体を揺らしながら、なつきのすぐそばについてきていた。
くろは時々熊を振り返っている。
「くろ、熊ばっかり見てないで前を見ろよ」
「モォ」
くろが不満そうに鳴いた。
「分かってるって顔だな」
なつきが笑う。
「くろは、ちゃんと見てるよ」
「そうか?」
「うん!」
なつきがくろの頭を撫でる。
すると、くろは満足そうに歩き始めた。
俺も少しだけ笑った。
そのときだった。
くろの足が止まった。
「……?」
くろが前方を見つめている。
「どうした?」
くろは答えない。
ただ、じっと前を見ている。
俺は足を止めた。
「全員、止まれ!」
五兵衛となつきも立ち止まる。
「くろ?」
なつきが小声で呼ぶ。
くろは前方を見たまま、低く唸った。
「人がいるのか?」
くろが頷く。
俺は道の先を見たが、まだ誰の姿も見えない。
「五兵衛」
「はい」
「少し後ろを見てくれ」
「分かりました」
五兵衛が振り返った、その瞬間。
「……正男様」
五兵衛の声が低くなる。
「どうした?」
「後ろにもいます!」
俺は振り返った。
道の向こうの木々の間から、男たちが姿を現した。
一人、二人、三人。
さらに、その後ろにもいる。
「挟まれた……」
五兵衛が呟いた。
前方にも、人影が現れた。
こちらも一人、二人、三人。
そして、その後ろにも続いている。
前と後ろ、大勢の敵に囲まれた。
完全に道を塞がれた。
「逃げ道を塞がれましたね」
五兵衛が刀に手をかける。
「みたいだな」
俺は周囲を見る。
左右には木々と斜面。
簡単に抜けられる場所ではない。
前にも後ろにも敵。
「なつき」
「うん」
「熊を後ろに下げられるか?」
「できる」
なつきが熊のそばに寄る。
「熊、ここにいて」
熊は低く鳴きながら、なつきの指示に従った。
くろは、なつきの前に出る。
「くろ?」
なつきがくろを見る。
「モォ」
「分かった」
くろは前方を睨んでいる。
俺は棒を握り直した。
前方から男が刀を抜いて一歩進み出る。
「手こずらせやがって、もう逃げられないぞ!」
別の男が後ろから叫ぶ。
「大人しくしろ!」
俺は周囲を見回した。
人数は多い。
だが、ここで捕まるわけにはいかない。
「五兵衛」
「はい」
「道を開けるぞ」
五兵衛が頷く。
「分かりました」
なつきが金槌を両手で握る。
「あたしもやる」
「無理はするな」
「分かってる」
その瞬間、前方の男が走り出した。
「来るぞ!」
俺は叫んだ。
男が刀を振り上げる。
俺は横へ飛んだ。
ブンッ!
刀が目の前を通り過ぎる。
「そこだ!」
俺は男の懐へ入り込み、棒を横に振る。
ドンッ!
男の腕を打ち、刀を落とさせる。
「ぐっ!」
男がよろめく。
俺はそのまま肩で押し倒した。
「一人!」
俺が叫ぶ。
その横から別の男が斬りかかってきた。
五兵衛が刀を抜く。
キィン!
刃と刃がぶつかる。
五兵衛は正面から受け止めず、刀を滑らせるように受け流した。
相手の体勢が崩れる。
「今だ!」
五兵衛が踏み込む。
しかし、別の男が横から襲いかかってきた。
「五兵衛!」
俺が叫ぶ。
五兵衛は身体を回転させた。
「水輪流――」
刀が大きな円を描く。
刀身が相手の刀を巻き込むように弾き飛ばした。
「渦潮!」
一瞬だった。
キンッ!
敵の刀が弾き飛ばされた。
そのまま五兵衛が相手の腕を払う。
「ぐあっ!」
男が地面に転がった。
前からさらに二人が迫ってくる。
俺は棒を構えた。
一人目が斬りかかる。
俺は一歩下がってかわす。
二撃目。
今度は横薙ぎを俺は棒で受け止める。
ガンッ!
腕に衝撃が走る。
「重い!」
そのまま押し込まれるが、俺は足を踏ん張った。
だが、横から別の男が迫ってくる。
「正男様!」
五兵衛が叫ぶ。
俺はとっさに身を低くし、頭上を刀が通り過ぎる。
「危なっ!」
そのまま前へ転がり、立ち上がると同時に棒を振り上げた。
ドンッ!
男の手首を打つ。
「今だ!」
五兵衛がその男の前に入り込む。
五兵衛の刀が敵の刀を弾き、そのまま相手の肩を打つ。
男が倒れた。
「五兵衛!」
「はい!」
「お前、強いな!」
「僕もそう思います!」
五兵衛が笑った。
「自分で言うな!」
振り向くと、なつきが男と向かい合っていた。
男が刀を振り下ろす。
「なつき!」
なつきは金槌を下から上へ振り上げる。
ガキィン!
男が空中高く飛ばされる。
「ぐああっ!」
なつきの横から別の男が斬りかかる。
すかさず金槌の柄で受け止めた、その瞬間。
熊が立ち上がった。
「グオオオッ!」
熊が咆哮する。
男が振り返る。
「なっ……!」
熊が突進した。
ドンッ!
男の身体が吹き飛ぶ。
「熊!」
なつきが叫ぶ。
熊はそのまま別の男へ向かっていく。
「グオッ!」
男が慌てて刀を構える。
熊が立ち上がり、前脚を振る。
ガンッ!
刀が弾き飛ばされた。
「うわっ!」
男が尻餅をつく。
「熊、すごい!」
なつきが嬉しそうに声を上げる。
だが、その隙を狙って別の男がなつきの背後へ回り込んだ。
「なつき、後ろ!」
俺が叫ぶ。
なつきが振り返る。
だが、間に合わない。
その瞬間。
「モォォォ!」
くろが突っ込んだ。
ドンッ!
男の身体が横へ吹き飛ぶ。
「くろ!」
なつきが叫ぶ。
くろはなつきの前に立ち、男たちを睨みつける。
「モォ!」
まるで、「なつきには近づくな」そう言っているようだった。
俺は思わず苦笑する。
「なつきの護衛だな」
「当たり前でしょ!」
なつきが笑う。
「くろはあたしの相棒なんだから!」
「モォ!」
くろが誇らしげに鳴いた。
だが、その声に反応するように、後方から男たちが一斉に走ってきた。
「来るぞ!」
俺は棒を構える。
前にも敵、後ろにも敵。
「五兵衛!」
「はい!」
「なつき!」
「分かってる!」
「くろ、熊!」
二頭も敵を睨む。
「ここを突破する!」
俺は叫んだ。
「全員、俺についてこい!」
俺たちは同時に走り出した。
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【鈴木 正男】
年齢:18歳
身分:織田家家臣
石高:50石
統率:74
武勇:30→32
知略:84
政治:87
【兵科適性】
足軽:C
騎馬:D
弓:C
鉄砲:A
水軍:D
【スキル】
危険予知:Lv.5
危険回避:Lv.1
5S:Lv.5
改善思考:Lv.5
標準化:Lv.5
品質管理:Lv.5
工程改善:Lv.5
生産性向上:Lv.5
安全意識:Lv.5
戦術思考:Lv.1
立身出世
【経験】
危険回避:90
戦術思考:90
【実績】
現場改善:4回達成
【現在の改善対象】
戦用の荷車
【改善状況】
未着手
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